アメリカのベストセラー・ランキング
2月23日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
- 1. AMERICAN DIRT Stay
Jeanine Cummins ジャニーン・カミンズ
アカプルコで書店を営むリディアは、麻薬カルテルのボスの怒りを買い、夫や母親をはじめ家族16人を殺される。8歳の息子ルカとともに生き延びるため、彼女はメキシコを縦断してアメリカを目指す。邦訳は『夕陽の道を北へゆけ』(宇佐川晶子訳)として早川書房より2月6日に刊行されました。
- 2. GOLDEN IN DEATH New!
J.D. Robb J・D・ロブ
イヴ&ローク・シリーズ第50作。ある小児科医のもとに、金の卵の飾りが届けられる。好奇心から卵をあけてみると猛毒のガスが飛散し、小児科医は死亡する。イヴは小児科医の過去や人間関係を調べ、卵の送り主を突き止めようとするが、同じ手口による新たな犠牲者が出てしまう。
- 3. CROOKED RIVER New!
Douglas Preston and Lincoln Child ダグラス・プレストン、リンカーン・チャイルド
FBI特別捜査官ペンダーガスト・シリーズ第19作。フロリダのリゾート地の浜辺に、切断された人間の足首が何十も打ちあげられる事件が起こり、ペンダーガストは現地に派遣される。被害者の生死すらわからず、捜査は難航するものの、やがて人体実験がおこなわれている可能性が浮上する。
- 4. WHERE THE CRAWDADS SING Down
Delia Owens ディーリア・オーエンズ
1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女カイアは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。邦訳は『ザリガニの鳴くところ』(友廣純訳)として早川書房より3月5日刊行予定。
- 5. THE MUSEUM OF DESIRE New!
Jonathan Kellerman ジョナサン・ケラーマン
ロサンゼルスの小児臨床心理医アレックス・デラウェア・シリーズの第35作。ストレッチリムジンの中で男三人と女ひとりの死体が発見される。殺害方法はそれぞれに異なり、女性の被害者は男性の被害者の局部を握るという奇妙なポーズをとらされていた。アレックスはロサンゼルス市警の刑事マイロに協力し、事件を調べる。
- 6. SUCH A FUN AGE Up
Kiley Reid カイリー・リード
ベビーシッターの仕事中、預かった子どもと高級スーパーマーケットに出かけたエミラは、児童誘拐を疑われて警備員に声をかけられ、騒ぎになる。エミラは大学卒業後もパートタイムの仕事を続ける20代半ばの黒人女性。雇い主のアリックスは、ブログやSNSでライフスタイルを発信する裕福な白人家庭の母親。ふたりのかかわりを通して、人種、階級、経済格差、友情など、さまざまな問題を描く。
- 7. THE SILENT PATIENT Down
Alex Michaelides アレックス・マイクリーディーズ
有名画家のアリシア・ベレンソンは完璧な人生を送っているようにみえた。夫のゲイブリエルは人気のファッション・カメラマンで、住まいはロンドンの一等地に建つ壮大な家だ。しかしある夜、仕事から帰ってきたゲイブリエルの顔に向け、アリシアは5発の銃弾を撃ちこむ。それ以来、彼女はいっさい、口をつぐむのだった。邦訳『サイコセラピスト』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ、坂本あおい訳)が刊行ずみ。
- 8. LOST Down
James Patterson and James O. Born ジェイムズ・パタースン、ジェイムズ・O・ボーン
アムステルダムからマイアミへ、さらわれた子供たちがひそかに送られてくる。海を越えて張りめぐらされる人身売買ネットワーク。地元マイアミをこよなく愛する市警刑事トム・ムーンがFBIとの合同捜査チームを率い、アムステルダムの刑事マリーと協力しながら巨大な犯罪シンジケートにいどむ。
- 9. THE DUTCH HOUSE Down
Ann Patchett アン・パチェット
瀟洒な屋敷〈ダッチハウス〉で何不自由なく暮らす二人の子供、姉ミーブと弟ダニー。あるとき継母がやってきて二人は屋敷から追われてしまう。それから数十年、つらい生活のなかで姉弟は分かちがたい絆で結ばれる一方、二度ともどれない家へと何度となく引き寄せられていく。家族の離散と過去への執着の物語。
- 10. THE GIRL WITH THE LOUDING VOICE New!
Abi Daré アビ・デア
ナイジェリア人の少女アドゥニは向学心に燃えていたが、まだ14歳のときに、男児をほしがっている地元の男に三番目の妻として売られる。アドゥニは都会へ逃げるが、生きていくためには裕福な家の奴隷となるしかなかった。それでも自分の未来は自分で決めたいと望み、同じ境遇の少女たちのためにも声をあげようとする。
【まとめ】
新作が4つ登場しました。2位のイヴ&ローク・シリーズはノーラ・ロバーツが別名義で執筆している作品で、邦訳は第48作『穢れし絆のゲーム』が2月28日にヴィレッジブックスから発売予定です。3位のペンダーガスト・シリーズは、第3作が『殺人者の陳列棚』の邦題で二見書房から刊行されています。5位のアレックス・デラウェア・シリーズの邦訳は、第14作の『マーダー・プラン』までが講談社などから刊行ずみ。10位のアビ・デアはナイジェリアのラゴス育ちで、現在はイギリスで暮らしており、本作がデビュー作となります。トップテン外に目立った動きはありませんでした。
-
-
青木創(あおき はじめ)
翻訳者。訳書にJ・ハーパー『潤みと翳り』、L・チャイルド『ミッドナイト・ライン』、D・ワッツ『偶然の科学』など。
-