アメリカのベストセラー・ランキング
11月23日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
1. GRAY MOUNTAIN Stay
John Grisham ジョン・グリシャム
リーマン・ショックに揺れるアメリカ。新人弁護士のサマンサは、ウォール・ストリートの大手法律事務所からヴァージニア州の田舎町の法律相談所に移籍させられるが、そこで弁護士として成長しながら、悪辣な巨大石炭産業に立ち向かう。
2. THE BURNING ROOM New!
Michael Connelly マイクル・コナリー
ロス市警刑事ハリー・ボッシュを主人公とするシリーズの第19作。10年前に撃たれた傷がもとで最近死亡したマリアッチ・ミュージシャン。ボッシュが新たな相棒の女性刑事とともに捜査にあたるうち、銃撃事件と20年前の放火殺人とのつながりが明らかになる。
3. PRINCE LESTAT Stay
Ann Rice アン・ライス
『夜明けのヴァンパイア』からはじまる壮大なシリーズ〈ヴァンパイア・クロニクルズ〉の最新作。レスタト・ド・リオンクールを中心とした主要キャラクターが顔を揃える、初期5作品の続編であり、新シリーズの幕開けともなる作品。
4. LEAVING TIME Up
Jodi Picoult ジョディ・ピコー
ジェナが3歳のとき、象の研究者だった母は幼い娘を残して突然姿を消した。象にまつわる死亡事故が起こり、その混乱のなかでいなくなったのだ。10年後、ジェナは母の書いた研究日誌を読み、探偵と霊能力者の助けを借りて母の足跡をたどってゆく。
5. THE SLOW REGARD OF SILENT THINGS Down
Patrick Rothfuss パトリック・ロスファス
異世界ファンタジー三部作〈キングキラー・クロニクル〉に登場する謎めいた女性キャラクター、オーリの冒険を描く。先行の三部作は、“『ハリー・ポッター』完結後の10年をリードする正統派本格ファンタジー小説“としてアメリカで大ヒットしたが、日本では第一部の『風の名前』のみが紹介されている。
6. EDGE OF ETERNITY Up
Ken Follett ケン・フォレット
1960年代から80年代にかけて、国籍のちがう5つの家族が、冷戦という時代に翻弄されながら生きていくさまを描く。『巨人たちの落日』『凍てつく世界』につづく、20世紀をテーマにした「100年3部作」の第3部。
7. HAVANA STORM Down
Clive Cussler and Dirk Cussler クライブ・カッスラー、ダーク・カッスラー
国立海中海洋機関”NUMA”所属のダーク・ピットが活躍する冒険アクション第23作(16作目以後は息子のダーク・カッスラーとの共著で発表)。今回ピットは、キューバでポスト・カストロの勢力争いに巻きこまれる。本シリーズの邦訳は、前々作の『神の積荷を守れ』が昨年刊行されている。
8. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE Up
Anthony Doerr アンソニー・ドーア
フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。
9. LILA Up
Marilynne Robinson マリリン・ロビンソン
“Gilead”で2005年のピューリッツァー賞(フィクション部門)を受賞した著者による第4作。“Gilead”の主人公、ジョン・エイムズ牧師の妻ライラが過ごしてきた苦難の少女時代が描かれる。2014年全米図書賞最終候補作。
10. DEADLINE Stay
John Sandford ジョン・サンドフォード
“獲物”シリーズに登場するミネソタ州犯罪捜査局捜査官を主人公とするヴァージル・フラワーズ・シリーズの第8作。田舎町で頻発する飼い犬の盗難事件。友人の依頼で捜査に向かうヴァージルだが、さらにその町で新聞記者が殺害される。
【まとめ】
ジョン・グリシャムの“GRAY MOUNTAIN”が3週連続の首位を守り、マイクル・コナリーの人気シリーズ最新作が2位に初登場。ハリー・ボッシュ・シリーズは第14作『ナイン・ドラゴンズ』まで邦訳が刊行ずみです。8位の“ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE”と9位の“LILA”が最終候補作となっている全米図書賞は、今週19日に受賞作が発表される予定。その結果が気になります。またベストテン外の14位には、ピューリッツァー賞作家リチャード・フォードのクリスマス・ストーリー“LET ME BE FRANK WITH YOU”が新たにランクインしています。
満園真木(みつぞの まき) |
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東京在住の翻訳者。訳書はダン・T・セールベリ『モナ 聖なる感染』、ベリンダ・バウアー『ラバーネッカー』、アイザック・マリオン『ウォーム・ボディーズ ゾンビRの物語』など。錦織圭選手の躍進に興奮しつつ(ツアーファイナルズ準決勝では惜しくも敗退してしまいましたが)、復刊されたラッセル・ブラッドン『ウィンブルドン』を読みはじめました。 |