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福岡に翻訳ミステリーの未来を見た!

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 雨のあがった夕暮れどき、ビルの建ち並ぶ繁華街にひっそりとたたずむ洋館にたどりついた。築百年、国の重要文化財に指定された由緒ある建物、福岡市文学館。ここで第二回福岡読書会が開かれるのだ。

 木製の階段をのぼり、天井の高い広々とした部屋に入る。ゴージャス! こんな部屋で読書会? いやがうえにも期待が膨らむのだった。

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 午後七時、いよいよスタート。参加してくださった方の三分の二は女性で若い人ばかり、男性陣は大学生から年配の方まで幅が広い。

 冒頭、課題本『クリスマスに少女は還る』の翻訳者、務台夏子さんから預かってきたメッセージを披露したあと、参加者の方々の自己紹介、それから感想を述べていくという形で会は進行した。

 初めての方が多いにもかかわらず、どなたも積極的に意見を述べられた。各人各様の解釈に触れ、思わず膝を打つというのは読書会の醍醐味だが、今回も若い女性ならではの読み方に、なるほどと感心することたびたび、あっという間に二時間が過ぎてしまった。

 務台さんからのプレゼント本をめぐる大ジャンケン大会で会は締めくくられた。

 今回、福岡在住の翻訳者、三角和代さんと駒月雅子さんが中心となって準備を進めたわけだが、第一回の読書会に参加した方たちがバックアップし、その熱意が会全体にみなぎっていた。自分たちの手でなにかムーヴメントを起こそうという前向きの姿勢、そのエネルギーを感じることができた。

 なによりもすばらしかったのは、参加してくださった方たちだ。翻訳ミステリーをかなり読み込んでおられる人ももちろんいるのだが、ふだんはあまり翻訳ものに馴染みのない方が多かった。読書会をきっかけに翻訳ミステリーを読もうと思い立ってくれたのだ。しかも、詳しい方たちと交流し、積極的に情報を仕入れていた。翻訳ミステリーを仲立ちにして人の輪が広がっていく。これはもう大成功でしょう、福岡読書会。わざわざ広島から参加してくださった大学生のA君、読書会とはどういうものか知らなかったBさん、熊本から駆けつけてくださったCさん、こういう方たちの参加はとても貴重だ。ほんとうに喜ばしいことだと思った。

 読書会よりもさらにゆるい会、ミステリーを肴にした飲み会も開かれると聞いた。福岡ではなにかが動き出している。すばらしいことだ。このような動きが、日本中に広がっていくことを切に願う。

 きっかけさえあれば、翻訳ミステリーを読んでみようという人たちは確実にいる。わたしは明るい気持ちで帰途についたのだった。

 ということで、福岡で出会ったみなさま、ほんとうにありがとうございました。

横山啓明(よこやま ひろあき)AB型のふたご座。音楽を聴きながらのジョギングが日課。主な訳書:ペレケーノス『夜は終わらない』、ダニング『愛書家の死』、ゾウハー『ベルリン・コンスピラシー』、アントニィ『ベヴァリー・クラブ』、ラフ『バッド・モンキーズ』など。

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お疲れさまです!!

 読書会の準備期間編を読んでいて、本当に幸せな気持ちになりました。世話人たちはメンバーの方々に精神面でも大きく支えられていたのだと、あらためて感じています。準備作業自体はいわば“慣れ”ですから、回を重ねればより効率的に進められるようになるでしょう。

 でもめったにない貴重な機会に恵まれたわけですから、ノリノリで張り切って臨みたい!

 それを可能にしてくれたのがメンバーたちの頼もしい積極的な姿勢でしたね。

最初は「翻訳ミステリーのおもしろさを少しでも多くの人に知ってもらいたい」という少し抽象的な動機で活動に携わっていましたが、だんだん、「小説好きの仲間たちのために、これまであるとは知らなかった抽斗を開けるささやかなきっかけを作り、そのささやかな接点を通じて自分も一緒に楽しみたい」という気持ちに変わっていった気がします。(ドラッカーか!)

 わたしも新しい抽斗をこれからどんどん開けるばい!

駒月 雅子(こまつき まさこ)1962年生まれ。慶応義塾大学文学部卒、英米文学翻訳家。マクロイ『幽霊の2/3』、スティーヴンスン『難破船』、ドラモンド『あなたに不利な証拠として』、リッチー『カーデュラ探偵社]』、キイス『預言』ほか多数。

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