西東京読書会は新刊ミステリを課題書に四カ月ごとに開催しています。

年末に近い会では自然とその年の話題作を取り上げることに。一昨年は『湿地』、昨年は『ゴーン・ガール』、そして今年は『その女アレックス』

お気づきでしょうか……翻訳ミステリー大賞最終候補に三作とも選ばれているんですよ! つまり、今年はこれが来そうだねという予想を三年連続で的中!

べつにドヤ顔で言うことじゃないんですけどね。七福神をはじめとしていろいろなレビューやミステリ好きな友人の口コミを頼りに選んでいるわけでして。

そういうわけで11月頭にはすでに『その女アレックス』があちこちで評判になっていたので、告知後あっという間に席が埋まりました。のんびりペースの西東京読書会では異例のスピードに、これはいつも以上に盛り上がりそうだなと幹事一同手ごたえを感じ、当日を楽しみにしておりました。

今回は参加者20名を班分けせず、ひとつの輪になって意見交換するというかたちを取ってみました。最初のころは小さなカフェにて12名前後でこじんまり。公共施設に会場を移した前回は10名ずつに分かれて二班で進行したので、20名で話しあうというのは初の試み。

じつはスピンオフとして9月に開催した東江一紀さん追悼読書会(『黄泉の河にて』)では20名で輪になる形式を採用し、規模は少々大きいながらもアットホームな雰囲気はそのままに活発な意見交換ができたので、本会でもぜひこの方法を、となったわけです。

『その女アレックス』をすでにお読みになった方にはわかっていただけると思いますが、読後、誰かと語りあいたくなる作品なんですよね。ネタバレになっちゃいけないから未読の人がいる席ではうっかり話題にできないし、そういう意味でも、読んでから参加する場である読書会で思いきり話すにはもってこいの作品であり、全員でわいわいと話す形式にしてよかったのではと思います。

さて、これから読む方にも差しさわりのない感想を少しご紹介しましょう。

・キャラが立っている。

・刑事たち、それぞれのバランスがいい。

登場人物の誰が好きかという話になり、三刑事の名前がおもにあがりましたが、予審判事ヴィダールが好きだという方も。

ストーリー展開については——

・(作品全体をたとえるなら)マラソンではなくトライアスロン。あるいは駅伝。

・フランスミステリなのに(!)読みやすい。

・(あるところ以降の)疾走感がすごい。

・エンタメとしてすぐれているので、ミステリファン以外にも勧めたくなる。

帯には「あなたの予想はすべて裏切られる!」とあるのですが、読書家のリピーターさんからはこんな感想も。

・先が読めてしまう。サプライズなし。

ジェフリー・ディーヴァーっぽいというご意見もあったので、感想はほんとに人それぞれだなあと。

ほかにもたくさんあったのですが、ネタばれになるのでこのへんで。

最後に、訳者の橘明美さんがお寄せくださったメッセージを参加の皆さんにご紹介しました。

そのなかで「フランスの作家はつじつま合わせやトリックの妙、緻密な構造といったところにそれほど重きを置きません」というくだりに、歓喜とも安堵ともつかぬどよめきがあがりました。

すごく楽しんで読んだけど、ちょっと、ん? と引っかかったところがあったという感想が多かったのですが、ああ、そういうことは考えないで楽しめばいいんだな、とある種、カタルシスを得たような瞬間でした。

そんなわけで、大変な盛り上がりのなか読書会は無事に終了。

参加の皆さん、橘さん、ありがとうございました。

次回は3月8日(日)に三鷹某所で開催予定です。ひと月ほどまえに告知させていただきますので、よろしくお願いいたします。

小林 さゆり(こばやし さゆり)

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1966年生まれ。東京都在住。主な訳書に、クリスティーナ・ブルック『約束のワルツをあなたと』(二見書房刊)、イェンス・ラピドゥス『イージーマネー』(土屋晃さんとの共訳、講談社刊)、パトリシア・ウッド『僕とばあばと宝くじ』(武田ランダムハウスジャパン刊)。

ツイッターアカウント @pino_pipi_candy

 

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