アメリカのベストセラー・ランキング

12月24日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. FOURTH WING    Stay

Rebecca Yarros レベッカ・ヤロス

ナヴァレ王国に暮らす20歳のヴァイオレットは父と兄の死をきっかけに、将軍である母の命でドラゴンライダー養成所に入ることに。エリート戦士であるドラゴンライダーになるべくしのぎを削るライバルたちのなかで、人より小柄で体の弱いヴァイオレットははたして過酷な選考を生き残れるのか――ファンタジーの新シリーズ第1作。

 

  1. 2. IRON FLAME    Stay

Rebecca Yarros レベッカ・ヤロス

“FOURTH WING”につづく、エンピリアン・シリーズの第2作。だれもがヴァイオレットは1年目の訓練で命を落とすと考えていたが、彼女はなんとか選考をパスした。そして2年目、“真の”訓練がはじまる。ヴァイオレットはやり遂げられるか、自分でもわからないでいる。その訓練では、彼女の愛する人を裏切るよう要求していた。

 

  1. 3. THE HEAVEN & EARTH GROCERY STORE    Up

James McBride ジェイムズ・マクブライド

1972年ペンシルヴェニア州のポッツタウンで、古い井戸の底から骸骨が発見された。それをきっかけに、1930年代にこの地に移ってきたユダヤ人とアフリカ系アメリカ人が住む町の秘密が明らかになる。

 

  1. 4. THE EXCHANGE    Down

John Grisham ジョン・グリシャム

41歳のミッチ・マクディーアはマンハッタンの大手法律事務所のシニアパートナー。出張先のリビアで同行したアソシエイト弁護士のジョヴァンナが誘拐されてしまい、ミッチは100万ドルの身代金の調達のため、北アフリカからヨーロッパ各地を奔走することになる。映画化もされたベストセラー『法律事務所』の約30年ぶりの続編。

 

  1. 5. LESSONS IN CHEMISTRY    Stay

Bonnie Garmus ボニー・ガーマス

1960年代のカリフォルニアで、才能豊かながら女というだけで化学者として正当に評価されていないと感じていたエリザベス。よき理解者に出会えたものの、やがてシングルマザーとなり、娘マッドと愛犬シックス・サーティーと暮らすうち、ひょんなことからテレビの料理番組のホストに起用される。いかにも化学者らしいユニークな料理用語や考え方が視聴者に受け、大人気となるが……

 

  1. 6. THE LITTLE LIAR    Stay

Mitch Albom ミッチ・アルボム

11歳の少年ニコのもとへある日ナチスの将校が来て、仲間のユダヤ人たちに「安全な新しい家」へ向かう列車に乗るように説得してくれと言われる。無邪気なニコは毎日人々を説得するが、最終列車に家族が押しこまれるのを見て、はじめて将校の策略に気づく。その後のニコ、家族、将校、ホロコーストを生き抜いた人々の数十年に及ぶ軌跡が描かれる。

 

  1. 7. HOLLY    Up

Stephen King スティーヴン・キング

『ミスター・メルセデス』以降、スティーヴン・キング作品にたびたび登場する女性探偵ホリー・ギブニーを主人公とする新作長編。行方不明となった図書館勤務の女性の母親から依頼を受け、ファインダーズ・キーパーズ探偵社のホリー・ギブニーは、女性の失踪への関与が疑われる老齢の大学教授夫妻の調査に乗りだす。

 

  1. 8. ALEX CROSS MUST DIE    Down

James Patterson ジェイムズ・パタースン

アレックス・クロス・シリーズ第32作。ワシントンナショナル空港の滑走路で飛行機が爆発・炎上し、クロスとサンプソンは現場に駆けつける。飛行機は遠隔操作されたベトナム戦争時代のマシンガンで銃撃されていたことがわかる。特殊な武器であることを考えれば、容疑者はすぐに浮上しそうなものだった。新たな大量殺戮を防ぐため、クロスとサンプソンは捜査を急ぐのだが……

 

  1. 9. THE SERPENT AND THE WINGS OF NIGHT    New!

Carissa Broadbent カリッサ・ブロードベント

クラウンズ・オブ・ニアクシャ・シリーズ第1作。戦災孤児のオレアは吸血鬼の王ヴィンセントに拾われ、その娘として育てられる。人間という被食者にすぎない地位から脱し、生き抜く力を得るため、死の女神ニアクシャが開催する吸血鬼たちの闘技会に参加する。

 

  1. 10. THE EDGE    Up

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

陸軍の元特殊部隊員ディヴァインが活躍するTHE 6:20 MANの2作目。CIA工作員の女性が故郷の田舎町で殺害され、所持していたはずの機密情報が紛失した。事件を捜査して情報漏洩を防ぐためにディヴァインが派遣されるが、町の住民は閉鎖的なうえに死守すべき秘密をかかえているらしく、探れば探るほどディヴァインは窮地に陥っていく。

 

 

【まとめ】

今週もレベッカ・ヤロスが1位と2位を独占しました。新たにランクインしたのは9位のブロードベントのみ。このシリーズはすでに第2作の“THE ASHES AND THE STAR-CURSED KING”が発売されています。トップテン外にも新作はなく、動きが少ない週でした。

 

 

青木創(あおき はじめ)

翻訳者。訳書に、A・アーカート『解剖学者と殺人鬼』、L・チャイルド『消えた戦友』(講談社)、D・ワッツ『偶然の科学』(早川書房)など。