アメリカのベストセラー・ランキング

5月19日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. WHERE THE CRAWDADS SING    Stay

Delia Owens デリア・オーエンズ 

1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女キヤは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。

 

2. THE 18TH ABDUCTION    New!

James Patterson and Maxine Paetro ジェイムズ・パタースン、マクシーン・ペトロ

女性殺人捜査クラブ・シリーズ第18作。3人の女性教師が失踪し、ひとりが遺体となって発見されるという事件が起こり、サンフランシスコ市警のリンジー・ボクサーは捜査に乗り出す。一方でリンジーの夫のジョーは、死んだはずの戦争犯罪人をこの街で目撃したと語る東欧出身の女と知り合うが、その女も失踪してしまう。

 

  1. 3. REDEMPTION    Stay

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

“完全記憶探偵”エイモス・デッカー・シリーズ第5作。妻子の墓参りのためオハイオ州バーリントンを訪れたデッカーは、新人刑事時代に殺人犯として逮捕したホーキンズに声をかけられる。膵臓がんで余命わずかのホーキンズは無実を訴えるが、やがて射殺体で発見される。過去の過ちを償うべく、真相解明に乗りだすデッカーだが……。

 

  1. 4. NEON PREY    Down

John Sandford ジョン・サンドフォード

ルーカス・ダヴンポートの「獲物」シリーズ第29作。恐喝罪で逮捕された男が保釈中に逃亡した。連邦保安官のルーカスがその男のルイジアナの自宅を調べたところ、裏の木立に複数の死体が埋められているのが見つかる。死体の損壊具合から食人がおこなわれたものと推察された。

 

  1. 5. LOST ROSES    Down

Martha Hall Kelly マーサ・ホール・ケリー

イライザ・フェリデーは、ある夏パリで、ロマノフ朝王家の一族であるソフィと出会い、意気投合する。イライザはロシアを訪れ、ソフィの案内で煌びやかな帝国の文化を満喫するが、第一次世界大戦が勃発し、イライザはアメリカに戻り、ソフィも田舎の領地へ疎開することに。やがて、ロシア革命が起こり、イライザは、ソフィたちの亡命を助けるために奔走する。暗い時代を生き抜いた女たちの友情の物語。

 

  1. 6. NORMAL PEOPLE    Stay

Sally Rooney サリー・ルーニー

裕福な家庭育ちの孤独なマリアンと、家は貧しいがスポーツマンで人気者のコネル。アイルランドの田舎の高校に通うふたりは、恋とも友情ともつかない複雑な感情でひそかに結ばれていた。ともに名門トリニティ・カレッジへ進むと、コネルのほうがエリート揃いの周囲になじめず、ふたりの関係にも変化が――2018年コスタ賞受賞の青春小説。

 

  1. 7. THE SILENT PATIENT    Up

Alex Michaelides アレックス・マイケリデス

有名画家のアリシア・ベレンソンは完璧な人生を送っているようにみえた。夫のガブリエルは人気のファッション・カメラマンで、住まいはロンドンの一等地に建つ壮大な家だ。しかしある夜、仕事から帰ってきたガブリエルの顔に向け、アリシアは5発の銃弾を撃ちこむ。それ以来、彼女はいっさい、口をつぐむのだった。

 

8. A WOMAN IS NO MAN    New!

Etaf Rum イタフ・ルム

パレスチナで生まれ育った17歳の少女イスラは、父親が選んだ相手と結婚し、ブルックリンで暮らしはじめる。義母のファリーダからは男児を産むよう催促されるが、もうけたのは女児ばかりだった。そのひとりであるデヤが18歳になると、ファリーダは見合いをさせようとするが、本人は進学を希望していた。

 

  1. 9. FIRE AND BLOOD    Stay

George R.R. Martin ジョージ・R・R・マーティン

〈氷と炎の歌〉シリーズの外伝で、ターガリエン家の歴史をつづった連作中篇集の第1集。『七王国の玉座』の約300年前、征服王エイゴン1世によるウェスタロス大陸侵攻に始まるターガリエン王朝の興亡を描く。この外伝シリーズは全2巻となる予定。

 

  1. 10. SOMEONE KNOWS    Down

Lisa Scottoline リザ・スコットライン

アリー・ガーヴィーは、不安に苛まれながら、昔の友人の葬儀に参列するために郷里に向かっていた。葬儀に出れば、恐ろしい秘密を共有するふたりの友人と顔を合わせなければならない。20年前、ティーンエイジャーの悪ふざけから起こった悲劇。捕まることはなかったが、秘密を抱えて生きる人生は、終身刑と変わりがなかった。罪と向かいあう決意をしたアリーを、予想だにしない結末が待ち受ける。

 

【まとめ】

オーエンズが首位に返り咲き、35週連続でベストセラーリスト入りを果たしています。本連載が休みだった先週に初登場で2位となったサンドフォードが、今週も4位に食いこみました。「獲物」シリーズの新作は約1年ぶりで、邦訳は10作目の『餌食』まで刊行されています。今週初登場で2位となったのはパタースンとペトロのコンビによる人気シリーズの最新作。8位にはパレステチナ系アメリカ人作家のデビュー作がランクインしました。いまも根強く残る父権的な文化を生々しく描き出した作品として、注目を集めています。

 

 

  1. 青木創(あおき はじめ)

    リー・チャイルド『ミッドナイト・ライン』が刊行されました。ジャック・リーチャー・シリーズ第22作です。また、ゴールド・ダガー賞を受賞したジェイン・ハーパー『渇きと偽り』の続編が今夏に刊行予定です。どうぞよろしくお願いいたします。