今回の課題図書は、アンデシュ・ルースルンドとベリエ・ヘルストレム(舌噛んで出血したよ……)共著、ヘレンハルメ美穂(スウェーデン風の芸名、否、筆名かと思ってたらご本名とのことで……)訳、『三秒間の死角』でアリンス!!

 この傑作を片手に県外から来訪した4人の刺客=『四人間の刺客』(う〜ん、下手くそっ)を金沢下ネタ軍団が迎え撃つというトークバトルでアリンシタ(世話人の北田氏が全て企画)。

 この素晴らしき集いのダイジェスト・レポを、下ネタ命! のタワケ者・市川史朗が下ネタなし、ネタバレなし、臨場感なしでお届けいたします。

 バトル開始前、続々と集まる参加者達。しかし、ほとんど誰も声を発することはない。これがガチトークバトルの殺気というものなのか……。

 北田氏のバトル開始の合図と共に参加者の殺気オーラが炸裂! ——とはならず、各々がたどたどしくも自己紹介。ただ緊張感は半端ない。

 自分のごとき翻訳ミステリー初心者はワキ汗がしたたりパンツのゴムまで濡らすほどに緊張、思わずヘレンハルメ史朗と自己紹介してしまった(ヘレンハルメさんごめんなさい!)。

 さて、ここからは参加者の熱血コメントの数々を紹介したい。

 文章に関しては、センテンスが短くテンポがある・臨場感があるというのがおおむね共通した意見だった。

 北欧ミステリーには男くさい作品が多いが、本作はその中でも特に男くさいとのこと(加齢臭のことではないですぞ!)。そして男くさい中にも、丁寧な描写や小ネタには女性的な細やかさがあるとの指摘も(合わせたらオカマだ……)。

 主人公のグレーンス警部については、序盤では、変な人すぎて感情移入できない・上司にしたくない・夜中の電話はやめてほしい……と否定的だったが、後半では、人間味がある・無骨さがかわいい・蟹江敬三さんとしか思えない(追悼)など、好意的に変わったという見方が多数。

 もう一人の主役ピートについては、家庭と任務の狭間で悩む姿にグイグイと引きつけられるも、あまりにもの愛妻家ぶりがこの作品最大のフィクションだ! との発言が(言ったのは愛妻家の自分ですが……)。

 また、ピート登場場面のサスペンスフルな描写とグレーンス警部の捜査パートのコツコツ感が、作品に絶妙なバランスをもたらしていると、これまた絶妙なコメントも。

 主人公以外の登場人物では、政務次官や警察庁長官に名前がなく、体制の代表者のように表現されていたのがリアル、という鋭い意見もあった。

 何故か脇役ウィルソン視点で読んだという女性——流石は県外からの刺客、攻め方が違う。これに対し、何故か下巻から読んだという軍団男性もなかなかの応酬であった。

 今回初参加の本格ミステリー好きの女性は、最初から何かトリックがあるはず! とタイムテーブルまで作成した凝り様で、叙述トリックも可能性に含めつつ読み進めたとのこと。

 金沢下ネタ軍団の本格マニア氏は、冒頭のシーンが何の伏線か意味不明であった・途中からは伏線が丁寧すぎて先が透けて見えた、など本格フェチ特有の猜疑心で作品に挑んだ模様。

 最終的にはお二方共に物語を楽しめたということで、宜しゅうゴザンシタ。

 このあと、本格フェチの方々も気付かなかったさりげない伏線も見つかり、ミステリーとしてもよく練られた作品だと再認識できたのでゴザンス!

 また、金沢下ネタ軍団の幹部である図書館職員氏は、作中での本の扱いに驚くと共に、本が可哀想とうっすら涙を浮かべていた(自分ももらい泣き)。

 保健所関係の某氏は、麻薬や殺害場面についての質問を受け、このトークバトルにおける鑑識官の役割を全うしていた(作中のクランツ鑑識官ばりに)。

 平素は下ネタオンリーな某氏が、「悲しみを習慣にするのはよくありません」という台詞に共感したと、真面目な論調で周囲を感じ入らせる場面もあった(←ここは世話人談。自画自賛にあらず!)。

 さらにフリートークでは、前半のピートの綿密な仕込みはどこまでを覚悟しての準備だったのか、という議論でバトルは大いに沸いた。

 ところで今回は、訳者のヘレンハルメ美穂さんからの素敵なメッセージが、闘魂注入とばかりに配布された(ヘレンハルメさんありがとうございます!!)。

 メッセージの中では、スウェーデンの首相が演説の際、このシリーズ全巻を携えて登場したというエピソードも挙げられ、この作家が社会に与えた影響もうかがい知ることができた。

 訳者ご本人からは、「カーテンの陰からこのトークバトルを見守りたかった」という温かい言葉もいただいた。残念ながら今回は、腰高窓にロールブラインドという会場でしたが、窓とカーテンの条件が揃った折には是非是非おいでください!

【事務局より——ヘレンハルメ美穂さんから金沢読書会へ贈られたメッセージは、近日中にこのサイトで公開します】

 そして金沢と言えば、この作品の舞台であるスウェーデンの雰囲気が北陸に似ているのではないかという、刺客と軍団共通の合意もあり(スウェーデンとヘレンハルメさんの熱狂的ファンである日和見的な自分も勿論合意)。

 もう1つの共通の合意として、この作品が映像化に適している、いやっ、映画化は確実なのでは? という話もあった。となるとやはり、グレーンス警部役の蟹江敬三さんが亡くなられたのが残念でならない(ふたたび追悼)。

 最後に、このシリーズの邦訳前3作はただいま入手困難、一部の作品は中古価格(2014/04/18 08:16時点)も高騰中とのこと。かくなるうえは、県外からの刺客と金沢下ネタ軍団が一丸となり、現版元からの復刊をデモ行進で訴えるべしと誓って、このトークバトルは幕を閉じたのでアリンス(北田氏感涙)。

*話に尾ひれが付くのは世の常人の常ですので、誇大な表現には目をつぶってくださいまし!

市川史朗

下ネタ専任看護師。酒とミステリー小説をこよなく愛する下ネタ野郎!

『ミステリー小説まとめチャンネル』 http://mysterych.ldblog.jp/ は泣かず飛ばず………。

Twitter 友治の孫 @tomozinomago も不評ツイート中!!

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