アメリカのベストセラー・ランキング
3月22日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
- 1. HOUSE OF EARTH AND BLOOD New!
Sara J. Maas サラ・J・マース
半分、妖精、半分、人間のブライス・キンランは2年まえ、親友とその仲間を惨殺された。犯人は捕まったものの、犯罪はまたはじまる。彼女は悪名高い堕天使、ハント・アサラーの仲間に加わり、自ら殺人者を追うことにする。
2. LONG RANGE New!
J. Box C・J・ボックス
ワイオミング州猟区管理官、ジョー・ピケット・シリーズの第20作。グリズリーに襲われた一団の救助に駆りだされたピケット。被害者のひとりから証言を聞き、この襲撃は見かけどおりのものではないとの疑いを持つ。まもなく、地元の著名な判事が撃たれて負傷する。ピケットは担当地区にもどり、狙撃犯を追うことになる。
3. WHERE THE CRAWDADS SING Down
Delia Owens ディーリア・オーエンズ
1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女カイアは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。邦訳『ザリガニの鳴くところ』(友廣純訳)が早川書房より刊行されている。
- 4. THE NUMBER GAME New!
Danielle Steel ダニエル・スティール
夫のポールと幸せな家庭を築いていたはずのアイリーンは、彼が若い女性と不倫していることを知り、これまでの人生を見つめなおす。ポールがアイリーンの元にもどると、彼の恋人だったオリヴィアは、経営する絵画ギャラリーを国際的に展開させることを決意。アイリーンもまた自らの夢を追い、パリのル・コルドン・ブルーで学ぶことにする。新しいことをはじめるのに遅すぎることはない、というメッセージが込められた物語。
- 5. AMERICAN DIRT Down
Jeanine Cummins ジャニーン・カミンズ
アカプルコで書店を営むリディアは、麻薬カルテルのボスの怒りを買い、夫や母親をはじめ家族16人を殺される。8歳の息子ルカとともに生き延びるため、彼女はメキシコを縦断してアメリカを目指す。邦訳『夕陽の道を北へゆけ』(宇佐川晶子訳)が早川書房より刊行されている。
- 6. BLINDSIDE Down
James Patterson and James O. Born ジェイムズ・パタースン、ジェイムズ・O・ボーン
ニューヨーク市警の刑事マイケル・ベネットを主人公とするシリーズの第12作。ベネットが捜査にあたったブロンクスの殺人事件の被害者には、国家の安全をゆるがしかねない高度なハッキング活動と、目下行方不明となっているニューヨーク市長の娘とのつながりがあった。
- 7. YOU ARE NOT ALONE New!
Greer Hendricks and Sarah Pekkanen グリア・ヘンドリクス、サラ・ペッカネン
シェイ・ミラーは満たされた人生を望んでいたが、ひとりぼっちのままだった。しかし、ゴージャスで完璧な生活を送る、カサンドラとジェインのムーア姉妹に出会ったことで、状況はよくなるように思われた。シェイはふたりに気に入ってもらうためなら、死んでもいいと思う。
- 8. WRITER & LOVERS New!
Lily King リリー・キング
1997年の夏、とつぜんの母の死と恋人との別れのあと、ケイシー・ピーボディはなんの計画もなくマサチューセッツにやってきた。子どものころは天才ゴルファーと言われた彼女だが、いまはウェイトレスとして働き、せまい部屋に住んでいる。むかしの友人たちが手にできなかったものがほしい、クリエイティヴな生活をしたいと望む彼女の人生は、まったくタイプのちがうふたりの男性に恋をしたことで、いっそう混乱する。
- 9. THE SILENT PATIENT Down
Alex Michaelides アレックス・マイクリーディーズ
有名画家のアリシア・ベレンソンは完璧な人生を送っているようにみえた。夫のゲイブリエルは人気のファッション・カメラマンで、住まいはロンドンの一等地に建つ壮大な家だ。しかしある夜、仕事から帰ってきたゲイブリエルの顔に向け、アリシアは5発の銃弾を撃ちこむ。それ以来、彼女はいっさい、口をつぐむのだった。邦訳夕陽の道を北へゆけ(ハヤカワ・ポケット・ミステリ、坂本あおい訳)が刊行ずみ。
- 10. THE NIGHT WATCHMAN New!
Louise Erdrich ルイーズ・アードリック
ノース・ダコタ州のインディアン保留地、タートル・マウンテン近くにある工場で夜間警備員を務めるトーマス。彼はまた、チペア族の評議会のメンバーでもある。パトリスは高校卒業後、その工場で働いていたが、消息の知れなくなった姉のヴェラを探そうと、ミネソタに向かう。人間の本質のいい部分にも悪い部分にも向き合わざるを得なくなる人々の雄大な物語。
【まとめ】
1位に初登場した“HOUSE OF EARTH AND BLOOD”はCRESCENT CITY シリーズとして、以降、3部作となるようです。2位に初登場した、ジョー・ピケットが活躍するこのシリーズは、長編12作目の『鷹の王』までが講談社より刊行されています。13作目の“BREAKING POINT”の邦訳は、東京創元社より6月に刊行予定です。10位に初登場したのはルイーズ・アードリックです。ネイティヴ・アメリカンのオジブワ(チペワ)族にルーツを持つ彼女は、先住民のコミュニティを舞台にした作品を何作も書き、全米図書賞、全米批評家賞、O・ヘンリー賞などを受賞しています。6作の新作がランクインしたなか、リストに留まりつづける『ザリガニの鳴くところ』や『サイコセラピスト』の人気ぶりが、ひときわ目立ちます。
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吉野山早苗(よしのやま さなえ)
翻訳者です。最新訳書『レディーズ・メイドと悩める花嫁』(マライア・フレデリクス/コージーブックス)が発売中です。よろしくお願いします。
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