アメリカのベストセラー・ランキング
3月17日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
- 1. WHERE THE CRAWDADS SING Stay
Delia Owens デリア・オーエンズ
1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女キヤは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。
- 2. THE CHEF Stay
James Patterson and Max DiLallo ジェイムズ・パタースン、マックス・ディラロ
ニューオリンズ市警のケイレブ・ルーニー刑事は、フードトラック「キラー・シェフ」で人気を集める腕利きの料理人でもある。だがある事件の捜査中、正当防衛を装い不当に容疑者を射殺したとの嫌疑をかけられることに……ベストセラー作家によるスタンドアローンの新作スリラー。
- 3. THE BORDER New!
Don Winslow ドン・ウィンズロウ
米国麻薬取締局(DEA)捜査官アート・ケラーと麻薬王アダン・バレーラとの壮絶な闘いを記した『カルテル』の続編。血と暴力の麻薬戦争、犯罪捜査、政治的な駆け引きと権力の腐敗を描き、2005年刊行(邦訳は2009年)の『犬の力』にはじまる三部作を締めくくる。
- 4. AN ANONYMOUS GIRL Up
Greer Hendricks and Sarah Pekkanen グリーア・ヘンドリックス、サラ・ペッカネン
シールズという博士が倫理と道徳に関する実験への女性参加者を募集していると聞き、報酬に釣られて応募したジェシカ。最初は質問に回答するだけだったが、実験内容はしだいに過激さを増していく。シールズには何か別の目的があるのではないかとジェシカは疑う。
- 5. THE SILENT PATIENT Down
Alex Michaelides アレックス・マイケリデス
有名画家のアリシア・ベレンソンは完璧な人生を送っているようにみえた。夫のガブリエルは人気のファッション・カメラマンで、住まいはロンドンの一等地に建つ壮大な家だ。しかしある夜、仕事から帰ってきたガブリエルの顔に向け、アリシアは5発の銃弾を撃ちこむ。それ以来、彼女はいっさい、口をつぐむのだった。
- 6. CHOCOLATE CREAM PIE MURDER New!
Joanne Fluke ジョアン・フルーク
お菓子探偵ハンナ・スウェンセン・シリーズの第24作。バレンタインデー前の冬の最中、フィルムフェスティバルが開催されることに。そんな折、ハンナの自宅で死体が見つかる。シリーズ第19作の邦訳『ウェディングケーキは待っている』が昨年11月に刊行されている。
- 7. NINE PERFECT STRANGERS Up
Liane Moriarty リアーン・モリアーティ
都会に疲れた人々に完全な静けさを提供する、人里離れた高級スパリゾート施設〈トランキリウム・ハウス〉。“10日間であなたが変わる”プログラムに申し込み、共に滞在することになった、かつてのベストセラー・ロマンス作家フランシスと8人の宿泊客は、並外れた魅力を放つオーナーと施設のべつの顔にはまだ気づいていなかった。
- 8. THE RECKONING Up
John Grisham ジョン・グリシャム
ミシシッピ州カントンの名士ピート・バニングは、第二次大戦のヒーローとして地元住民の尊敬を集めていたが、ある日教会に出向き、友人でもある牧師を射殺してしまう。弁護士は懸命に弁護を試みるが、ピーターは、秘密を抱えたまま墓場へ行くことを望んでいるかのように、動機を一切語ろうとしなかった。その秘密は、彼がヒーローとなった戦争の中に隠されていた。
- 9. NEVER TELL Down
Lisa Gardner リサ・ガードナー
ボストン市警の刑事D・D・ウォレンを主人公とするシリーズの第10作。男性が自宅で射殺される事件が発生、銃を手にしていた妊娠中の妻が逮捕される。不可解なことに、コンピューターにも12発の銃弾が撃ちこまれていた。捜査にあたったD・Dは、その妻が16年前にも父親を射殺した容疑をかけられたことを思いだす。
- 10. FIRE AND BLOOD Stay
George R.R. Martin ジョージ・R・R・マーティン
〈氷と炎の歌〉シリーズの外伝で、ターガリエン家の歴史をつづった連作中篇集の第1集。『七王国の玉座』の約300年前、征服王エイゴン1世によるウェスタロス大陸侵攻に始まるターガリエン王朝の興亡を描く。この外伝シリーズは全2巻となる予定。
【まとめ】
今週は新作がふたつランクインしました。トップテン外では11位に、サマンサ・シャノンの“THE PRIORY OF THE ORANGE TREE”がはいっています。800ページを超えるスタンドアローンのエピックファンタジーで、著者はボーン・シーズン・シリーズで人気を得ている英国の作家です。
なお、本コーナーがお休みだった先週は3作品が初登場。ジェイムズ・パタースン&マックス・ディラロ、リサ・ガードナー、マーク・グリーニーの作品です。前のふたつは今週も2位と9位に残りましたが、マーク・グリーニーの“MISSION CRITICAL”は惜しくもトップ10外に。これはグレイマン・シリーズの第8作で、第7作の『暗殺者の潜入』までが邦訳されています。今週9位のリサ・ガードナーのシリーズは、第7作の邦訳『無痛
刊行され、第8作『棺の女』の登場人物フローラ・デインが、第9
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国弘喜美代(くにひろ きみよ) 南東京読書会の世話人のひとり。訳書にカレン・クリーヴランド『要秘匿』、エドワード・セント・オービンのパトリック・メルローズ・シリーズ(手嶋由美子さんとの共訳)など。次回の読書会は6月9日(日)の予定です。