アメリカのベストセラー・ランキング

9月22日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. WHERE THE CRAWDADS SING    Up

Delia Owens デリア・オーエンズ

1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女カイヤは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。

 

  1. 2. VENDETTA IN DEATH    New!

J.D. Robb  J・D・ロブ

イヴ&ローク・シリーズ第49作。裕福な実業家マッケンロイが、レディ・ジャスティスと称する復讐者によって惨殺される。マッケンロイには女性たちを貶める裏の顔があった。同様の事件がたてつづけに起こり、犯人とおぼしき人物を絞りこんだイヴとピーボディは決定的な証拠をつかもうとする。

 

  1. 3. THIS TENDER LAND    New!

William Kent Krueger ウィリアム・ケント・クルーガー

大恐慌の時代、ネイティブ・アメリカンの子どもたちを親から引き離して教育する学校から、4人の孤児がカヌーで逃げ出した。自分たちの居場所を探してミネソタからミシシッピをめざす旅の途中で、厳しい時代を懸命に生きるさまざまな人々に出会う。

 

  1. 4. THE ORACLE    New!

Jonathan Cahn ジョナサン・カーン

有名なメシアニック・ジュダイズムのラビである著者が、ヘブライ聖書のヨベル書の謎を、物語の形をとって解説する。七つの鍵を与えられた旅人が扉をひとつずつ開けていくと、現代の世界を揺るがすさまざまなできごとの背後に隠れた古代の秘密が、明らかになっていく。

 

  1. 5. A BETTER MAN    Down

Louise Penny ルイーズ・ペニー

ガマシュ警部シリーズ第15作。ケベック州警察殺人課に復帰したガマシュのもとに、妊娠中の娘が失踪したという男が相談に訪れ、暴力亭主が娘を殺したのではないかと訴える。一方スリーパインズ村では、近づく嵐で川があふれ洪水になる恐れがあると、土嚢を積んだり避難準備をしたりと住人たちは大騒ぎ。その川底から女の死体が発見され――

 

  1. 6. THE GIRL WHO LIVED TWICE    Down

David Lagercrantz ダヴィド・ラーゲルクランツ

故スティーグ・ラーソンのミレニアム3部作をダヴィド・ラーゲルクランツが書き継ぐミレニアム・シリーズの通算6作目。手足の指が欠損した小柄な男が死体で発見され、そのポケットからミカエルの電話番号のメモが見つかる。リスベットの協力を得て死んだ男の身元を探るうち、スウェーデン政府高官が過去に遭遇したエヴェレスト登山事故との関連が浮上する。

 

  1. 7. THE SECRETS WE KEPT    New!

Lara Prescott ララ・プレスコット

冷戦のさなか、CIAのタイピストだったふたりの女性に前代未聞の任務が課せられた――スパイとなり、ソ連で出版が禁じられたパステルナークの小説『ドクトル・ジバゴ』を密かに持ち出して、この傑作を世界にひろめるというものだった。

 

  1. 8. THE INN    Down

James Patterson and Candice Fox ジェイムズ・パタースン、キャンディス・フォックス

元ボストン市警刑事ビル・ロビンソンは、マサチューセッツの港町で妻の遺した海辺の宿を営んでいた。それぞれに過去を抱えた長期滞在者たちとの交流が心の支えだが、町に現われた麻薬組織の一員によってその平穏は乱される。宿を守るため、ビルと仲間たちは危険な闘いに挑む。

 

  1. 9. THE DARK SIDE    Down

Danielle Steel ダニエル・スティール

子供のころに難病の妹を亡くしたゾーイは、結婚して娘が生まれると、完璧な母親になろうと決意する。だが、やんちゃな娘ジェイミーは、生後数カ月からたびたび怪我をして病院に運ばれ、心配するゾーイの夫の心にはある恐ろしい疑念が頭をもたげはじめる。

 

  1. 10. THE TURN OF THE KEY    Down

Ruth Ware ルース・ウェア

ローワン・ケインは、スコットランドの田舎町の屋敷に住み込みの家庭教師として赴任する。多額の報酬、スマートホーム化された豪邸、感じのいい夫妻と娘たち――理想的に思えた仕事は、じきに悪夢へ変わる。娘のひとりを殺害した容疑で逮捕されたのだ。獄中から無実を訴えるローワンの手紙によって、屋敷での真相が明かされていく。

 

【まとめ】

またもやオーエンズが1位に返り咲き。初登場からほぼ一年がたちますが、根強い人気です。今週は新たに4作品がランクインしました。2位にはJ・D・ロブ(ノーラ・ロバーツの別名義)のイヴ&ローク・シリーズ最新刊。邦訳では第47作となる『死を招く盗作』(ヴィレッジブックス)が、本年5月に刊行されています。3位は『血の咆哮』をはじめとする元保安官コーク・オコナー・シリーズや、エドガー賞やバリー賞を受賞した『ありふれた祈り』などで知られるウィリアム・K・クルーガーによるノンシリーズ作品。7位のララ・プレスコットはこの作品が小説デビュー作ですが、著者のウェブサイトによれば、すでに29の言語への翻訳と映画化が決定しているそうです。ベストテン外では、11位にクリスティン・フィーハンの闇の一族カルパチアン・シリーズ第33作“DARK ILLUSION”がはいりました。

 

 

  1. 佐藤桂(さとう けい)

    神奈川在住の翻訳者です。『RE:THINK――答えは過去にある』(早川書房)、『逆転交渉術:まずは「ノー」を引き出せ』(早川書房)、『中途の家』(越前敏弥さんとの共訳、角川文庫)など。