アメリカのベストセラー・ランキング

11月17日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. BLUE MOON    New!

Lee Child リー・チャイルド

ジャック・リーチャー・シリーズ第24作。グレイハウンド・バスに偶然乗り合わせた老人を救い、老人とその妻が高利貸しに苦しめられていることを知ったリーチャーは、やがて町を二分するウクライナ人とアルバニア人のギャング抗争に巻きこまれていく。

 

  1. 2. THE GUARDIANS    Stay

John Grisham ジョン・グリシャム

フロリダで弁護士が射殺される事件が起こり、かつての依頼人だったミラーという若い黒人が逮捕される。ミラーは有罪判決を受けるが、その後も22年にわたって獄中から無実を訴えつづけていた。冤罪被害者の救済活動をおこなっている牧師にして弁護士であるカレン・ポストは、ミラーの支援に乗り出す。

 

  1. 3. THE NIGHT FIRE    Down

Michael Connelly マイクル・コナリー

ハリー・ボッシュは亡き先輩刑事の遺した事件ファイルから、30年近く前の未解決殺人に関心を持ち、ロス市警のレネー・バラードに協力を頼む。その一方でバラードはホームレスがねぐらのテントで焼死した事件を追っていた。ハリー・ボッシュとレネー・バラードのコンビによる第2弾。

 

  1. 4. WHERE THE CRAWDADS SING    Down

Delia Owens デリア・オーエンズ

1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女カイヤは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。

 

  1. 5. FIND ME    New!

André Aciman アンドレ・アシマン

2007年に刊行され、2017年に映画化された世界的ベストセラー『君の名前で僕を呼んで』の続編。エリオの父サミュエルは、ローマでピアニストとして成功しているエリオに会いにゆく列車の中で、自分の人生を一変させる女性に出会う。エリオはまもなくパリへ移り住む。一方で、家庭を持ち、ニューイングランドの大学で教鞭をとっていたオリヴァーも、ヨーロッパへ渡る決心をする。

 

  1. 6. THE DUTCH HOUSE    Up

Ann Patchett アン・パチェット

瀟洒な屋敷〈ダッチハウス〉で何不自由なく暮らす二人の子供、姉ミーブと弟ダニー。あるとき継母がやってきて二人は屋敷から追われてしまう。それから数十年、つらい生活のなかで姉弟は分かちがたい絆で結ばれる一方、二度ともどれない家へと何度となく引き寄せられていく。家族の離散と過去への執着の物語。

 

  1. 7. THE GIVER OF STARS    Up

Jojo Moyes ジョジョ・モイーズ

1930年代、アメリカ人と結婚したアリスは、英国での窮屈な人生から抜け出せるものと考えていたが、ケンタッキー州の小さな町へ移っても、結局は息の詰まる毎日がつづいた。しかしアリスは山奥まで馬で本を届ける巡回図書館員として働きはじめ、同僚の女性4人と友情をはぐくむようになる。実話にもとづく物語。

 

  1. 8. THE INSTITUTE    Up

Stephen King スティーヴン・キング

侵入者に両親を殺され、真夜中に自宅から連れ去られた12歳の少年ルーク。目覚めると、きのうまで暮らした自分の部屋とそっくりだが窓のない部屋にいた。そこはある邪悪な目的をもった施設で、ルークのほかにも子どもたちが何人も集められていた。そしてその子たちに共通していたのは、全員がテレパシーやテレキネシスといった特殊能力をもっていることだった。

 

  1. 9. THE LOST CAUSES OF BLEAK CREEK    New!

Rhett McLaughlin and Link Neal with Lance Rubin レット・マクラフリン、リンク・ニール、ランス・ルビン

1992年、南部の退屈な田舎町ノースカロライナ州ブリーク・クリーク。地元の少年たちは町にある矯正施設〈ホワイトウッド・スクール〉を何よりも恐れていた――そこは厳格で知られるうえ、過去に何度も奇妙な死亡事件が起きていた。ハイスクール1年生のレックスとリーフは、施設に入れられてしまった友人を救うため、施設と町に隠された謎に迫る。

 

  1. 10. THE 19TH CHRISTMAS    Down

James Patterson and Maxine Paetro ジェイムズ・パタースン、マクシーン・ペトロ

女性殺人捜査クラブ・シリーズ第19作。サンフランシスコ市警のリンジー・ボクサーは、“ローマン”と呼ばれる人物がクリスマスに大事件を起こす計画を立てているという情報を手に入れる。リンジーは計画を阻止しようとするが、何者かがさまざま手を使って捜査を攪乱する。

 

【まとめ】

今週は1位、5位、9位が新登場の作品です。3位は本コーナーがお休みだった先週に初登場1位を獲得した、ハリー・ボッシュ・シリーズの第22作(レネー・バラード・シリーズとしては第3作、バラード&ボッシュ・シリーズとしては第2作)。邦訳では、ハリー・ボッシュ・シリーズ第19作『訣別』が2019年7月に刊行されています。5位の“FIND ME”は『君の名前で僕を呼んで』の続編ですが、エリオの父サミュエルの物語が前作から10年後、パリで暮らすエリオの物語がその5年後、アメリカにいるオリヴァーの物語が前作から20年後という設定だそうです。9位の著者“レット&リンク”は、YouTubeの人気番組“Good Mythical Morning”を手がけているコメディアン。作品の主人公たちと同じく、ノースカロライナ州の出身でハイスクールからの親友同士だということです。ベストテン外では、先週4位に初登場したネルソン・デミル、アレックス・デミルのスリラー“THE DESERTER”が12位につけています。

 

 

  1. 佐藤桂(さとう けい)

    神奈川在住の翻訳者です。『RE:THINK――答えは過去にある』(早川書房)、『逆転交渉術:まずは「ノー」を引き出せ』(早川書房)、『中途の家』(越前敏弥さんとの共訳、角川文庫)など。