アメリカのベストセラー・ランキング
8月10日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
1. THE HEIST Up
Daniel Silva ダニエル・シルヴァ
美術修復師ガブリエル・アロン・シリーズの第14作。美術修復師にしてイスラエルの秘密工作員ガブリエル・アロンが、イギリス人元外交官殺しの犯人を探るうちに、盗まれたカラヴァッジョの絵画をめぐる秘密が明らかになる。
2. THE BOOK OF LIFE Down
Deborah Harkness デボラ・ハークネス
パラノーマル・ファンタジー3部作〈オール・ソウルズ・トリロジー〉の完結編。幻の写本の謎を追い、エリザベス朝イングランドから現代へと戻った魔女の末裔の歴史学者ダイアナとヴァンパイアのマシューを新たな危機が襲う。
3. TOM CLANCY: SUPPORT AND DEFEND New!
Mark Greaney トム・クランシー、マーク・グリーニー
ジャック・ライアンの甥、FBI捜査官、対テロ民間秘密組織“ザ・キャンパス”工作員の顔を持つドミニク・カルーソーが、国家機密漏洩にからんだ、キャリア最大の難局に直面する。ライアン・シリーズの脇役を主人公に据えた、クランシーの遺作にあたる作品。
4. A PERFECT LIFE New!
Danielle Steel ダニエル・スティール
人気ニュースキャスターとして岐路に立ったシングル・マザーと、ずっと全寮制盲学校で暮らしていたその10代の娘が同居をはじめてからの波乱と模索の日々を描いた、心温まる物語。
5. THE GOLDFINCH Up
Donna Tartt ドナ・タート
爆破事故で母を失った少年が過酷な運命に翻弄され、大人になるまでの物語。2014年ピューリッツァー賞(フィクション部門)を受賞、河出書房新社より2015年に邦訳が刊行予定。
6. ACT OF WAR Down
Brad Thor ブラッド・ソー
アメリカ海軍特殊部隊SEALS出身のエージェントが活躍するスコット・ハーヴァス・シリーズの第13作。中国に潜入していたCIA工作員の死をきっかけに、アメリカを崩壊させる謀略が明らかになる。
7. THE SILKWORM Stay
Robert Galbraith ロバート・ガルブレイス
J・K・ローリングがガルブレイス名義で執筆する私立探偵コーモラン・ストライク・シリーズの第2作。ストライクが行方を追っていた作家が惨殺死体で発見される。講談社より2015年に邦訳が刊行予定。
8. INVISIBLE Down
James Patterson and David Ellis ジェイムズ・パタースン、デイヴィッド・エリス
ベストセラー作家パタースンがエドガー賞作家エリスとのタッグで送るスリラーの第3弾。一見無関係に思える数々の未解決事件。休職中の女性FBI分析官エミーが、その背後にひそむ連続殺人犯を追う。
9. REMAINS OF INNOCENCE New!
J. A. Jance J・A・ジャンス
保安官ジョアンナ・ブレイディー・シリーズの第17作。死に瀕した老女の荒廃した自宅から見つかった大金。鍾乳洞の中で発見された発達障害者の死体。関連が疑われるふたつの事件の解決にブレイディーが挑む。
10. MR. MERCEDES Stay
Stephen King スティーヴン・キング
中西部の町で1台のメルセデスが失業者の列につっこみ、8名の命を奪って逃走する。退職刑事のビル・ホッジスは“メルセデス・キラー” のさらなる犯行を阻止すべく立ちあがる。ハードボイルド3部作の第1作。文藝春秋より邦訳が刊行予定。
【まとめ】
先週2位に初登場したダニエル・シルヴァの“THE HEIST”が、デボラ・ハークネスの3部作完結編から首位を奪取。『ライアンの代価』『米中開戦』に続くトム・クランシー&マーク・グリーニーの共著のほか、ダニエル・スティール、J・A・ジャンスといったベテラン作家の新作がランクインしています。圏外へ去る気配をまったく見せない、ドナ・タート“THE GOLDFINCH”も強し。
ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー・リスト(ハードカバー・フィクション部門)の最新情報を毎週月曜日にお伝えします。中谷友紀子、国弘喜美代、青木創、満園真木、北田絵里子の5名が週替わりで担当します。
北田絵里子(きただ えりこ) |
---|
文芸翻訳者。ミステリーの訳書はゴダード『血の裁き』『隠し絵の囚人』、クイーン『ギリシャ棺の秘密』(越前敏弥氏との共訳)など。なぜかご縁がない女性作家の作品も訳してみたい今日このごろです。翻訳ミステリー金沢読書会の世話人もしています。 |