アメリカのベストセラー・ランキング

1月5日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. WHERE THE CRAWDADS SING    Stay

Delia Owens ディーリア・オーエンズ

1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女カイヤは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。早川書房より3月に邦訳刊行予定。

 

  1. 2. THE GUARDIANS    Stay

John Grisham ジョン・グリシャム

フロリダで弁護士が射殺される事件が起こり、かつての依頼人だったミラーという若い黒人が逮捕される。ミラーは有罪判決を受けるが、その後も22年にわたって獄中から無実を訴えつづけていた。冤罪被害者の救済活動をおこなっている牧師にして弁護士であるカレン・ポストは、ミラーの支援に乗り出す。

 

  1. 3. THE INSTITUTE    Up

Stephen King スティーヴン・キング

侵入者に両親を殺され、真夜中に自宅から連れ去られた12歳の少年ルーク。目覚めると、きのうまで暮らした自分の部屋とそっくりだが窓のない部屋にいた。そこはある邪悪な目的をもった施設で、ルークのほかにも子どもたちが何人も集められていた。そしてその子たちに共通していたのは、全員がテレパシーやテレキネシスといった特殊能力をもっていることだった。

 

  1. 4. CRISS CROSS    Down

James Patterson ジェイムズ・パタースン

刑事アレックス・クロス・シリーズ第27作。ヴァージニア州立刑務所で、自らが捕らえた殺人犯の死刑執行を見届けたクロス。だが数時間後、類似の手口の殺人事件が発生する。被害者の遺体には“しくじったな、クロス”と書かれた手紙が。はたしてクロスは無実の人間を死に追いやったのだろうか……。

 

  1. 5. BLUE MOON    Up

Lee Child リー・チャイルド

ジャック・リーチャー・シリーズ第24作。グレイハウンド・バスに偶然乗り合わせた老人を救い、老人とその妻が高利貸しに苦しめられていることを知ったリーチャーは、やがて町を二分するウクライナ人とアルバニア人のギャング抗争に巻きこまれていく。

 

  1. 6. A MINUTE TO MIDNIGHT    Down

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

FBI捜査官アトリーは、30年前に自分と双子の姉妹マーシーが連れ去られた事件を再捜査するため、故郷へ帰ってくる。ところが、狭い町は思いのほか秘密に満ちていて、調べはじめるや不可解な殺人事件がつぎつぎと起こる。過去をつつくことで事件が引き起こされたのだろうか。アトリーは昔の誘拐事件ばかりか現在の連続殺人にもかかわることになる。アトリー・パイン・シリーズの第2作。

 

  1. 7. THE DUTCH HOUSE    Down

Ann Patchett アン・パチェット

瀟洒な屋敷〈ダッチハウス〉で何不自由なく暮らす二人の子供、姉ミーブと弟ダニー。あるとき継母がやってきて二人は屋敷から追われてしまう。それから数十年、つらい生活のなかで姉弟は分かちがたい絆で結ばれる一方、二度ともどれない家へと何度となく引き寄せられていく。家族の離散と過去への執着の物語。

 

  1. 8. TWISTED TWENTY-SIX    Stay

Janet Evanovich ジャネット・イヴァノビッチ

ステファニー・プラム・シリーズ第26作。ステファニーの祖母マズールが、ふたたび結婚することになった。相手は地元のギャング、ジミー・ロッソーリだ。しかし結婚の誓いをしてから45分後、新郎は心臓発作で亡くなる。ジミーのかつての“ビジネス・パートナー”は、マズールがジミーの財産に関する鍵を握っていると確信。彼女は危険に巻き込まれることになる。

 

  1. 9. THE SILENT PATIENT    Up

Alex Michaelides アレックス・マイクリーディーズ

有名画家のアリシア・ベレンソンは完璧な人生を送っているようにみえた。夫のゲイブリエルは人気のファッション・カメラマンで、住まいはロンドンの一等地に建つ壮大な家だ。しかしある夜、仕事から帰ってきたゲイブリエルの顔に向け、アリシアは5発の銃弾を撃ちこむ。それ以来、彼女はいっさい、口をつぐむのだった。邦訳『サイコセラピスト』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ、坂本あおい訳)が刊行ずみ。

 

  1. 10. THE TESTAMENTS    Down

Margaret Atwood マーガレット・アトウッド

環境破壊などで極端な少子化が進んだ近未来、子を産むためだけに支配層に仕える“侍女”たちの世界を描いたベストセラー・ディストピア小説『侍女の物語』(ドラマ『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』原作)の続編。前作からさらに15年後の世界を、独裁国家ギレアデの内側と外側にいる3人の女性の視点から描く。2019年度ブッカー賞受賞作。早川書房より邦訳刊行予定。

 

【まとめ】

今週も初登場の新作はありませんでした。そこで、アメリカの読書SNS〈Goodreads〉で選出された2019年のミステリー&スリラー小説ベスト10をご紹介します。1位:アレックス・マイクリーディーズ“THE SILENT PATIENT”、2位:オインカーン・ブレイスウェイト“MY SISTER, THE SERIAL KILLER”、3位:ルース・ウェア“THE TURN OF THE KEY”、4位:ジェイン・ハーパー“THE LOST MAN”、5位:グリーア・ヘンドリックス、サラ・ペッカネン“AN ANONYMOUS GIRL”、6位:アレックス・ノース“THE WHISPER MAN”、7位:ハーラン・コーベン“RUN AWAY”、8位:ライリー・セイガー“LOCK EVERY DOOR”、9位:アンジー・キム“MIRACLE CREEK”、10位:サリー・ヘップワース“THE MOTHER-IN-LAW”。というわけで、今週もランクインしているロングセラーの“THE SILENT PATIENT”(邦訳『サイコセラピスト』)が1位でした!

 

    1. 満園真木(みつぞの まき)

      東京在住の翻訳者。訳書はリサ・ガードナー『無痛の子』、『棺の女』(ともに小学館文庫)、ヴィンセント・ディ・マイオ、ロン・フランセル『死体は嘘をつかない 全米トップ検死医が語る死と真実』(東京創元社)、バリー・ライガ〈さよなら、シリアルキラー〉シリーズ(創元推理文庫)など。