アメリカのベストセラー・ランキング

12月1日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. TWISTED TWENTY-SIX    New!

Janet Evanovich ジャネット・イヴァノビッチ

ステファニー・プラム・シリーズ第26作。ステファニーの祖母マズールが、ふたたび結婚することになった。相手は地元のギャング、ジミー・ロッソーリだ。しかし結婚の誓いをしてから45分後、新郎は心臓発作で亡くなる。ジミーのかつての“ビジネス・パートナー”は、マズールがジミーの財産に関する鍵を握っていると確信。彼女は危険に巻き込まれることになる。

 

  1. 2. THE GUARDIANS    Stay

John Grisham ジョン・グリシャム

フロリダで弁護士が射殺される事件が起こり、かつての依頼人だったミラーという若い黒人が逮捕される。ミラーは有罪判決を受けるが、その後も22年にわたって獄中から無実を訴えつづけていた。冤罪被害者の救済活動をおこなっている牧師にして弁護士であるカレン・ポストは、ミラーの支援に乗り出す。

 

  1. 3. BLUE MOON    Down

Lee Child リー・チャイルド

ジャック・リーチャー・シリーズ第24作。グレイハウンド・バスに偶然乗り合わせた老人を救い、老人とその妻が高利貸しに苦しめられていることを知ったリーチャーは、やがて町を二分するウクライナ人とアルバニア人のギャング抗争に巻きこまれていく。

 

  1. 4. WHERE THE CRAWDADS SING    Stay

Delia Owens デリア・オーエンズ

1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女カイヤは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。

 

  1. 5. THE NIGHT FIRE    Stay

Michael Connelly マイクル・コナリー

ハリー・ボッシュは亡き先輩刑事の遺した事件ファイルから、30年近く前の未解決殺人に関心を持ち、ロス市警のレネー・バラードに協力を頼む。その一方でバラードはホームレスがねぐらのテントで焼死した事件を追っていた。ハリー・ボッシュとレネー・バラードのコンビによる第2弾。

 

  1. 6. THE DUTCH HOUSE    Up

Ann Patchett アン・パチェット

瀟洒な屋敷〈ダッチハウス〉で何不自由なく暮らす二人の子供、姉ミーブと弟ダニー。あるとき継母がやってきて二人は屋敷から追われてしまう。それから数十年、つらい生活のなかで姉弟は分かちがたい絆で結ばれる一方、二度ともどれない家へと何度となく引き寄せられていく。家族の離散と過去への執着の物語。

 

  1. 7. OLIVE, AGAIN    Up

Elizabeth Strout エリザベス・ストラウト

ピューリッツァー賞を受賞した『オリーヴ・キタリッジの生活』の続編。父の死を受け入れようとする少女。出産を控えた女。学生時代の秘めた恋を告白する看護師。遺産を相続したくない弁護士。小さな港町クロスビーに暮らす人々に、傍若無人な数学教師オリーヴがかかわっていく。

 

  1. 8. THE INSTITUTE    Stay

Stephen King スティーヴン・キング

侵入者に両親を殺され、真夜中に自宅から連れ去られた12歳の少年ルーク。目覚めると、きのうまで暮らした自分の部屋とそっくりだが窓のない部屋にいた。そこはある邪悪な目的をもった施設で、ルークのほかにも子どもたちが何人も集められていた。そしてその子たちに共通していたのは、全員がテレパシーやテレキネシスといった特殊能力をもっていることだった。

 

  1. 9. THE STARLESS SEA    Down

Erin Morgenstern エリン・モーゲンスターン

バーモントの大学院に通うザッカリー・エズラが偶然手にした本を開いてみると、不思議なことに自分の子ども時代の出来事が仔細に描かれていた。ミツバチ、鍵、剣という手がかりを得た彼は、秘密の扉の先にある秘密の地下図書館へと導かれてゆく。『夜のサーカス』の作者による長編ファンタジー第2弾。

 

  1. 10. THE GIVER OF STARS    Down

Jojo Moyes ジョジョ・モイーズ

1930年代、アメリカ人と結婚したアリスは、英国での窮屈な人生から抜け出せるものと考えていたが、ケンタッキー州の小さな町へ移っても、結局は息の詰まる毎日がつづいた。しかしアリスは山奥まで馬で本を届ける巡回図書館員として働きはじめ、同僚の女性4人と友情をはぐくむようになる。実話にもとづく物語。

【まとめ】

新作は、1位に初登場したイヴァノビッチのステファニー・プラム・シリーズの26作目のみでした。ベスト10圏外では、ダニエル・H・ウィルソンの“MICHAEL CRICHTON : THE ANDROMEDA EVOLUTION”が13位に初登場しています。これは、マイクル・クライトンの『アンドロメダ病原体』(朝倉久志/早川書房)の続編です。ウィルソンの邦訳作品には、『ロボポカリプス』(鎌田三平訳/角川書店)があります。

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    1. 吉野山早苗(よしのやま さなえ)

      翻訳者です。訳書に『レディーズ・メイドは見逃さない』(マライア・フレデリクス/コージーブックス)。〈ニューヨーク五番街の事件簿〉シリーズとして、2作目も年明けに出版予定です。