2017年12月26日、都内において第九回翻訳ミステリー大賞予選委員会が開催されました。今年度の予選委員は、上條ひろみ、白石朗、高山真由美、田口俊樹、東野さやかの5名です。当日は5名全員が出席しました。

 また議事進行の公正を期すため、事務局の川出正樹、杉江松恋が議事立会人をつとめました。(以上いずれも姓名五十音順)

 会合では、まず出席者確認をもって予選委員会の成立を宣言したのち、11月30日に締め切られた予備投票結果について、立会人をふくめて全員でメールによる投票のプリントアウトや集計表を参照のうえ、以下の点の確認作業をおこないました。

  • ・総投票は45票、有効票数は43。
    (期限後に到着した投票が2票あり、電子メールのヘッダを委員全員で確認のうえ、投票機会の公平を期すため、期限後の投票は無効とせざるをえませんでした)
  • ・有資格者(*)による記名投票であること。
    (* 第六回より「フィクション、ノンフィクションを問わず、訳書または共訳書が少なくとも1冊ある方」に改訂)
  • ・規定どおり5作に投票していること。
  • ・有効票により挙がった68作のいずれもが対象年度内(**)に刊行された翻訳フィクションであること。(** 奥付2016年11月1日〜2017年10月31日)

 以上を全員で確認しました。

 次に、投票結果の得点数上位5位までの作品について検討しました。

 翻訳ミステリー大賞を決定する本投票では「最終候補作のすべてを読了したこと」が投票資格のひとつになっています。第四回は最終候補作が6作、また第五回では7作を選定しましたが、第六回で、有資格投票者のみなさまの負担に配慮するととともに、より多くの方に投票していただけるよう最終候補作を5作とすることを予選委員をふくむ当事務局で決定しました(「第六回翻訳ミステリー大賞選出にむけて」)。その結果多くの方に投票いただきましたことを踏まえ、今回もこの方針を踏襲することを申し合わせました。

 予選委員会では、まず、得点数で1位の作品を最終候補とすることに委員全員一致で賛成しました。

 残る4作品については、投票内容をあらためて精査したのち、「翻訳ミステリー大賞によりふさわしい作品」を各予選委員が推挙するかたちで投票をおこない、選定いたしました。

 投票にあたっては、立会人が集計をおこないました。

 候補作5作決定ののち、今後の選考スケジュールについて話しあい、本投票締切日をさだめました。

 決定した最終候補作5作(作品名50音順)、および投票締切日は以下のとおりです。


『嘘の木』フランシス・ハーディング/児玉敦子(東京創元社)

『その犬の歩むところ』ボストン・テラン/田口俊樹(文藝春秋)

『ハティの最期の舞台』ミンディ・メヒア/坂本あおい(早川書房)

『東の果て、夜へ』ビル・ビバリー/熊谷千寿(早川書房)

『フロスト始末』R・D・ウィングフィールド/芹澤恵(東京創元社)



本投票締切(予定):2018年4月12日(木)

公開開票式および贈賞式:2018年4月14日(土)


 上記以外での予選委員会における決定事項は以下のとおりです。

  • ・本投票要項や公開開票式と贈賞式の詳細等については、決定次第、当サイトにて公表すること。
  • ・予備投票で投票のあった全作品を近日中に当サイトにて公開すること。
  • ・よりよい賞にするために、翻訳ミステリー大賞の選考制度や選考方法を今後とも継続して検討課題としていくこと。
  • ・本投票は「予備投票に参加していなくても、最終候補作をすべて読了した有資格者であれば投票できる」旨の告知をさらに徹底すること。

付記——田口俊樹委員は自訳書、ボストン・テラン『その犬の歩むところ』に関しての議論にはいっさい加わりませんでした。同作品に関しての決定は、立会人のもと、出席していた他の予選委員が責任をもって下しました。

——翻訳ミステリー大賞・予選委員会

 

【予備投票者(43名、五十音順、敬称略)】

《ア》阿尾正子、青木悦子、青木純子、安達眞弓、稲村文吾、井野上悦子、越前敏弥

《カ》加賀山卓朗、柿沼瑛子、片山奈緒美、門野集、上條ひろみ、川添節子、喜須海理子、北田絵里子、木村浩美、国弘喜美代、熊井ひろ美、栗木さつき、黒木章人、小林さゆり

《サ》酒寄進一、佐藤桂、島村浩子、白石朗、白須清美、鈴木恵

《タ》高橋佳奈子、高橋恭美子、高橋知子、高山真由美、田口俊樹

《ナ》中川美帆子、中谷友紀子

《ハ》服部京子、東野さやか、日暮美月、堀川志野舞

《マ》三角和代、皆川孝子、森沢くみ子

《ヤ》吉野弘人、吉野山早苗

●第九回大賞最終候補作