アメリカのベストセラー・ランキング

12月14日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. HOPE TO DIE    New!

James Patterson ジェイムズ・パタースン

ワシントン市警の敏腕刑事、アレックス・クロスを主人公とするシリーズの第22作。最愛の家族を誘拐されたクロス。犯人には身代金よりもはるかに邪悪な目的があった。家族を救うためにクロスは犯人に屈してしまうのか。

2. THE ESCAPE    Down

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

米陸軍犯罪捜査官ジョン・プラーのシリーズ第三作。反逆罪で終身刑に服していたジョンの兄が厳重警備の刑務所から脱獄した。調査に乗りだしたジョンは、どうやら事件には裏があるようだと気づく。真実が明るみに出ると困る人間が兄の命を狙っているらしい。

3. GRAY MOUNTAIN    Stay

John Grisham ジョン・グリシャム

リーマン・ショックに揺れるアメリカ。新人弁護士のサマンサは、ウォール・ストリートの大手法律事務所からヴァージニア州の田舎町の法律相談所に移籍させられるが、そこで弁護士として成長しながら、悪辣な巨大石炭産業に立ち向かう。

4. REVIVAL    Down

Stephen King スティーヴン・キング

1960年代、メイン州の田舎町の牧師ジェイコブズは、家族を亡くした絶望から信仰を捨て、姿を消す。町の少年ジェイミーは、30年後、あやしげな電気療法を用いるジェイコブズと再会し、薬物依存症の治療を受けるが……キングによる現代版『フランケンシュタイン』

5. THE BURNING ROOM    Stay

Michael Connelly マイクル・コナリー

ロス市警刑事ハリー・ボッシュを主人公とするシリーズの第19作。10年前に撃たれた傷がもとで最近死亡したマリアッチ・ミュージシャン。ボッシュが新たな相棒の女性刑事とともに捜査にあたるうち、銃撃事件と20年前の放火殺人とのつながりが明らかになる。

6. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Up

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。

7. PRINCE LESTAT    Up

Ann Rice アン・ライス

『夜明けのヴァンパイア』からはじまる壮大なシリーズ〈ヴァンパイア・クロニクルズ〉の最新作。レスタト・ド・リオンクールを中心とした主要キャラクターが顔を揃える、初期5作品の続編であり、新シリーズの幕開けともなる作品。

8. LEAVING TIME    Up

Jodi Picoult ジョディ・ピコー

ジェナが3歳のとき、象の研究者だった母は幼い娘を残して突然姿を消した。象にまつわる死亡事故が起こり、その混乱のなかでいなくなったのだ。10年後、ジェナは母の書いた研究日誌を読み、探偵と霊能力者の助けを借りて母の足跡をたどってゆく。

9. FLESH AND BLOOD    Down

Patricia Cornwell パトリシア・コーンウェル

ケイ・スカーペッタを主人公とする検屍官シリーズの第22作。スカーペッタの自宅の塀の上に並べられた、不審な7枚の1セント硬貨。子どものいたずらか、あるいは、連続する銃撃事件になんらかの関わりがあるのだろうか。

10. BLUE LABYRINTH    Up

Douglas Preston and Lincoln Child ダグラス・プレストン、リンカーン・チャイルド

FBI捜査官ペンダーガスト・シリーズの第14作。ペンダーガストの自宅前に、息子オールバンの遺体が置き去りにされる。その胃に残されたトルコ石を調べるうち、ペンダーガストは自らの一族の秘められた過去を知ることになる。

【まとめ】

グリシャム、キング、コナリー、ライス、コーンウェルらの売れっ子作家がしのぎを削るなか、パタースンの新作が初登場で1位を奪取しました。この“Hope to Die”は、シリーズ第21作の“Cross My Heart”の完結編にあたります。前作は尻切れトンボに終わっているという批判も多かったのですが、今作でその不満も解消され、絶賛と言ってもいい評価を受けています。トップテン圏外では、女性弁護士が活躍するリザ・スコットラインの“Betrayed”が12位にランクインしました。

青木創(あおき はじめ)

フィクション翻訳とノンフィクション翻訳の両方を手がけています。2013年のバリー賞を受賞したP・メイの『さよなら、ブラックハウス』を訳出、9月上旬に刊行されました。そのほかの訳書に、D・ワッツ『偶然の科学』、A・フランセス『〈正常〉を救え』など。