アメリカのベストセラー・ランキング
2月3日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
- 1. WHERE THE CRAWDADS SING Up
Delia Owens デリア・オーエンズ
1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女キヤは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。
- 2. LIAR LIAR New!
James Patterson and Candice Fox ジェイムズ・パタースン、キャンディス・フォックス
オーストラリアを舞台にした刑事ハリエット・ブルー・シリーズ第3作。ハリエットのもとに、兄の仇である連続殺人犯リーガン・バンクスから電話がかかってくる。「捕まえられるものなら捕まえてみろ」復讐に燃えるハリエットは単身リーガンを追う。絶対にこの手で殺すという誓いを胸に――
- 3. THE RECKONING Up
John Grisham ジョン・グリシャム
ミシシッピ州カントンの名士ピート・バニングは、第二次大戦のヒーローとして地元住民の尊敬を集めていたが、ある日教会に出向き、友人でもある牧師を射殺してしまう。弁護士は懸命に弁護を試みるが、ピーターは、秘密を抱えたまま墓場へ行くことを望んでいるかのように、動機を一切語ろうとしなかった。その秘密は、彼がヒーローとなった戦争の中に隠されていた。
- 4. TURNING POINT Down
Danielle Steel ダニエル・スティール
多数の傷病者をともなう事故災害への対応を学ぶために、全米から外傷医4人が選抜されてパリに派遣される。光の都は新たな知識と可能性を与えてくれる場になるはずだったが、実際に恐ろしい犯罪が起き、4人は力を合わせて困難に立ち向かう。
- 5. AN ANONYMOUS GIRL Down
Greer Hendricks and Sarah Pekkanen グリーア・ヘンドリックス、サラ・ペッカネン
シールズという博士が倫理と道徳に関する実験への女性参加者を募集していると聞き、報酬に釣られて応募したジェシカ。最初は質問に回答するだけだったが、実験内容はしだいに過激さを増していく。シールズには何か別の目的があるのではないかとジェシカは疑う。
- 6. FIRE AND BLOOD Stay
George R.R. Martin ジョージ・R・R・マーティン
〈氷と炎の歌〉シリーズの外伝で、ターガリエン家の歴史をつづった連作中篇集の第1集。『七王国の玉座』の約300年前、征服王エイゴン1世によるウェスタロス大陸侵攻に始まるターガリエン王朝の興亡を描く。この外伝シリーズは全2巻となる予定。
- 7. THE ONLY WOMAN IN THE ROOM Up
Marie Benedict マリー・ベネディクト
実在した女優であり発明家のヘディ・ラマーの伝記小説。ウィーンで生まれたヘディは1933年に18歳で出演した映画『春の調べ』で注目を集めるが、ユダヤ系だったことから祖国を離れてアメリカに移住、ハリウッドで活躍する。その一方、科学者の顔も持っていた彼女は、ナチス打倒の鍵となる可能性を秘めた魚雷誘導システムの発明に取り組む。
- 8. THE NEW IBERIA BLUES Down
James Lee Burke ジェイムズ・リー・バーク
デイヴ・ロビショー・シリーズ第22作。若い女性が全裸で磔にされた事件を皮切りに、連続殺人事件が発生する。遺体の状況から、犯人は死体をタロットカードの絵柄に見立てていると思われた。デイヴが捜査を進めるうちに、旧友が事件に関与している可能性が浮上する。
- 9. EVERY BREATH Down
Nicholas Sparks ニコラス・スパークス
父親が難病と診断されたばかりのホープは、ボーイフレンドとの喧嘩をきっかけに将来について考えようと、ノースカロライナ州サンセット・ビーチにあるコテージに向かう。一方、ジンバブエで生まれ育ったシングル・ファーザーのトゥルも、父親だと名乗る人物から手紙を受け取り、はじめてサンセット・ビーチを訪れる。そこで出会ったふたりは惹かれあうが、それぞれの家族のことを考えて苦悩する。
- 10. NINE PERFECT STRANGERS Up
Liane Moriarty リアーン・モリアーティ
都会に疲れた人々に完全な静けさを提供する、人里離れた高級スパリゾート施設〈トランキリウム・ハウス〉。“10日間であなたが変わる”プログラムに申し込み、共に滞在することになった、かつてのベストセラー・ロマンス作家フランシスと8人の宿泊客は、並外れた魅力を放つオーナーと施設のべつの顔にはまだ気づいていなかった。
【まとめ】
先日MWA新人賞にノミネートされたロングセラー、“WHERE THE CRAWDADS SING”が首位。2位に新作がランクインしました。ジェイムズ・パタースンとキャンディス・フォックスの共著による刑事ハリエット・ブルー・シリーズの第3弾です。このシリーズは未訳ですが、キャンディス・フォックスの単著によるシドニー州都警察殺人捜査課シリーズは『邂逅』、『楽園』(創元推理文庫)と邦訳が刊行されています。また7位の“THE ONLY WOMAN IN THE ROOM”は先週のランキングで初登場11位、今週は順位をあげてトップ10入りを果たしました。本作は実在の女性にスポットを当てたマリー・ベネディクト3作目の小説ですが、同著者はヘザー・テレル名義でも数冊の小説を発表しており、『蛹令嬢の肖像』(集英社文庫)の邦訳が出ています。
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満園真木(みつぞの まき) 東京在住の翻訳者。訳書はリサ・ガードナー『無痛の子』、『棺の女』(ともに小学館文庫)、ヴィンセント・ディ・マイオ、ロン・フランセル『死体は嘘をつかない 全米トップ検死医が語る死と真実』(東京創元社)、バリー・ライガ〈さよなら、シリアルキラー〉シリーズ(創元推理文庫)など。