アメリカのベストセラー・ランキング

11月30日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. REVIVAL    New!

Stephen King スティーヴン・キング

1960年代、メイン州の田舎町の牧師ジェイコブズは、家族を亡くした絶望から信仰を捨て、姿を消す。町の少年ジェイミーは、30年後、あやしげな電気療法を用いるジェイコブズと再会し、薬物依存症の治療を受けるが……キングによる現代版『フランケンシュタイン』

2. GRAY MOUNTAIN    Down

John Grisham ジョン・グリシャム

リーマン・ショックに揺れるアメリカ。新人弁護士のサマンサは、ウォール・ストリートの大手法律事務所からヴァージニア州の田舎町の法律相談所に移籍させられるが、そこで弁護士として成長しながら、悪辣な巨大石炭産業に立ち向かう。

3. FLESH AND BLOOD    New!

Patricia Cornwell パトリシア・コーンウェル

ケイ・スカーペッタを主人公とする検屍官シリーズの第22作。スカーペッタの自宅の塀の上に並べられた、不審な7枚の1セント硬貨。子どものいたずらか、あるいは、連続する銃撃事件になんらかの関わりがあるのだろうか。

4. THE BURNING ROOM    Down

Michael Connelly マイクル・コナリー

ロス市警刑事ハリー・ボッシュを主人公とするシリーズの第19作。10年前に撃たれた傷がもとで最近死亡したマリアッチ・ミュージシャン。ボッシュが新たな相棒の女性刑事とともに捜査にあたるうち、銃撃事件と20年前の放火殺人とのつながりが明らかになる。

5. BLUE LABYRINTH    New!

Douglas Preston and Lincoln Child ダグラス・プレストン、リンカーン・チャイルド

FBI捜査官ペンダーガスト・シリーズの第14作。ペンダーガストの自宅前に、息子オールバンの遺体が置き去りにされる。その胃に残されたトルコ石を調べるうち、ペンダーガストは自らの一族の秘められた過去を知ることになる。

6. PRINCE LESTAT    Down

Ann Rice アン・ライス

『夜明けのヴァンパイア』からはじまる壮大なシリーズ〈ヴァンパイア・クロニクルズ〉の最新作。レスタト・ド・リオンクールを中心とした主要キャラクターが顔を揃える、初期5作品の続編であり、新シリーズの幕開けともなる作品。

7. LEAVING TIME    Down

Jodi Picoult ジョディ・ピコー

ジェナが3歳のとき、象の研究者だった母は幼い娘を残して突然姿を消した。象にまつわる死亡事故が起こり、その混乱のなかでいなくなったのだ。10年後、ジェナは母の書いた研究日誌を読み、探偵と霊能力者の助けを借りて母の足跡をたどってゆく。

8. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Stay

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。

9. EDGE OF ETERNITY    Down

Ken Follett ケン・フォレット

1960年代から80年代にかけて、国籍のちがう5つの家族が、冷戦という時代に翻弄されながら生きていくさまを描く。『巨人たちの落日』『凍てつく世界』につづく、20世紀をテーマにした〈100年3部作〉の第3部。

10. THE SLOW REGARD OF SILENT THINGS    Down

Patrick Rothfuss パトリック・ロスファス

異世界ファンタジー3部作〈キングキラー・クロニクル〉に登場する謎めいた女性キャラクター、オーリの冒険を描く。先行の3部作は、“『ハリー・ポッター』完結後の10年をリードする正統派本格ファンタジー小説”としてアメリカで大ヒットしたが、日本では第1部の『風の名前』のみが紹介されている。

【まとめ】

グリシャムから1位の座を奪取したのは、キングの新作ホラー“REVIVAL”。“キング史上最恐の結末”とうたわれています。3位のパトリシア・コーンウェルは、12月12日にシリーズ21作の邦訳『屍粉』が刊行予定。5位のペンダーガスト・シリーズも、第3作の『殺人者の陳列棚』まで邦訳が出ています。19日に発表された全米図書賞・フィクション部門は、イラク戦争中の兵士たちの姿や帰還後の経験を描いたフィル・クレイによる短編集“REDEPLOYMENT”に贈られました。

中谷友紀子(なかたに ゆきこ)

関西在住の翻訳者。訳書はフリン『ゴーン・ガール』、モレイス『マダム・マロリーと魔法のスパイス』など。映画『ゴーン・ガール』、試写を見てまいりました。こ、怖い、えげつない、でも美しい……! スクリーンに目が釘付けの、アメージングな2時間半でした。