アメリカのベストセラー・ランキング
2月24日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
- 1. THE SILENT PATIENT New!
Alex Michaelides アレックス・マイケリデス
有名画家のアリシア・ベレンソンは完璧な人生を送っているようにみえた。夫のガブリエルは人気のファッション・カメラマンで、住まいはロンドンの一等地に建つ壮大な家だ。しかしある夜、仕事から帰ってきたガブリエルの顔に向け、アリシアは5発の銃弾を撃ちこむ。それ以来、彼女はいっさい、口をつぐむのだった。
- 2. WHERE THE CRAWDADS SING Down
Delia Owens デリア・オーエンズ
1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女キヤは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。
- 3. CONNECTIONS IN DEATH New!
J.D.Rob J・D・ロブ
イヴとロークは、子どもたちが道を踏み外さないよう、正しく導くためのシェルターをつくるプロジェクトに参加する。そのプロジェクトに協力している児童心理学者のピッカーリング博士の弟も、かつてはドラッグや犯罪に手を染めていたが、彼女のサポートを受けて更生をはかっていた。しかしその弟が、腕に注射の針を刺した状態で死んでいるのが発見される。隣人は、髪をピンク色に染めた少女が彼の家から出ていくところを目撃していた。イヴ&ローク・シリーズ第48作。
- 4. BLACK LEOPARD, RED WOLF New!
Marlon James マーロン・ジェイムズ
トラッカーはその腕前を知られたハンターだ。3年まえに姿を消した少年を探すため、単独行動をするという自らに課したルールを破り、捜索チームに加わる。野生動物に襲われながら、少年の痕跡をたどって森を行き川を渡るうち、彼は疑問に思いはじめる。いったい少年は何者で、彼の失踪について誰がほんとうのことを言い、嘘をついているのか、と。
- 5. DEVOTIONS Up
Mary Oliver メアリー・オリヴァー
今年亡くなった、ピューリッツァー賞受賞詩人メアリー・オリヴァーによる2017年刊行の自選ベスト詩集。50年以上にわたって書かれた数々の作品のなかから、詩人みずから選んだ200篇あまりの詩が収められている。
- 6. AN ANONYMOUS GIRL Down
Greer Hendricks and Sarah Pekkanen グリーア・ヘンドリックス、サラ・ペッカネン
シールズという博士が倫理と道徳に関する実験への女性参加者を募集していると聞き、報酬に釣られて応募したジェシカ。最初は質問に回答するだけだったが、実験内容はしだいに過激さを増していく。シールズには何か別の目的があるのではないかとジェシカは疑う。
- 7. THE WEDDING GUEST New!
Jonathan Kellerman ジョナサン・ケラーマン
ロサンゼルスの小児臨床心理医アレックス・デラウェア・シリーズの第34作。マイロとアレックスは、期せずしてとある結婚パーティに立ち会うことになった。そこで花嫁付添人のひとりが、オートクチュールのドレスを着た女性の遺体を発見する。しかし新郎新婦をふくめ、パーティの参加者は誰も、彼女のことを知らなかった。
- 8. THE RECKONING Down
John Grisham ジョン・グリシャム
ミシシッピ州カントンの名士ピート・バニングは、第二次大戦のヒーローとして地元住民の尊敬を集めていたが、ある日教会に出向き、友人でもある牧師を射殺してしまう。弁護士は懸命に弁護を試みるが、ピーターは、秘密を抱えたまま墓場へ行くことを望んでいるかのように、動機を一切語ろうとしなかった。その秘密は、彼がヒーローとなった戦争の中に隠されていた。
- 9. FIRE AND BLOOD Down
George R.R. Martin ジョージ・R・R・マーティン
〈氷と炎の歌〉シリーズの外伝で、ターガリエン家の歴史をつづった連作中篇集の第1集。『七王国の玉座』の約300年前、征服王エイゴン1世によるウェスタロス大陸侵攻に始まるターガリエン王朝の興亡を描く。この外伝シリーズは全2巻となる予定。
- 10. LIAR LIAR Down
James Patterson and Candice Fox ジェイムズ・パタースン、キャンディス・フォックス
オーストラリアを舞台にした刑事ハリエット・ブルー・シリーズ第3作。ハリエットのもとに、兄の仇である連続殺人犯リーガン・バンクスから電話がかかってくる。「捕まえられるものなら捕まえてみろ」復讐に燃えるハリエットは単身リーガンを追う。絶対にこの手で殺すという誓いを胸に――
【まとめ】
新作が4作、ランクインしました。初登場で1位になったのは、ギリシャ出身の映画脚本家、アレックス・マイケリデスの作品。本作で作家デビューしました。脚本を担当した映画『Mr.&Mrs.フォックス』(ユマ・サーマンとティム・ロスが詐欺夫婦を演じている)が、今年の4月に公開予定です。3位には、J・D・ロブのイヴ&ローク・シリーズ第48作がはいりました。邦訳の最新刊は、46作目の『邪悪な死者の誤算』(ヴィレッジブックス)です。4位に初登場したのは、ジャマイカ出身のマーロン・ジェイムズ。政党争いに巻きこまれたボブ・マーリーが銃撃された事件を軸に、ジャマイカの血みどろの歴史を描いた“A BRIEF HISTORY OF SEVEN KILLINGS”で、2015年のブッカー賞を受賞しています。7位に初登場したのは、ジョナサン・ケラーマンのアレックス・デラウェア・シリーズ。邦訳は14作目の『マーダー・プラン』(講談社文庫)までが出ています。
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吉野山早苗(よしのやま さなえ) 翻訳者。訳書に〈英国少女探偵の事件簿〉シリーズ、『死ぬまでに飲みたいビール1001本』(共訳)など。