アメリカのベストセラー・ランキング

12月3日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. FOURTH WING    Up

Rebecca Yarros レベッカ・ヤロス

ナヴァレ王国に暮らす20歳のヴァイオレットは父と兄の死をきっかけに、将軍である母の命でドラゴンライダー養成所に入ることに。エリート戦士であるドラゴンライダーになるべくしのぎを削るライバルたちのなかで、人より小柄で体の弱いヴァイオレットははたして過酷な選考を生き残れるのか――ファンタジーの新シリーズ第1作。

 

  1. 2. IRON FLAME    Down

Rebecca Yarros レベッカ・ヤロス

“FOURTH WING”につづく、エンピリアン・シリーズの第2作。だれもがヴァイオレットは1年目の訓練で命を落とすと考えていたが、彼女はなんとか選考をパスした。そして2年目、“真の”訓練がはじまる。ヴァイオレットはやり遂げられるか、自分でもわからないでいる。その訓練では、彼女の愛する人を裏切るよう要求していた。

 

  1. 3. THE EDGE       New!

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

陸軍の元特殊部隊員ディヴァインが活躍するTHE 6:20 MANの2作目。CIA工作員の女性が故郷の田舎町で殺害され、所持していたはずの機密情報が紛失した。事件を捜査して情報漏洩を防ぐためにディヴァインが派遣されるが、町の住民は閉鎖的なうえに死守すべき秘密をかかえているらしく、探れば探るほどディヴァインは窮地に陥っていく。

 

  1. 4. THE LITTLE LIAR      New!

Mitch Albom ミッチ・アルボム

11歳の少年ニコのもとへある日ナチスの将校が来て、仲間のユダヤ人たちに「安全な新しい家」へ向かう列車に乗るように説得してくれと言われる。無邪気なニコは毎日人々を説得するが、最終列車に家族が押しこまれるのを見て、はじめて将校の策略に気づく。その後のニコ、家族、将校、ホロコーストを生き抜いた人々の数十年に及ぶ軌跡が描かれる。

 

  1. 5. THE EXCHANGE    Down

John Grisham ジョン・グリシャム

41歳のミッチ・マクディーアはマンハッタンの大手法律事務所のシニアパートナー。出張先のリビアで同行したアソシエイト弁護士のジョヴァンナが誘拐されてしまい、ミッチは100万ドルの身代金の調達のため、北アフリカからヨーロッパ各地を奔走することになる。映画化もされたベストセラー『法律事務所』の約30年ぶりの続編。

 

  1. 6. THE NARROW ROAD BETWEEN DESIRES      New!

Patrick Rothfuss パトリック・ロスファス

ファンタジー3部作〈キングキラー・クロニクル〉に登場する主人公の弟子、バストの物語で、スタンドアローンの中編小説。バストはギブ・アンド・テイクの交渉術では達人の域に達しているが、無償で何かをしてもらうと混乱してしまう。駆け引きは得意だが、恩の受け方がわからないのである。

 

  1. 7. THE HEAVEN & EARTH GROCERY STORE    Up

James McBride ジェイムズ・マクブライド

1972年ペンシルヴェニア州のポッツタウンで、古い井戸の底から骸骨が発見された。それをきっかけに、1930年代にこの地に移ってきたユダヤ人とアフリカ系アメリカ人が住む町の秘密が明らかになる。

 

  1. 8. RESURRECTION WALK    Down

Michael Connelly マイクル・コナリー

リンカーン弁護士ことミッキー・ハラー・シリーズの第7作。誤った有罪判決を受けた男を助けたことで、ハラーのもとにはおなじ境遇の人々からの依頼が殺到する。郡保安官代理の夫を殺した容疑で捕らえられている女性の無実を証明することになったハラーは、LAPDの元刑事、ボッシュとチームを組む。事件を再調査したボッシュは、辻褄が合わない点がいくつかあることに気づく。

 

  1. 9. LESSONS IN CHEMISTRY    Down

Bonnie Garmus ボニー・ガーマス

1960年代のカリフォルニアで、才能豊かながら女というだけで化学者として正当に評価されていないと感じていたエリザベス。よき理解者に出会えたものの、やがてシングルマザーとなり、娘マッドと愛犬シックス・サーティーと暮らすうち、ひょんなことからテレビの料理番組のホストに起用される。いかにも化学者らしいユニークな料理用語や考え方が視聴者に受け、大人気となるが……

 

  1. 10. THE SECRET    Down

Lee Child and Andrew Child リー・チャイルド、アンドリュー・チャイルド

リー・チャイルドと弟アンドリューの共同執筆による、ジャック・リーチャー・シリーズ第28作。1992年、信望厚く著名な8人がつぎつぎと不審な死を遂げる。事故のようでもあり、なんの関連もないと思われた。だが、ある人物が病院の窓から転落死したことを機に米国国防長官により特命捜査チームが編成され、ジャックも捜査に加わる。

 

 

【まとめ】

先週に引きつづきレベッカ・ヤロスが1位と2位を占める中、今週は3作品が3位、4位、6位に初登場しました。3位のバルダッチは昨年刊行されたTHE 6:20 MAN のシリーズ2作目。ベストセラー・ランキング常連のバルダッチですが、2018年の『完全記憶探偵エイモス・デッカー ラストマイル』以後、残念ながら邦訳は止まっています。4位のアルボムは、不治の病に向き合う師との交流をつづった『モリー先生との火曜日』が有名ですが、ほかにも邦訳に『時の番人』『天国からの電話』などがあります。6位のロスファスの〈キングキラー・クロニクル〉3部作は、第1部の『風の名前』、第2部の『賢者の怖れ』はすでに邦訳されている一方、第3部 THE DOORS OF STONE は未発表で、本国での刊行が待たれています。

 

 

唐木田みゆき(からきだみゆき)

翻訳者です。おもな訳書にサマンサ・ダウニング『殺人記念日』、N・R・ドーズ『空軍輸送部隊の殺人』など。12月にイーライ・クレイナー『傷を抱えて闇を走れ』が早川書房より刊行されます。