アメリカのベストセラー・ランキング

7月21日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. WHERE THE CRAWDADS SING    Stay

Delia Owens デリア・オーエンズ

1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女カイヤは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。

 

  1. 2..SUMMER OF ’69    Up

Elin Hilderbrand エリン・ヒルダーブランド

夏の休暇をナンタケット島で過ごすのがレヴィン家の恒例行事だが、1969年の夏はそうもいかないようだった。19歳の長男がベトナムに送られ、母はアルコールに逃げるようになっていた。また、双子を妊娠中の24歳の長女、21歳のヒッピーの次女、13歳の思春期の三女もそれぞれ問題を抱えていた。

 

  1. 3. EVVIE DRAKE STARTS OVER    Up

Linda Holmes リンダ・ホームズ

離婚を決意した矢先に夫を交通事故で亡くしたエヴィーは、スランプに苦しみ野球を離れた元メジャーリーグ投手のディーンに部屋を貸すことになる。大家と店子の関係からほどなく友人となったふたりのあいだには、やがて友情以上の感情がめばえ……米ナショナル・パブリック・ラジオのポップカルチャー評論で知られる著者の小説デビュー作。

 

  1. 4. BACKLASH    Down

Brad Thor ブラッド・ソー

アメリカ海軍特殊部隊SEALS出身のエージェントが活躍するスコット・ハーヴァス・シリーズの第19作。ハーヴァスの元上司と妻が殺害され、本人も拉致されて拷問を受ける。さらなる尋問のためにロシアへ移送される途中、飛行機が墜落し、ハーヴァスは一命をとりとめるものの、極寒の原野で生き延びるための戦いを強いられる。

 

  1. 5. CITY OF GIRLS    Stay

Elizabeth Gilbert エリザベス・ギルバート

1940年、大学をドロップアウトした19歳のヴィヴィアンは、マンハッタンの叔母のもとでうらぶれた劇場の運営を手伝いながら、演劇の世界でさまざまな出会いを経験する。95歳になったいま、ヴィヴィアンは人生を振り返る。

 

  1. 6. LOST AND FOUND    Down

Danielle Steel ダニエル・スティール

3人の子供を女手ひとつで育てあげたマディーは、ニューヨークで写真家として成功していたが、思い立って車でボストンとシカゴとワイオミングをめぐる旅に出る。かつて自分が愛し、結婚も考えた3人の男たちに会って、みずからの選択が正しかったのかどうかを確かめるために。

 

  1. 7. MRS. EVERYTHING    Stay

Jennifer Weiner ジェニファー・ウェイナー

1950年代のデトロイトに生まれた、勝気なジョーとお洒落に夢中なベシーの姉妹。時代の波に翻弄されたふたりの人生は思いもよらない軌跡をたどる。公民権運動、ベトナム戦争、ウーマンリブ――社会の激変のなかで生き方を模索する姉妹の70年を描く。『イン・ハー・シューズ』の作者による長篇第13作。

 

  1. 8. UNSOLVED    Down

James Patterson and David Ellis ジェイムズ・パタースン、デイヴィッド・エリス

FBI分析官エミーは、一見無関係な数々の事故死がシリアルキラーのしわざだと主張するが、だれにも聞き入れられず、独自に捜査をはじめる。しかし、まるで犯人から行動を見透かされているような事態がつづくばかりか、担当している別件の内部情報が流出し、エミーは内通者の疑いをかけられてしまう。〈インヴィジブル・シリーズ〉の2作目。

 

  1. 9. LOCK EVERY DOOR    New!

Riley Sager ライリー・セイガー

マンハッタンの高級アパートメントでハウスシッターをすることになったジュールズ。空き部屋に3カ月住むだけで1万2千ドルもらえるという破格の好条件だったが、親しくなった同じハウスシッターのイングリッドから、この建物にまつわる怪異の噂を聞かされる。その翌日にイングリッドが姿を消してしまい――『ローズマリーの赤ちゃん』にオマージュを捧げたゴシックホラー。

 

  1. 10. ON EARTH WE’RE BRIEFLY GORGEOUS    Stay

Ocean Vuong オーシャン・ヴュオン

息子のリトル・ドッグは字の読めない母へ向けて手紙を書く。そこにつづられているのは、ベトナムから移住した家族の苦難の歴史、母や祖母への思い、居場所のないつらさ、そして、思春期に体験した同性愛のことだった。ベトナム生まれの詩人オーシャン・ヴュオンによる自伝的小説。

 

【まとめ】

今週初登場の新作は9位に入った“LOCK EVERY DOOR”のみでした。デビュー作“FINAL GIRLS”で2018年の国際スリラー賞を受賞したライリー・セイガーの第3作です。ちなみに、この著者はライリー・セイガー名義では夏にホラージャンルの作品を出していますが、トッド・リッターの別名義で警察もののミステリーも出版しているとのことです。また3位の“EVVIE DRAKE STARTS OVER”は先週初登場15位からのランクアップを果たしました。ポップカルチャー評論で知られ、恋愛もののセルフヘルプ本などの著書があるリンダ・ホームズによる、軽妙な会話でつづられたラブストーリーです。

 

  1. 満園真木(みつぞの まき)

    東京在住の翻訳者。訳書はリサ・ガードナー『無痛の子』、『棺の女』(ともに小学館文庫)、ヴィンセント・ディ・マイオ、ロン・フランセル『死体は嘘をつかない 全米トップ検死医が語る死と真実』(東京創元社)、バリー・ライガ〈さよなら、シリアルキラー〉シリーズ(創元推理文庫)など。