2013年12月25日、都内において第五回翻訳ミステリー大賞予選委員会が開催されました。上條ひろみ、白石朗、鈴木恵、田口俊樹、二宮磬(姓名50音順)の全予選委員が出席、また立会人として翻訳ミステリー大賞事務局の川出正樹と杉江松恋が同席しました。

 予選委員会ではまず、11月30日に締め切られた第一次投票結果(総投票56、投票作品全89作)について、立会人をふくめて全員でメールによる投票のプリントアウトや集計表を参照のうえ、以下の点の確認作業をおこないました。

  • 有資格者(*)による記名投票であること。(* フィクションの訳書が少なくとも1冊ある者、またはそれに準ずる訳業のある者)
  • 規定どおり5作に投票していること。
  • 投票された89作のいずれもが対象年度内(**)に刊行された翻訳フィクションであること。(** 奥付2012年11月1日〜2013年10月31日)

 その結果、投票規定を満たしていない1票を無効票とすることを予選委員全員の合意で決定、残る55票は有効票であることを全員で確認しました。

 次に投票結果の上位5作についての検討にうつりました。ここでは予選委員全員が、前回第四回と同様に第五回の今回もまたフィクション翻訳者の総意である投票結果を尊重し、かつ5作のいずれにも特段の問題のないことを確認、翻訳ミステリー大賞の最終候補作とすることに異存がないとの意見を表明いたしました。

 さらに田口俊樹予選委員の事前提議により、投票結果の集計点数では6位以下ではあるものの得票数・点数いずれにおいても僅差の複数作品について、これを候補作とするかどうかの議論がおこなわれました。その結果、票数・点数から多くのフィクション翻訳者の支持をあつめたことは明白であり、その意図を汲むことも翻訳ミステリー大賞の役割であるとの観点から、うち1作を上位5作にくわえて最終候補作を全6作にすることを決定いたしたました。

 また今後の選考スケジュールについても話しあい、二次投票の締切をさだめました。

 決定した最終候補作6作(作品名50音順)、および投票締切日は以下のとおりです。


『11/22/63』スティーヴン・キング/白石朗訳(文藝春秋)

『コリーニ事件』フェルディナント・フォン・シーラッハ/酒寄進一訳(東京創元社)

『ゴーン・ガール』ギリアン・フリン/中谷友紀子訳(小学館文庫)

『シスターズ・ブラザーズ』パトリック・デウィット/茂木健訳(東京創元社)

『遮断地区』ミネット・ウォルターズ/成川裕子訳(創元推理文庫)

『冬のフロスト』R・D・ウィングフィールド/芹澤恵訳(創元推理文庫)


2次投票締切:2014年4月17日(木)

公開開票式および贈賞式:2014年4月19日(土)


 上記以外での予選委員会における決定事項は以下のとおりです。

  • 二次投票要項や公開開票式と贈賞式(およびコンベンション)の詳細等については、決定次第、当サイトにて公表すること。
  • 一次投票で投票のあった全作品を近日中に当サイトにて公開すること。
  • 次回第六回以降の翻訳ミステリー大賞の選考制度やその方法を、今後とも継続して検討課題としていくこと。
  • 二次投票は「一次投票に参加していなくても、最終候補作をすべて読了した有資格者であれば投票できる」旨の告知をさらに徹底すること。

(付記——白石朗委員は自訳書であるスティーヴン・キング『11/22/63』に関しての議論にはいっさい加わりませんでした。同作品に関しての決定は他4名の予選委員が責任をもって下しました)

——翻訳ミステリー大賞・予選委員会 

【一次投票者】阿尾正子,青木悦子,青木純子,安達眞弓,井野上悦子,上野元美,越前敏弥,大野晶子,緒川さら,尾之上浩司,加賀山卓朗,片山奈緒美,門野集,金井真弓,金井美子,上條ひろみ,喜須海理子,北田絵里子,木村浩美,栗木さつき,栗原百代,黒輪篤嗣,小林さゆり,酒寄進一,佐々田雅子,澁谷正子,島村浩子,白石朗,白須清美,鈴木恵,芹澤恵,匝瑳玲子,高橋知子,高山真由美,田口俊樹,対馬妙,寺尾まち子,冨田ひろみ,中川潤一郎,中川みほ子,成川裕子,野口百合子,羽田詩津子,東野さやか,堀川志野舞,三浦玲子,水野恵,三角和代,宮崎真紀,森なおみ,森沢くみ子,森嶋マリ,山岸真,横山啓明,吉澤康子(以上55名、五十音順、敬称略)

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