アメリカのベストセラー・ランキング

7月15日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. THE PRESIDENT IS MISSING    Stay

Bill Clinton and James Patterson ビル・クリントン、ジェイムズ・パタースン

【早川書房から近日刊行予定】妻に先立たれた湾岸戦争の元英雄ジョナサン・ダンカン大統領は、大規模サイバーテロの危機にさらされたアメリカを救うべく、ホワイトハウスを抜けだして単身テロリストに会いに行く。だが、クラシック音楽好きの女殺し屋“バッハ”が大統領の命を狙っていた。

 

2. ALL WE EVER WANTED    New!
Emily Giffin エミリー・ギフィン

エリートの夫と出来のいい息子とともに、しあわせな日々を過ごすニーナ。手を焼かされてきた娘のライラが名門校に入学して、ようやく肩の荷をおろしたシングル・ファーザーのトム。このふた組の家族が、あるパーティの場で撮られた1枚の写真をきっかけに出会い、ほんとうの人生を生きるための勇気を探しはじめる。

 

  1. 3. THE OUTSIDER    Stay

Stephen King スティーヴン・キング

オクラホマで11歳の少年が殺害される。目撃証言や指紋から容疑者はひとりに絞られた。子供ふたりの父親でリトルリーグのコーチをつとめる教師のテリーだ。本人は否定するが、DNA検査が犯行を裏づけており、テリーは逮捕される。ところがテリーにはたしかなアリバイがあった。

 

  1. 4. THE PERFECT COUPLE    Down

Elin Hilderbrand エリン・ヒルダーブランド

ウェディング・シーズンのナンタケット島。オーティス家とウィンベリー家の豪華な結婚式が予定されていたその日、港で死体が発見された。お祝いムードは一転、新郎新婦とその両親、そして参列者の全員が容疑者に。ナンタケット在住の“サマー・ノベルの女王”と呼ばれる人気作家の最新作。

 

  1. 5. SHELTER IN PLACE    Stay

Nora Roberts ノーラ・ロバーツ

メーン州ポートランドのショッピングモールで銃乱射事件が起こる。わずか8分間の凶行だったが、生存者たちは心に深い傷を負い、その後の人生を大きく左右される。警察官を志す者、心を閉ざして記憶を消そうとする者……彼らが時間をかけて立ちなおりつつあるころ、新たな殺戮がおこなわれようとしていた。

 

  1. 6. TOM CLANCY LINE OF SIGHT    Down

Mike Maden マイク・メイデン

ジャック・ライアン・ジュニアを主人公としたスリラー第4作。26年前のサラエボで、爆弾の破片によって失明しかけたところをジャックの母キャシーによって救われた女の子がいた。ジャックは母のため、美しく成長していまでは難民支援団体を運営しているその女性アイーダを見つけ出し、しだいに惹かれるようになる。だが、アイーダはサラエボの街で誘拐されてしまう。

 

  1. 7. THE DEATH OF MRS. WESTAWAY    Down

Ruth Ware ルース・ウェア

タロットカードの占い師であるハルは、自分に大金を遺贈するという謎の手紙を受けとる。誤配だろうが、占いで鍛えたコールド・リーディングの手管を使えば、金をせしめられるかもしれない。そこで故人の葬式に参列するが、得体の知れない違和感を覚えることになる。

 

8. THERE THERE    Stay
Tommy Orange トミー・オレンジ

YouTubeで覚えた部族の伝統的なダンスを披露するドキュメンタリー映画作家志望の若者、先住民であるおじの死後、荒んだ生活から立ち直り、祭りで奉仕する男。そこへ行くそれぞれの理由を胸に、先住民の祭り“パウワウ”にやってきた、現代に生きる12人の都会のネイティブ・アメリカンたちの物語。

 

  1. 9. WHEN LIFE GIVES YOU LULULEMONS    Down

Lauren Weisberger ローレン・ワイズバーガー

『プラダを着た悪魔』、『プラダを着た悪魔 リベンジ!』に続く働く女性のお仕事小説第3弾。ニューヨークのファッション誌編集者からハリウッドのスタイリスト兼イメージコンサルタントに転じたエミリー。ライバルにセレブの顧客を次々に奪われて落ち目の彼女は、起死回生を期して飲酒運転で逮捕された元スーパーモデル、カロリーナのイメージ回復作戦に奮闘する。

 

  1. 10. BEFORE WE WERE YOURS    Down

Lisa Wingate リサ・ウィンゲイト

1939年テネシー。4人の弟、妹たちとともに何者かに連れ去られた12歳のリル・フォスは、二度と両親のもとに戻ることはなかった。時は流れ現在、サウスカロライナの弁護士になったエイヴリー・スタッフォードは、かつてテネシーの孤児院でおこなわれていたという違法な養子あっせん事業を調べていくうち、南部の名家といわれる自分の家族の過去を知ることに。1920年代から50年代にかけて実際にあった出来事にもとづくヒストリカルノヴェル。

 

【まとめ】

今週の新作は、2位の“ALL WE EVER WANTED”のみでした。著者のエミリー・ギフィンは、アメリカではベストセラー・リストの常連です。邦訳では『サムシング・ボロウ』(葉月悦子訳)という作品が、オーロラブックスから出ています。これは映画化もされ、2011年に「幸せのジンクス」というタイトルで、日本でも公開されました。今週4位の“THE PERFECT COUPLE”は、先週付のリストで2位に初登場していました。“サマー・ノベルの女王”と呼ばれるだけあり、昨年の7月にも、本ベストセラー・リストに作品をランクインさせています。8位の“THERE THERE”は6月24日付のリストで13位に初登場して以来、12位→8位とじわじわと順位を上げ、今週も8位に留まりました。

 

 

  1. 吉野山早苗(よしのやま さなえ)

    翻訳者です。訳書に〈英国少女探偵の事件簿〉シリーズなど。