アメリカのベストセラー・ランキング

10月6日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. THE INSTITUTE    Up

Stephen King スティーヴン・キング

侵入者に両親を殺され、真夜中に自宅から連れ去られた12歳の少年ルーク。目覚めると、きのうまで暮らした自分の部屋とそっくりだが窓のない部屋にいた。そこはある邪悪な目的をもった施設で、ルークのほかにも子どもたちが何人も集められていた。そしてその子たちに共通していたのは、全員がテレパシーやテレキネシスといった特殊能力をもっていることだった。

 

  1. 2. THE TESTAMENTS    Down

Margaret Atwood マーガレット・アトウッド

環境破壊などで極端な少子化が進んだ近未来、子を産むためだけに支配層に仕える“侍女”たちの世界を描いたベストセラー・ディストピア小説『侍女の物語』(ドラマ『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』原作)の続編。前作からさらに15年後の世界を、独裁国家ギレアデの内側と外側にいる3人の女性の視点から描く。2019年度ブッカー賞最終候補作。

 

  1. 3. WHERE THE CRAWDADS SING    Stay

Delia Owens デリア・オーエンズ

1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女カイヤは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。

 

  1. 4. LAND OF WOLVES    New!

Craig Johnson クレイグ・ジョンソン

ワイオミング州の保安官、ウォルト・ロングマイヤを主人公にした人気シリーズ第15作。羊飼いが死んでいるのが見つかった。当初は自殺かと思われたが、過去にさまざまな暴力事件を起こしてきたエチェパレ家との関係が浮かび上がると、ロングマイヤは殺人の可能性を疑い、捜査に乗り出す。

 

  1. 5. THE GIRL WHO LIVED TWICE    Up

David Lagercrantz ダヴィド・ラーゲルクランツ

故スティーグ・ラーソンのミレニアム3部作をダヴィド・ラーゲルクランツが書き継ぐミレニアム・シリーズの通算6作目。手足の指が欠損した小柄な男が死体で発見され、そのポケットからミカエルの電話番号のメモが見つかる。リスベットの協力を得て死んだ男の身元を探るうち、スウェーデン政府高官が過去に遭遇したエヴェレスト登山事故との関連が浮上する。

 

  1. 6. THE ORACLE    Down

Jonathan Cahn ジョナサン・カーン

有名なメシアニック・ジュダイズムのラビである著者が、ヘブライ聖書のヨベル書の謎を、物語の形をとって解説する。七つの鍵を与えられた旅人が扉をひとつずつ開けていくと、現代の世界を揺るがすさまざまなできごとの背後に隠れた古代の秘密が、明らかになっていく。

 

  1. 7. KILLER INSTINCT    Down

James Patterson and Howard Roughan ジェイムズ・パタースン、ハワード・ローワン

異常心理が専門の大学教授で元CIAエージェントのディラン・ラインハートがニューヨーク市警のエリザベス(リジー)・ニーダム刑事とタッグを組んで、9/11後のニューヨークをねらう大規模テロに挑む。ドラマ『インスティンクト―異常犯罪捜査―』原作ベストセラー“Murder Games”(のちに“Instinct”に改題)続編。

 

  1. 8. RED AT THE BONE    New!

Jacqueline Woodson ジャクリーン・ウッドソン

2001年のある晩、ブルックリンのアパートメント・ハウスで親類や友人たちに見守られながら、16歳を迎えるメロディのためのパーティがはじまろうとしていた。彼女が着ているカスタムメイドのドレスは16年まえ、メロディの母親のためにつくられたものだ。しかし母親がそのドレスを着るはずだったパーティは、開かれることはなかった。3世代にわたる家族の物語。

 

  1. 9. THE TITANIC SECRET    Down

Clive Cussler and Jack Du Brul クライブ・カッスラー、ジャック・ダブラル

私立探偵アイザック・ベル・シリーズ第11作。NUMA(国立海中海洋機関)のダーク・ピットが見つけた古い日記は、20世紀初頭に活躍した〈ヴァン・ドーン探偵社〉の探偵アイザック・ベルが記したものだった。1911年、ベルが調査していたコロラドの鉱山で起きた9人の不審な死の真相は、やがて北大西洋に沈んだタイタニック号の秘密につながっていく。

 

  1. 10. A BETTER MAN    Down

Louise Penny ルイーズ・ペニー

ガマシュ警部シリーズ第15作。ケベック州警察殺人課に復帰したガマシュのもとに、妊娠中の娘が失踪したという男が相談に訪れ、暴力亭主が娘を殺したのではないかと訴える。一方スリーパインズ村では、近づく嵐で川があふれ洪水になる恐れがあると、土嚢を積んだり避難準備をしたりと住人たちは大騒ぎ。その川底から女の死体が発見され――

 

【まとめ】                            

年1作のペースで新作を発表しているクレイグ・ジョンソンのシリーズ15作目が、4位に初登場しました。息の長いシリーズで、人気の高さがうかがえます。また、ジャクリーン・ウッドソンの新作が9位に初登場しました。ウッドソンは昨年、児童文学作品に与えられるアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受賞しています。その受賞作の邦訳は『みんなとちがうきみだけど』(汐文社/都甲幸治訳)というタイトルで、今年の3月に出版されました。

 

  1. 吉野山早苗(よしのやま さなえ)

    翻訳者です。来月、新しい訳書『レディーズ・メイドは見逃さない』(マライア・フレデリクス/コージーブックス)が出ます。20世紀初めのニューヨークを舞台にした〈ニューヨーク五番街の事件簿〉シリーズの1作目です。よろしくお願いします。