アメリカのベストセラー・ランキング

10月26日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. DEADLINE    New!

John Sandford ジョン・サンドフォード

“獲物”シリーズに登場するミネソタ州犯罪捜査局捜査官を主人公とするヴァージル・フラワーズ・シリーズの第8作。田舎町で頻発する飼い犬の盗難事件。友人の依頼で捜査に向かうヴァージルだが、さらにその町で新聞記者が殺害される。

2. BURN    Down

James Patterson and Michael Ledwidge ジェイムズ・パタースン、マイクル・レドウィッジ

ベストセラー作家パタースンとレドウィッジの共著によるニューヨーク市警刑事マイケル・ベネット・シリーズの第7作。ハーレムの空きビルで怪しげなパーティが開かれているとの通報を受けたベネット。やがてそのビルで黒焦げの死体が見つかる。

3. EDGE OF ETERNITY    Down

Ken Follett ケン・フォレット

1960年代から80年代にかけて、国籍のちがう5つの家族が、冷戦という時代に翻弄されながら生きていくさまを描く。『巨人たちの落日』『凍てつく世界』につづく、20世紀をテーマにした「100年3部作」の第3部。

4. LILA    New!

Marilynne Robinson マリリン・ロビンソン

“Gilead”で2005年のピューリッツァー賞(フィクション部門)を受賞した著者による第4作。“Gilead”の主人公、ジョン・エイムズ牧師の妻ライラが過ごしてきた苦難の少女時代が描かれる。2014年全米図書賞最終候補作。

5. SOMEWHERE SAFE WITH SOMEBODY GOOD    Down

Jan Karon ジャン・カロン

ノース・カロライナの架空の田舎町ミットフォードを舞台に、住民たちの悲喜こもごもを描いたヒューマンドラマ・シリーズ第10作。前作でシリーズ完結が告げられてから9年、旅を終えた主人公の牧師夫妻がミットフォードへ帰ってくる。

6. PERSONAL    Down

Lee Child リー・チャイルド

一匹狼の元軍人ジャック・リーチャーが活躍する人気シリーズ第19作。パリでフランス大統領の暗殺未遂事件が発生する。次なる標的はおそらくサミット。リーチャーはかつて自らの手で捕らえた容疑者の凄腕スナイパーをふたたび追う。

7. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Down

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。

8. SOME LUCK    New!

Jane Smiley ジェーン・スマイリー

『大農場』で知られるピューリッツァー賞作家による新作大河小説。アイオワ州の農場をおもな舞台に、1920年代から1950年代にかけての大恐慌や第二次大戦、冷戦を生きぬくラングドン一家の姿が描かれる。3部作の第1作。

9. PARIS MATCH    New!

Stuart Woods スチュアート・ウッズ

ニューヨーク市警刑事から弁護士に転じたストーン・バリントンを主人公とするシリーズの第31作。役員をつとめるホテルのオープンにそなえ、パリを訪れたストーン。だがそこには、宿敵のロシアンマフィアとの対決が待っていた。

10. THE CHILDREN ACT    Down

Ian McEwan イアン・マキューアン

ロンドン高等法院の女性裁判官フィオナのもとに、急を要する案件が持ちこまれる。白血病の17歳の青年が信仰上の理由で輸血を拒んでいることに対する、病院からの訴えだった。青年とその家族と話すうちに、結婚生活に悩むフィオナ自身の気持ちも変化してゆく。

【まとめ】

1位、4位、8位、9位に新作が登場。1位のジョン・サンドフォードは、ルーカス・ダヴンポートを主人公とする“獲物”シリーズが第10作の『餌食』まで邦訳出版されています。2014年全米図書賞の最終候補作が先週発表となり、今週4位の“LILA”と7位の“ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE”が選ばれています(受賞作の発表は11月19日)。ベストテン外では、ヒラリー・マンテルの短編集“THE ASSASSINATION OF MARGARET THATCHER”が15位にランクインしています。

中谷友紀子(なかたに ゆきこ)

関西在住の翻訳者。訳書はフリン『ゴーン・ガール』、モレイス『マダム・マロリーと魔法のスパイス』など。11月1日公開の『マダム・マロリー〜』は、魅惑の料理が満載で、あたたかい気持ちになれる、秋のデートに最適の映画です。『ゴーン・ガール』(12月12日公開)も、監督によれば“完璧なデートムービー”だとか(怖)。