アメリカのベストセラー・ランキング

5月5日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. REDEMPTION    New!

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

“完全記憶探偵”エイモス・デッカー・シリーズ第5作。妻子の墓参りのためオハイオ州バーリントンを訪れたデッカーは、新人刑事時代に殺人犯として逮捕したホーキンズに声をかけられる。膵臓がんで余命わずかのホーキンズは無実を訴えるが、やがて射殺体で発見される。過去の過ちを償うべく、真相解明に乗りだすデッカーだが……。

 

  1. 2. WHERE THE CRAWDADS SING    Down

Delia Owens デリア・オーエンズ

1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女キヤは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。

 

  1. 3. NORMAL PEOPLE    New!

Sally Rooney サリー・ルーニー

裕福な家庭育ちの孤独なマリアンと、家は貧しいがスポーツマンで人気者のコネル。アイルランドの田舎の高校に通うふたりは、恋とも友情ともつかない複雑な感情でひそかに結ばれていた。ともに名門トリニティ・カレッジへ進むと、コネルのほうがエリート揃いの周囲になじめず、ふたりの関係にも変化が――2018年コスタ賞受賞の青春小説。

 

  1. 4. LOST ROSES    Down

Martha Hall Kelly マーサ・ホール・ケリー

イライザ・フェリデーは、ある夏パリで、ロマノフ朝王家の一族であるソフィと出会い、意気投合する。イライザはロシアを訪れ、ソフィの案内で煌びやかな帝国の文化を満喫するが、第一次世界大戦が勃発し、イライザはアメリカに戻り、ソフィも田舎の領地へ疎開することに。やがて、ロシア革命が起こり、イライザは、ソフィたちの亡命を助けるために奔走する。暗い時代を生き抜いた女たちの友情の物語。

 

  1. 5. STAR WARS: MASTER & APPRENTICE    New!

Claudia Gray クラウディア・グレイ

ジェダイ・マスターのクワイ=ガン・ジンは、紛争仲裁のため弟子のオビ=ワン・ケノービとともに惑星ピジャルに赴く。だがその危険な旅により、師弟の絆が試されることに――「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」の数年前を描いたスピンオフ作品。

 

  1. 6. SOMEONE KNOWS    Down

Lisa Scottoline リザ・スコットライン

アリー・ガーヴィーは、不安に苛まれながら、昔の友人の葬儀に参列するために郷里に向かっていた。葬儀に出れば、恐ろしい秘密を共有するふたりの友人と顔を合わせなければならない。20年前、ティーンエイジャーの悪ふざけから起こった悲劇。捕まることはなかったが、秘密を抱えて生きる人生は、終身刑と変わりがなかった。罪と向かいあう決意をしたアリーを、予想だにしない結末が待ち受ける。

 

  1. 7. RUN AWAY    Down

Harlan Coben ハーラン・コーベン

ウォール街のエリート金融マン、サイモンは大学をやめて家出した娘ペイジがセントラルパークにいるのを見つけ、連れ帰ろうとして、娘と一緒にいたアーロンという男を殴ってしまう。通行人にその場面の動画を撮られてインターネットで拡散されるなか、アーロンが死体で発見されたことから、サイモンには殺人の容疑がかけられる。

 

  1. 8. THE SILENT PATIENT    Up

Alex Michaelides アレックス・マイケリデス

有名画家のアリシア・ベレンソンは完璧な人生を送っているようにみえた。夫のガブリエルは人気のファッション・カメラマンで、住まいはロンドンの一等地に建つ壮大な家だ。しかしある夜、仕事から帰ってきたガブリエルの顔に向け、アリシアは5発の銃弾を撃ちこむ。それ以来、彼女はいっさい、口をつぐむのだった。

 

  1. 9. CELTIC EMPIRE    Down
  2. Clive Cussler and Dirk Cussler クライブ・カッスラー、ダーク・カッスラー

NUMA(国立海中海洋機関)のダーク・ピットが活躍するシリーズの第25作。デトロイト川に沈んだタンカーを調べていたNUMAのダイバーが死亡。ピットらの調査で、微生物を使った事故現場の浄化をうたうバイオ企業の関与が浮上するが、その背後には古代エジプトの疫病にからむ恐るべき陰謀が隠されていた――

 

  1. 10. THE CORNWALLS ARE GONE    Down
  2. James Patterson and Brendan DuBois ジェイムズ・パタースン、ブレンダン・デュボイズ

米陸軍情報将校のエイミー・コーンウォールの夫と娘が何者かに連れ去られた。ふたりの命と引き換えに犯人が要求してきたのは、ある囚人の居場所を突きとめ脱獄させること。しかし、そのためには法を犯さなければならない。与えられた時間は48時間。エイミーは選択を迫られる。ヒットメイカー、ジェイムズ・パタースンによる緊迫のスリラー。

 

【まとめ】

WHERE THE CRAWDADS SING”から首位を奪取したのは、バルダッチの完全記憶探偵シリーズの新作。これまでの5作すべてが初登場1位を獲得している人気シリーズで、邦訳は竹書房より第2作の『完全記憶探偵エイモス・デッカー ラストマイル』まで刊行されています。3位の“NORMAL PEOPLE”はアイルランドの新進作家サリー・ルーニーの第2作で、昨年8月に本国やイギリスで刊行されてベストセラーとなり、2018年のマン・ブッカー賞の候補作に選ばれたほか、今年度の女性文学賞にもノミネート中の話題作です。ドラマ化され、BBC3からオンライン配信される予定。5位はクラウディア・グレイによるスター・ウォーズ・シリーズのスピンオフ第4弾。『STAR WARS ジャーニー・トゥ・最後のジェダイ レイア・オーガナ オルデラーンの王女』(講談社)など、過去3作はいずれも邦訳が出ています。今年2月にはオリジナル作品『円環宇宙の戦士少女』(クローディア・グレイ表記、早川書房)も刊行されたところです。

  1. 中谷友紀子(なかたに ゆきこ)

    翻訳者。先月、オスロ警察殺人捜査課特別班シリーズ第2作『フクロウの囁き』が出ました。訳書はほかに『白墨人形』『神々と戦士たちⅤ 最後の戦い』など。