アメリカのベストセラー・ランキング

10月22日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. FOURTH WING    Stay

Rebecca Yarros レベッカ・ヤロス

ナヴァレ王国に暮らす20歳のヴァイオレットは父と兄の死をきっかけに、将軍である母の命でドラゴンライダー養成所に入ることに。エリート戦士であるドラゴンライダーになるべくしのぎを削るライバルたちのなかで、人より小柄で体の弱いヴァイオレットははたして過酷な選考を生き残れるのか――ファンタジーの新シリーズ第1作。

 

  1. 2. JUDGMENT PREY    New!

John Sandford ジョン・サンドフォード

連邦保安官ルーカス・ダヴンポートが活躍する、「獲物」シリーズ第33作。連邦判事とその幼い息子ふたりが自宅で射殺される。地元の警察とFBIが調べるが、捜査は手づまりに。そこでルーカスと法執行機関で働くヴァージル・フラワーズがともに捜査に乗り出す。

 

  1. 3. HOLLY    Up

Stephen King スティーヴン・キング

『ミスター・メルセデス』以降、スティーヴン・キング作品にたびたび登場する女性探偵ホリー・ギブニーを主人公とする新作長編。行方不明となった図書館勤務の女性の母親から依頼を受け、ファインダーズ・キーパーズ探偵社のホリー・ギブニーは、女性の失踪への関与が疑われる老齢の大学教授夫妻の調査に乗りだす。

 

  1. 4. LESSONS IN CHEMISTRY    Up

Bonnie Garmus ボニー・ガーマス

1960年代のカリフォルニアで、才能豊かながら女というだけで化学者として正当に評価されていないと感じていたエリザベス。よき理解者に出会えたものの、やがてシングルマザーとなり、娘マッドと愛犬シックス・サーティーと暮らすうち、ひょんなことからテレビの料理番組のホストに起用される。いかにも化学者らしいユニークな料理用語や考え方が視聴者に受け、大人気となるが……

 

  1. 5. THRONE OF THE FALLEN    New!

Kerri Maniscalco ケリー・マニスカルコ

“KINGDOM OF THE WICKED”三部作の世界を下敷きにしたスピンオフ小説。王子エンヴィーと人間カミラのもとに、命がけのゲームのはじまりを告げる手紙が届く。ふたりは恋に落ちるという罠を避けつつ、悪魔の宮廷からヴァンパイアの国まで闇の世界をめぐる。

 

  1. 6. SECOND ACT    New!

Danielle Steel ダニエル・スティール

19年間ハリウッドで映画スタジオの社長をつとめていたアンディは、ある日、会社が売却されて解雇され、57歳にして人生の岐路に立たされる。仕事一筋で、妻とは離婚、娘とも疎遠になっていた彼は、英国の海岸沿いに家を借りる。そこでヴァイオレットという女性に会い、キャリア以外にも人生には大切なことがあることに気づかされる。

 

  1. 7. 12 MONTHS TO LIVE    Down

James Patterson and Mike Lupica ジェイムズ・パタースン、マイク・ルピカ

ジェーン・スミスは富裕層の集まるハンプトンの敏腕刑事弁護士。あるときジェーンは一家殺害事件で起訴された男の弁護を引きうけ、どうにかして有利な評決を得ようと奔走する日々を送っていたが、なんと自身が末期癌の診断を受けて余命12カ月と宣告されてしまう。その一方で、過去に未解決の類似した殺人事件が起きていたことも判明する。その解決に向けた調査をジェーンが始めたところ、何者かに妨害され、その身に危険が迫るのだった。

 

  1. 8. STARLING HOUSE    New!

Alix E. Harrow アリックス・E・ハロウ

かつては石炭の採掘で栄えたものの、いまは錆びれた町、ケンタッキー州のイーデンには、スターリングハウスと呼ばれる呪われた館があった。孤児のオーパルはその屋敷で家政婦として働くことになる。

 

  1. 9. TOM LAKE    Down

Ann Patchett アン・パチェット

2020年春、ラーラの娘三人が帰省してくる。ラーラは若い頃、劇団トム・レイクで有名な俳優と恋に落ちたのだが、娘たちがその当時の話を聞きたがるので語ることにした。ラーラの過去を聞いた三人の娘たちは、それぞれの人生や母親との関係、世間との対峙の仕方について、あらためて考え直すことになる。

 

  1. 10. THE ARMOR OF LIGHT    Down

Ken Follett ケン・フォレット

ジェニー紡績機の発明とともにイギリスは産業革命期に入り、劇的に変化していく生活とともに人々は運命に翻弄されていく。夫を労働中の事故で亡くした子持ちの母親、貧困に苦しむ子供たちへ教育を受けさせようと奮闘する若い女性、倒産の危機にある会社を継がされてしまう若者、自分の富を死守しようとする男……さらにはナポレオン戦争によって、登場人物たちの運命はさらに揺さぶられていくのだった。

 

 

【まとめ】

今週は4作が新たにランクインしました。2位のジョン・サンドフォードの獲物シリーズは、10作目『餌食』(北沢あかね訳、講談社)まで邦訳刊行されています。

 トップテン外では、12位にシーア・グアンゾン“THE HURRICANE WARS”、13位にブランドン・サンダースン“YUMI AND THE NIGHTMARE PAINTER”、15位にジョーダン・ピールとJ・J・アダムス編のアンソロジー“OUT THERE SCREAMING”が初登場しています。

 

 

国弘喜美代(くにひろ きみよ)

訳書に、フレドリック・ブラウン『死の10パーセント』(小森修編、越前敏弥、高山真由美、武居ちひろ、広瀬恭子、廣瀬麻微との共訳)、ヴァージニア・ハートマン『アオサギの娘』、アビゲイル・ディーン『レックスが囚われた過去に』、ケイトリン・マレン『塩の湿地に消えゆく前に』など。