アメリカのベストセラー・ランキング

11月9日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. GRAY MOUNTAIN    New!

John Grisham ジョン・グリシャム

リーマン・ショックに揺れるアメリカ。新人弁護士のサマンサは、ウォール・ストリートの大手法律事務所からヴァージニア州の田舎町の法律相談所に移籍させられるが、そこで弁護士として成長しながら、悪辣な巨大石炭産業に立ち向かう。

2. LEAVING TIME    Down

Jodi Picoult ジョディ・ピコー

ジェナが3歳のとき、象の研究者だった母は幼い娘を残して突然姿を消した。象にまつわる死亡事故が起こり、その混乱のなかでいなくなったのだ。10年後、ジェナは母の書いた研究日誌を読み、探偵と霊能力者の助けを借りて母の足跡をたどってゆく。

3. EDGE OF ETERNITY    Stay

Ken Follett ケン・フォレット

1960年代から80年代にかけて、国籍のちがう5つの家族が、冷戦という時代に翻弄されながら生きていくさまを描く。『巨人たちの落日』『凍てつく世界』につづく、20世紀をテーマにした「100年3部作」の第3部。

4. DEADLINE    Down

John Sandford ジョン・サンドフォード

“獲物”シリーズに登場するミネソタ州犯罪捜査局捜査官を主人公とするヴァージル・フラワーズ・シリーズの第8作。田舎町で頻発する飼い犬の盗難事件。友人の依頼で捜査に向かうヴァージルだが、さらにその町で新聞記者が殺害される。

5. BEAUTIFUL YOU    New!

Chuck Palahniuk チャック・パラニューク

映画化もされた『ファイト・クラブ』の作者による最新作。ニューヨークで暮らす平凡な女性のペニーは、たまたま出会った億万長者の実業家からデートに誘われて驚くが、女性向けの“性具”の実験台にされてしまう。

6. DESERT GOD    New!

Wilbur Smith ウィルバー・スミス

古代エジプトを舞台に、ファラオに仕える多芸多才の宦官タイタが活躍するシリーズの第5作。侵略してきた異民族のヒクソスを駆逐するため、タイタはクレタ島に援軍を求める旅に出て、知謀を武器に困難を乗り越えていく。

7. LILA    Down

Marilynne Robinson マリリン・ロビンソン

“Gilead”で2005年のピューリッツァー賞(フィクション部門)を受賞した著者による第4作。“Gilead”の主人公、ジョン・エイムズ牧師の妻ライラが過ごしてきた苦難の少女時代が描かれる。2014年全米図書賞最終候補作。

8. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Down

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。

9. BURN    Down

James Patterson and Michael Ledwidge ジェイムズ・パタースン、マイクル・レドウィッジ

ベストセラー作家パタースンとレドウィッジの共著によるニューヨーク市警刑事マイケル・ベネット・シリーズの第7作。ハーレムの空きビルで怪しげなパーティが開かれているとの通報を受けたベネット。やがてそのビルで黒焦げの死体が見つかる。

10. SOMEWHERE SAFE WITH SOMEBODY GOOD    Down

Jan Karon ジャン・カロン

ノース・カロライナの架空の田舎町ミットフォードを舞台に、住民たちの悲喜こもごもを描いたヒューマンドラマ・シリーズ第10作。前作でシリーズ完結が告げられてから9年、旅を終えた主人公の牧師夫妻がミットフォードへ帰ってくる。

【まとめ】

さすがと言うべきか、グリシャムのリーガル・サスペンスが初登場で1位を獲得しました。主人公が『ペリカン文書』以来となる女性であることも、注目を集めているようです。5位のチャック・パラニューク、6位のウィルバー・スミスはどちらも最近は邦訳が出版されていませんが、英語圏では根強い人気があります。トップテン外では、ソフィー・キンセラの「レベッカのお買いもの日記」シリーズの第7作“SHOPAHOLIC TO THE STARS”が11位にランクインしました。

青木創(あおき はじめ)

フィクション翻訳とノンフィクション翻訳の両方を手がけています。2013年のバリー賞を受賞したP・メイの『さよなら、ブラックハウス』を訳出、9月上旬に刊行されました。そのほかの訳書に、D・ワッツ『偶然の科学』、A・フランセス『〈正常〉を救え』など。