アメリカのベストセラー・ランキング

10月12日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. EDGE OF ETERNITY    Stay

Ken Follett ケン・フォレット

1960年代から80年代にかけて、国籍のちがう5つの家族が、冷戦という時代に翻弄されながら生きていくさまを描く。『巨人たちの落日』『凍てつく世界』につづく、20世紀をテーマにした「100年3部作」の第3部。

2. PERSONAL    Stay

Lee Child リー・チャイルド

一匹狼の元軍人ジャック・リーチャーが活躍する人気シリーズ第19作。パリでフランス大統領の暗殺未遂事件が発生する。次なる標的はおそらくサミット。リーチャーはかつて自らの手で捕らえた容疑者の凄腕スナイパーをふたたび追う。

3. SOMEWHERE SAFE WITH SOMEBODY GOOD    Stay

Jan Karon ジャン・カロン

ノース・カロライナの架空の田舎町ミットフォードを舞台に、住民たちの悲喜こもごもを描いたヒューマンドラマ・シリーズ第10作。前作でシリーズ完結が告げられてから9年、旅を終えた主人公の牧師夫妻がミットフォードへ帰ってくる。

4. BONES NEVER LIE    New!

Kathy Reichs キャシー・ライクス

人気ドラマ《BONES(ボーンズ)—骨は語る—》の原作、法医人類学者テンペランス・ブレナン・シリーズの第17作。数年前にブレナンと相棒の刑事ライアンが捕り逃がした児童誘拐殺人犯が、類似事件の容疑者として浮上した。今度こそ犯人を捕らえることはできるのか?

5. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Up

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。

6. THE BONE CLOCKS    Down

David Mitchell デイヴィッド・ミッチェル

『クラウド・アトラス』で知られる著者の第6作。霊感の強い少女、イラク戦争の従軍記者、落ち目の小説家。数人の語り手によって、不死なる者たちのひそかな戦いが明らかにされていくメタフィジカル・スリラー。2014年ブッカー賞ノミネート。

7. THE PAYING GUESTS    New!

Sarah Waters サラ・ウォーターズ

舞台は1922年のロンドン。寡婦のミセス・レイとその未婚の娘フランシスは、金銭的事情から、若い夫婦を間借り人として迎える。母子の生活を掻き乱すこの夫婦との日常は、予想もしない波瀾へとつながっていく。

8. THE CHILDREN ACT    Down

Ian McEwan イアン・マキューアン

ロンドン高等法院の女性裁判官フィオナのもとに、急を要する案件が持ちこまれる。白血病の17歳の青年が信仰上の理由で輸血を拒んでいることに対する、病院からの訴えだった。青年とその家族と話すうちに、結婚生活に悩むフィオナ自身の気持ちも変化してゆく。

9. THE SECRET PLACE    Down

Tana French タナ・フレンチ

ダブリンの女子寄宿学校の校庭で発見された少年の遺体。1年後、校内の掲示板に何者かが貼った少年の写真には、“犯人を知っている”の文字が……『悪意の森』でミステリー各賞の新人賞を総なめにしたアイルランド人作家の第5作。

10. THE GOLDFINCH    Up

Donna Tartt ドナ・タート

爆破事故で母を失った少年が過酷な運命に翻弄され、大人になるまでの物語。2014年ピューリッツァー賞(フィクション部門)を受賞、河出書房新社より2015年に邦訳が刊行予定。

【まとめ】

1位から3位は先週と変わらず。4位にキャシー・ライクスがランクイン、先週10位に返り咲いたアンソニー・ドーアが5位まで順位をあげました。先週12位からトップテン入りしたサラ・ウォーターズの長篇は、前作『エアーズ家の没落』以来5年ぶりの新作です。圏外の12位には、デボラ・クロンビーの警視キンケイド・シリーズ第16作“TO DWELL IN DARKNESS”が初登場しています。

北田絵里子(きただ えりこ)

文芸翻訳者。訳書はゴダード『血の裁き』など。10月10日に最新訳書『プリムローズ・レーンの男』(ジェイムズ・レナー著/ハヤカワNV文庫)が刊行予定。犯罪ノンフィクション作家が初めて手がけたユニークなジャンル・ミックス小説です。