アメリカのベストセラー・ランキング
1月27日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
- 1. AN ANONYMOUS GIRL New!
- Greer Hendricks and Sarah Pekkanen グリーア・ヘンドリックス、サラ・ペッカネン
シールズという博士が倫理と道徳に関する実験への女性参加者を募集していると聞き、報酬に釣られて応募したジェシカ。最初は質問に回答するだけだったが、実験内容はしだいに過激さを増していく。シールズには何か別の目的があるのではないかとジェシカは疑う。
- 2. WHERE THE CRAWDADS SING Down
Delia Owens デリア・オーエンズ
1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女キヤは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。
- 3. TURNING POINT New!
Danielle Steel ダニエル・スティール
多数の傷病者をともなう事故災害への対応を学ぶために、全米から外傷医4人が選抜されてパリに派遣される。光の都は新たな知識と可能性を与えてくれる場になるはずだったが、実際に恐ろしい犯罪が起き、4人は力を合わせて困難に立ち向かう。
- 4. THE NEW IBERIA BLUES New!
James Lee Burke ジェイムズ・リー・バーク
デイヴ・ロビショー・シリーズ第22作。若い女性が全裸で磔にされた事件を皮切りに、連続殺人事件が発生する。遺体の状況から、犯人は死体をタロットカードの絵柄に見立てていると思われた。デイヴが捜査を進めるうちに、旧友が事件に関与している可能性が浮上する。
- 5. THE RECKONING Down
John Grisham ジョン・グリシャム
ミシシッピ州カントンの名士ピート・バニングは、第二次大戦のヒーローとして地元住民の尊敬を集めていたが、ある日教会に出向き、友人でもある牧師を射殺してしまう。弁護士は懸命に弁護を試みるが、ピーターは、秘密を抱えたまま墓場へ行くことを望んでいるかのように、動機を一切語ろうとしなかった。その秘密は、彼がヒーローとなった戦争の中に隠されていた。
- 6. FIRE AND BLOOD Down
George R.R. Martin ジョージ・R・R・マーティン
〈氷と炎の歌〉シリーズの外伝で、ターガリエン家の歴史をつづった連作中篇集の第1集。『七王国の玉座』の約300年前、征服王エイゴン1世によるウェスタロス大陸侵攻に始まるターガリエン王朝の興亡を描く。この外伝シリーズは全2巻となる予定。
- 7. VERSES FOR THE DEAD Down
Douglas Preston and Lincoln Child ダグラス・プレストン、リンカーン・チャイルド
FBI特別捜査官ペンダーガスト・シリーズの第18作。ペンダーガストは連続殺人事件の捜査のためにニューヨークからフロリダへ飛ぶ。犯人は被害者の心臓をえぐり出し、暗号めいたメモとともに墓石のそばに残していた。調べてみると、いずれの墓石もずいぶん前に自殺した女性のものばかりだった。
- 8. EVERY BREATH Down
Nicholas Sparks ニコラス・スパークス
父親が難病と診断されたばかりのホープは、ボーイフレンドとの喧嘩をきっかけに将来について考えようと、ノースカロライナ州サンセット・ビーチにあるコテージに向かう。一方、ジンバブエで生まれ育ったシングル・ファーザーのトゥルも、父親だと名乗る人物から手紙を受け取り、はじめてサンセット・ビーチを訪れる。そこで出会ったふたりは惹かれあうが、それぞれの家族のことを考えて苦悩する。
- 9. CIRCE Down
Madeline Miller マデリン・ミラー
ギリシャ神話に登場する太陽神ヘリオスの娘キルケー。恋人を奪った海のニンフ、スキュラを魔法で怪物に変えた彼女はゼウスの怒りを買い、アイアイエー島に追放されるが、そこでオデュッセウスと出会って恋に落ちる。デビュー作『アキレウスの歌』に続き、ギリシャ神話に題材をとった著者の長編第2作。
- 10. THE WINTER OF THE WITCH New!
Katherine Arden キャサリン・アーデン
14世紀のロシアを舞台にした大人向けファンタジー3部作、ウィンターナイト・トリロジー第3部。邪悪な力にそそのかされた人間たちによってロシアは攻め滅ぼされようとしていた。祖国と家族を守るため、少女ワシリーサは冬の王マロースカの助けを借りようとする。
【まとめ】
新作が4つランクインしました。初登場で首位となったのは、ベストセラー作家と元担当編集者のコンビの2作目。1年前に発表された“THE WIFE BETWEEN US”は衝撃の心理スリラーとして話題になり、本ランキングでも2位に食いこみました。3位は常連のスティール。久しぶりの登場となった4位のバークはエドガー賞を二度受賞しており、デイヴ・ロビショー・シリーズの邦訳は第8作『燃える天使』まで刊行されています。10位のアーデンは3部作の第1部“THE BEAR AND THE NIGHTINGALE”がデビュー作で、本欄初登場となります。
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青木創(あおき はじめ) 神奈川県在住。翻訳者。E・ヴィンター『愛と怒りの行動経済学』が文庫化されました。そのほかの訳書に、J・ハーパー『渇きと偽り』、D・ワッツ『偶然の科学』など。