アメリカのベストセラー・ランキング

4月21日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. WHERE THE CRAWDADS SING    Stay

Delia Owens デリア・オーエンズ

1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女キヤは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。

 

  1. 2. THE CORNWALLS ARE GONE    Stay

James Patterson and Brendan DuBois ジェイムズ・パタースン、ブレンダン・デュボイズ

米陸軍情報将校のエイミー・コーンウォールの夫と娘が何者かに連れ去られた。ふたりの命と引き換えに犯人が要求してきたのは、ある囚人の居場所を突きとめ脱獄させること。しかし、そのためには法を犯さなければならない。与えられた時間は48時間。エイミーは選択を迫られる。ヒットメイカー、ジェイムズ・パタースンによる緊迫のスリラー。

 

  1. 3. THE SAVIOR    New!
  2. R. Ward J・R・ウォード

 

〈黒き剣兄弟団〉に属するヴァンパイア戦士たちの生きざまを描く、パラノーマル・ロマンス、ブラック・ダガー・ブラザーフッド・シリーズの17作め。生物医学研究所の研究者、サラ・ワトキンズ博士は、勤め先の研究所が非人道的な研究を行っており、亡くなったばかりの彼女の婚約者も、その研究に関わっていたことを知る。やがて彼女は、かつて〈兄弟団〉を追われたマーダーと出会う。

 

  1. 4. RUN AWAY    Down

Harlan Coben ハーラン・コーベン

ウォール街のエリート金融マン、サイモンは大学をやめて家出した娘ペイジがセントラルパークにいるのを見つけ、連れ帰ろうとして、娘と一緒にいたアーロンという男を殴ってしまう。通行人にその場面の動画を撮られてインターネットで拡散されるなか、アーロンが死体で発見されたことから、サイモンには殺人の容疑がかけられる。

 

  1. 5. CELTIC EMPIRE    Down

Clive Cussler and Dirk Cussler クライブ・カッスラー、ダーク・カッスラー

NUMA(国立海中海洋機関)のダーク・ピットが活躍するシリーズの第25作。デトロイト川に沈んだタンカーを調べていたNUMAのダイバーが死亡。ピットらの調査で、微生物を使った事故現場の浄化をうたうバイオ企業の関与が浮上するが、その背後には古代エジプトの疫病にからむ恐るべき陰謀が隠されていた――

 

  1. 6. THE SILENT PATIENT    Up

Alex Michaelides アレックス・マイケリデス

有名画家のアリシア・ベレンソンは完璧な人生を送っているようにみえた。夫のガブリエルは人気のファッション・カメラマンで、住まいはロンドンの一等地に建つ壮大な家だ。しかしある夜、仕事から帰ってきたガブリエルの顔に向け、アリシアは5発の銃弾を撃ちこむ。それ以来、彼女はいっさい、口をつぐむのだった。

 

  1. 7. DAISY JONES & THE SIX    Up

Taylor Jenkins Reid テイラー・ジェンキンズ・リード

架空のロックバンドの誕生から解散までをオーラルヒストリーの形で綴った小説。バンドのザ・シックスはデイジーをリードシンガーとして迎えたのをきっかけに、60年代後半から70年代前半にかけて人気を博すが、やがてメンバーのあいだに確執が生まれていく。

 

  1. 8. CEMETERY ROAD    Up

Greg Iles グレッグ・アイルズ

アメリカ南部の人種差別を題材にしたナチェズ3部作の作者によるスタンドアローンのスリラー。ワシントンDCでジャーナリストとして活躍していたマーシャルは、父の死期が近いことを知って故郷のミシシッピに戻る。が、生まれ育った町は変わり果て、地元の実力者たちに牛耳られていた。さらにそこへ殺人事件が発生し、マーシャルは町のために調査に乗り出す。

 

  1. 9. WOLF PACK    Up

C.J. Box C・J・ボックス

ワイオミング州猟区管理官ジョー・ピケット・シリーズの第19作。ピケットは女性猟区管理官ケイトリンとチームを組み、友人の鷹匠ネイトの力を借りて、野生動物を脅かすドローンを操縦していた老人を突きとめたが、その人物は証人保護プログラムの保護下にあった。やがて「狼の群れ」と呼ばれる殺し屋の一団が近辺をうろつきはじめる。

 

  1. 10. THE CHEF    Up

James Patterson and Max DiLallo ジェイムズ・パタースン、マックス・ディラロ

ニューオリンズ市警のケイレブ・ルーニー刑事は、フードトラック「キラー・シェフ」で人気を集める腕利きの料理人でもある。だがある事件の捜査中、正当防衛を装い不当に容疑者を射殺したとの嫌疑をかけられることに……ベストセラー作家によるスタンドアローンの新作スリラー。

 

 

【まとめ】

デリア・オーエンズが今週も、1位に留まりました。新作は、3位のJ・R・ウォードのみ。このブラック・ダガー・ブラザーフッド・シリーズは、6作めまで邦訳が出ています。また、7位の“DAISY JONES & THE SIX”と10位の“THE CHEF”の2作が、圏外からベスト10に返り咲きました。それにより、ジェイムズ・パタースンの作品が2作、ベスト10にランクインしています。

 

  1. 吉野山早苗(よしのやま さなえ)

    翻訳者です。訳書に、〈英国少女探偵の事件簿〉シリーズなど。4月14日に翻訳ミステリー大賞が発表されました。この原稿を書いている段階では、まだ結果はわからないのですが、10回めを迎える大会で受賞するのはどの作品か、愉しみです。