アメリカのベストセラー・ランキング
1月26日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
- 1. WHERE THE CRAWDADS SING Stay
Delia Owens ディーリア・オーエンズ
1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女カイアは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。邦訳は『ザリガニの鳴くところ』(友廣純訳)として早川書房より3月5日刊行予定。
- 2. DEAR EDWARD New!
Ann Napolitano アン・ナポリターノ
ある夏の日、12歳のエドワードは愛する兄と両親とともに、ニューアーク空港からロスアンジェルスに向かう。ほかの搭乗客は183人、それぞれにさまざまな経歴があり、事情を抱えていた。ところが飛行機は墜落し、エドワードだけが助かる。エドワードは家族のいなくなった世界で、自分の居場所を見つけようと奮闘する。
- 3. MORAL COMPASS New!
Danielle Steel ダニエル・スティール
富裕層の子どもたちが通うセイント・アンブローズ・プレップは、もとは男子校だった。いまは140人の女子学生を受け入れている。恒例のハロウィーンのイベントのあと、女子生徒のひとりが病院に運ばれる。体内からは、危険なレベルの数値のアルコールが検出された。保護者や教師たちは何があったかを知ろうとするが、現場に居合わせた生徒たちは、互いの秘密を守ると誓いあっていた。
- 4. SUCH A FUN AGE Down
Kiley Reid カイリー・リード
ベビーシッターの仕事中、預かった子どもと高級スーパーマーケットに出かけたエミラは、児童誘拐を疑われて警備員に声をかけられ、騒ぎになる。エミラは大学卒業後もパートタイムの仕事を続ける20代半ばの黒人女性。雇い主のアリックスは、ブログやSNSでライフスタイルを発信する裕福な白人家庭の母親。ふたりのかかわりを通して、人種、階級、経済格差、友情など、さまざまな問題を描く。
- 5. THE GUARDIANS Down
John Grisham ジョン・グリシャム
フロリダで弁護士が射殺される事件が起こり、かつての依頼人だったミラーという若い黒人が逮捕される。ミラーは有罪判決を受けるが、その後も22年にわたって獄中から無実を訴えつづけていた。冤罪被害者の救済活動をおこなっている牧師にして弁護士であるカレン・ポストは、ミラーの支援に乗り出す。
- 6. LONG BRIGHT RIVER New!
Liz Moore リズ・ムーア
ケイシーとミッキーの姉妹は、かつては親密だった。しかしあるときから、反目しあうようになる。ただ、口を利かなくても、ミッキーはずっとケイシーのことを気にかけていた。そんなときとつぜん、ケイシーが姿を消す。おなじころ、ミッキーの住まいの周囲で殺人事件が連続して起こりはじめる。手遅れにならないうちにと、ミッキーはその殺人犯とケイシーとを見つけることに没頭する。
- 7. THE SILENT PATIENT Down
Alex Michaelides アレックス・マイクリーディーズ
有名画家のアリシア・ベレンソンは完璧な人生を送っているようにみえた。夫のゲイブリエルは人気のファッション・カメラマンで、住まいはロンドンの一等地に建つ壮大な家だ。しかしある夜、仕事から帰ってきたゲイブリエルの顔に向け、アリシアは5発の銃弾を撃ちこむ。それ以来、彼女はいっさい、口をつぐむのだった。邦訳『サイコセラピスト』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ、坂本あおい訳)が刊行ずみ。
- 8. THE DUTCH HOUSE Down
Ann Patchett アン・パチェット
瀟洒な屋敷〈ダッチハウス〉で何不自由なく暮らす二人の子供、姉ミーブと弟ダニー。あるとき継母がやってきて二人は屋敷から追われてしまう。それから数十年、つらい生活のなかで姉弟は分かちがたい絆で結ばれる一方、二度ともどれない家へと何度となく引き寄せられていく。家族の離散と過去への執着の物語。
- 9. THE GIVER OF STARS Down
Jojo Moyes ジョジョ・モイーズ
1930年代、アメリカ人と結婚したアリスは、英国での窮屈な人生から抜け出せるものと考えていたが、ケンタッキー州の小さな町へ移っても、結局は息の詰まる毎日がつづいた。しかしアリスは山奥まで馬で本を届ける巡回図書館員として働きはじめ、同僚の女性4人と友情をはぐくむようになる。実話にもとづく物語。
- 10. TREASON New!
Stuart Woods スチュアート・ウッズ
ニューヨーク市警の刑事から弁護士に転じたストーン・バリントンを主人公とするシリーズの第52作。イギリスからもどったバリントンは、親しい友人から助言を求められる。極秘機関の危険人物をつぶすためだという。まもなくその相手は、バリントンがかつて対決したライヴァルが送りこんだということがあきらかになる。
【まとめ】
今週は新作が4作、ランクインしました。2位の“DEAR EDWARD”は、ジェナ・ブッシュ・ヘイガー(ジョージ・W・ブッシュ元大統領の娘)が、共同司会を務める番組〈TODAY〉内のブック・クラブのコーナーで“1月のおすすめ”として取り上げたことで、注目が集まったようです。ジョディ・ピコーも「読み逃さないで」と賛辞を送っています。6位の“LONG BRIGHT RIVER”もまた、〈GOOD MORNING AMERICA〉という番組内のブック・クラブのコーナーで紹介されました。
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吉野山早苗(よしのやま さなえ)
翻訳者。拙訳書『レディーズ・メイドは見逃さない』の2作目が3月に刊行予定です。1作目ともども、よろしくお願いします。
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