アメリカのベストセラー・ランキング

10月5日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. EDGE OF ETERNITY    New!

Ken Follett ケン・フォレット

1960年代から80年代にかけて、国籍のちがう5つの家族が、冷戦という時代に翻弄されながら生きていくさまを描く。『巨人たちの落日』『凍てつく世界』につづく、20世紀をテーマにした「100年3部作」の第3部。

2. PERSONAL    Down

Lee Child リー・チャイルド

一匹狼の元軍人ジャック・リーチャーが活躍する人気シリーズ第19作。パリでフランス大統領の暗殺未遂事件が発生する。次なる標的はおそらくサミット。リーチャーはかつて自らの手で捕らえた容疑者の凄腕スナイパーをふたたび追う。

3. SOMEWHERE SAFE WITH SOMEBODY GOOD    Down

Jan Karon ジャン・カロン

ノース・カロライナの架空の田舎町ミットフォードを舞台に、住民たちの悲喜こもごもを描いたヒューマンドラマ・シリーズ第10作。前作でシリーズ完結が告げられてから9年、旅を終えた主人公の牧師夫妻がミットフォードへ帰ってくる。

4. THE BONE CLOCKS    Up

David Mitchell デイヴィッド・ミッチェル

『クラウド・アトラス』で知られる著者の第6作。霊感の強い少女、イラク戦争の従軍記者、落ち目の小説家。数人の語り手によって、不死なる者たちのひそかな戦いが明らかにされていくメタフィジカル・スリラー。2014年ブッカー賞ノミネート。

5. FESTIVE IN DEATH    Down

J. D. Robb J・D・ロブ

近未来を舞台にしたロマンティック・サスペンス、イヴ&ローク・シリーズの第39作。クリスマスが迫ってパーティ客のリスト作りや買い物できぜわしいなか、殺人事件が起こり、イヴは捜査に忙殺される。

6. RAGING HEAT    New!

Richard Castle リチャード・キャッスル

人気ドラマ〈キャッスル〉の主人公であるミステリー作家、リチャード・キャッスルを作者に設定したニッキー・ヒート・シリーズの第6作。ニューヨーク市警殺人課の刑事であるニッキーが不法移民の転落死事件の謎を追う。

7. THE CHILDREN ACT    Down

Ian McEwan イアン・マキューアン

ロンドン高等法院の女性裁判官フィオナのもとに、急を要する案件が持ちこまれる。白血病の17歳の青年が信仰上の理由で輸血を拒んでいることに対する、病院からの訴えだった。青年とその家族と話すうちに、結婚生活に悩むフィオナ自身の気持ちも変化してゆく。

8. THE SECRET PLACE    Down

Tana French タナ・フレンチ

ダブリンの女子寄宿学校の校庭で発見された少年の遺体。1年後、校内の掲示板に何者かが貼った少年の写真には、“犯人を知っている”の文字が……『悪意の森』でミステリー各賞の新人賞を総なめにしたアイルランド人作家の第5作。

9. WOLF IN WHITE VAN    New!

John Darnielle ジョン・ダーニール

シンガーソングライターでもある著者がはじめて発表した小説。銃弾で顔面に大きな損傷を負った少年がロールプレイングゲームを開発するが、それに参加していたプレイヤーが現実と空想の世界の区別を見失ってしまう。

10. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Up

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。

【まとめ】

世界的なベストセラーとなった『大聖堂』の著者であるケン・フォレットの大長編小説の完結編がいよいよ出版されました。第1部も第2部も900ページ超えの大作でしたが、第3部はついに1100ページを突破しています。また、いったんトップテン外に去ったアンソニー・ドーアが10位に返り咲きました。12位にはサラ・ウォーターズの新作“THE PAYING GUESTS”がランクインしています。

青木創(あおき はじめ)

フィクション翻訳とノンフィクション翻訳の両方を手がけています。2013年のバリー賞を受賞したP・メイの『さよなら、ブラックハウス』を訳出、9月上旬に刊行されました。そのほかの訳書に、D・ワッツ『偶然の科学』、A・フランセス『〈正常〉を救え』など。