アメリカのベストセラー・ランキング

12月22日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. THE GUARDIANS    Up

John Grisham ジョン・グリシャム

フロリダで弁護士が射殺される事件が起こり、かつての依頼人だったミラーという若い黒人が逮捕される。ミラーは有罪判決を受けるが、その後も22年にわたって獄中から無実を訴えつづけていた。冤罪被害者の救済活動をおこなっている牧師にして弁護士であるカレン・ポストは、ミラーの支援に乗り出す。

 

  1. 2. WHERE THE CRAWDADS SING    Up

Delia Owens デリア・オーエンズ

1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女カイヤは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。早川書房より3月に邦訳刊行予定。

 

  1. 3. CRISS CROSS    Up

James Patterson ジェイムズ・パタースン

刑事アレックス・クロス・シリーズ第27作。ヴァージニア州立刑務所で、自らが捕らえた殺人犯の死刑執行を見届けたクロス。だが数時間後、類似の手口の殺人事件が発生する。被害者の遺体には“しくじったな、クロス”と書かれた手紙が。はたしてクロスは無実の人間を死に追いやったのだろうか……。

 

  1. 4. THE INSTITUTE    Up

Stephen King スティーヴン・キング

侵入者に両親を殺され、真夜中に自宅から連れ去られた12歳の少年ルーク。目覚めると、きのうまで暮らした自分の部屋とそっくりだが窓のない部屋にいた。そこはある邪悪な目的をもった施設で、ルークのほかにも子どもたちが何人も集められていた。そしてその子たちに共通していたのは、全員がテレパシーやテレキネシスといった特殊能力をもっていることだった。

 

  1. 5. A MINUTE TO MIDNIGHT    Stay

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

FBI捜査官アトリーは、30年前に自分と双子の姉妹マーシーが連れ去られた事件を再捜査するため、故郷へ帰ってくる。ところが、狭い町は思いのほか秘密に満ちていて、調べはじめるや不可解な殺人事件がつぎつぎと起こる。過去をつつくことで事件が引き起こされたのだろうか。アトリーは昔の誘拐事件ばかりか現在の連続殺人にもかかわることになる。アトリー・パイン・シリーズの第2作。

 

  1. 6. BLUE MOON    Up

Lee Child リー・チャイルド   

  

ジャック・リーチャー・シリーズ第24作。グレイハウンド・バスに偶然乗り合わせた老人を救い、老人とその妻が高利貸しに苦しめられていることを知ったリーチャーは、やがて町を二分するウクライナ人とアルバニア人のギャング抗争に巻きこまれていく。

 

  1. 7. TWISTED TWENTY-SIX    Stay

Janet Evanovich ジャネット・イヴァノビッチ

ステファニー・プラム・シリーズ第26作。ステファニーの祖母マズールが、ふたたび結婚することになった。相手は地元のギャング、ジミー・ロッソーリだ。しかし結婚の誓いをしてから45分後、新郎は心臓発作で亡くなる。ジミーのかつての“ビジネス・パートナー”は、マズールがジミーの財産に関する鍵を握っていると確信。彼女は危険に巻き込まれることになる。

 

  1. 8. THE RISE OF MAGICKS    Down

Nora Roberts ノーラ・ロバーツ

死の病ドゥームによって文明が破壊された世界で、選ばれし救世主“ザ・ワン”として生まれ、魔法を操る力を身につけた少女ファロン。19歳に成長した彼女は、政府や犯罪集団に囚われた仲間たちの救出にあたりながら、世界を闇から守るシールドの回復を目指す。光の魔法トリロジー完結編。

 

  1. 9. THE DUTCH HOUSE    Up

Ann Patchett アン・パチェット

瀟洒な屋敷〈ダッチハウス〉で何不自由なく暮らす二人の子供、姉ミーブと弟ダニー。あるとき継母がやってきて二人は屋敷から追われてしまう。それから数十年、つらい生活のなかで姉弟は分かちがたい絆で結ばれる一方、二度ともどれない家へと何度となく引き寄せられていく。家族の離散と過去への執着の物語。

 

  1. 10. THE TESTAMENTS    Down

Margaret Atwood マーガレット・アトウッド

環境破壊などで極端な少子化が進んだ近未来、子を産むためだけに支配層に仕える“侍女”たちの世界を描いたベストセラー・ディストピア小説『侍女の物語』(ドラマ『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』原作)の続編。前作からさらに15年後の世界を、独裁国家ギレアデの内側と外側にいる3人の女性の視点から描く。2019年度ブッカー賞受賞作。 

 

【まとめ】

新たに登場した作品はありませんでした。1位に返り咲いたグリシャムは8週連続ランクイン。13週目のスティーヴン・キングの新作がじわりと順位をあげています。日本でも続々とキング原作の映画が公開されており、『IT/イットTHE END』につづいて、11月29日からは『シャイニング』の続編『ドクター・スリープ』が公開中、来年1月には『ペット・セメタリー』が控えています。

 先日発表された、NYTレビューの編集者が選ぶ2019年フィクション、ノンフィクションベスト10に、バレリア・ルイセリ“LOST CHILDREN ARCHIVE”、パトリック・ラーデン・キーフ“SAY NOTHING”、ケヴィン・バリー“NIGHT BOAT TO TANGIER”、ベン・ラーナー“THE TOPEKA SCHOOL”のほか、12月4日に『息吹』という邦題で刊行されたばかりのテッド・チャン “EXHALATION”などがあげられています。

  1.  

    1. 国弘喜美代(くにひろ きみよ)

      南東京読書会の世話人のひとり。訳書にローラ・シムズ『あなたを見てます大好きです』、エドワード・セント・オービンのパトリック・メルローズ・シリーズ(手嶋由美子さんとの共訳)など。次回の南東京読書会は、2020年2月8日(土)の予定です。