アメリカのベストセラー・ランキング
12月28日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
1. GRAY MOUNTAIN Up
John Grisham ジョン・グリシャム
リーマン・ショックに揺れるアメリカ。新人弁護士のサマンサは、ウォール・ストリートの大手法律事務所からヴァージニア州の田舎町の法律相談所に移籍させられるが、そこで弁護士として成長しながら、悪辣な巨大石炭産業に立ち向かう。
2. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE Up
Anthony Doerr アンソニー・ドーア
フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。
3. REVIVAL Up
Stephen King スティーヴン・キング
1960年代、メイン州の田舎町の牧師ジェイコブズは、家族を亡くした絶望から信仰を捨て、姿を消す。町の少年ジェイミーは、30年後、あやしげな電気療法を用いるジェイコブズと再会し、薬物依存症の治療を受けるが……キングによる現代版『フランケンシュタイン』。
4. HOPE TO DIE Down
James Patterson ジェイムズ・パタースン
ワシントン市警の敏腕刑事、アレックス・クロスを主人公とするシリーズの第22作。最愛の家族を誘拐されたクロス。犯人には身代金よりもはるかに邪悪な目的があった。家族を救うためにクロスは犯人に屈してしまうのか。
5. THE ESCAPE Down
David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ
米陸軍犯罪捜査官ジョン・プラーのシリーズ第三作。反逆罪で終身刑に服していたジョンの兄が厳重警備の刑務所から脱獄した。調査に乗りだしたジョンは、どうやら事件には裏があるようだと気づく。真実が明るみに出ると困る人間が兄の命を狙っているらしい。
6. TOM CLANCY: FULL FORCE AND EFFECT Down
Mark Greaney トム・クランシー、マーク・グリーニー
本作からグリーニーが単独で書き継いでいく形となる、故クランシーのジャック・ライアン・シリーズ第10作。希少鉱物の鉱床の発見により、潤沢な核開発資金を得た北朝鮮。国際舞台での躍進を狙うこの国の計画の一環として、合衆国現大統領のライアンにも暗殺の危険が迫る。
7. LEAVING TIME Up
Jodi Picoult ジョディ・ピコー
ジェナが3歳のとき、象の研究者だった母は幼い娘を残して突然姿を消した。象にまつわる死亡事故が起こり、その混乱のなかでいなくなったのだ。10年後、ジェナは母の書いた研究日誌を読み、探偵と霊能力者の助けを借りて母の足跡をたどってゆく。
8. THE BURNING ROOM Down
Michael Connelly マイクル・コナリー
ロス市警刑事ハリー・ボッシュを主人公とするシリーズの第19作。10年前に撃たれた傷がもとで最近死亡したマリアッチ・ミュージシャン。ボッシュが新たな相棒の女性刑事とともに捜査にあたるうち、銃撃事件と20年前の放火殺人とのつながりが明らかになる。
9. EDGE OF ETERNITY Up
Ken Follett ケン・フォレット
1960年代から80年代にかけて、国籍のちがう5つの家族が、冷戦という時代に翻弄されながら生きていくさまを描く。『巨人たちの落日』『凍てつく世界』につづく、20世紀をテーマにした〈100年3部作〉の第3部。
10. FLESH AND BLOOD Down
Patricia Cornwell パトリシア・コーンウェル
ケイ・スカーペッタを主人公とする検屍官シリーズの第22作。スカーペッタの自宅の塀の上に並べられた、不審な7枚の1セント硬貨。子どものいたずらか、あるいは、連続する銃撃事件になんらかの関わりがあるのだろうか。
【まとめ】
今週はトップテンに初登場の新作がないという、やや新味に欠けるランキングとなりました。そんな中でも、32週連続ランクイン中で、エンターテインメント・ウィークリー誌など各紙誌の年間ベストを目下にぎわせているアンソニー・ドーア“ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE”の強さが目立ちます。また12位には、『赤い天幕』で知られる女流作家アニータ・ディアマントの“THE BOSTON GIRL”が新たにランクインしました。
満園真木(みつぞの まき) |
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東京在住の翻訳者。訳書はダン・T・セールベリ『モナ 聖なる感染』、ベリンダ・バウアー『ラバーネッカー』、アイザック・マリオン『ウォーム・ボディーズ ゾンビRの物語』など。先日、映画『ゴーン・ガール』を見てきました。顎が割れたキラースマイルの持ち主、という原作のイメージにこれ以上ないほどぴったりのニック役ベン・アフレックと、すばらしい熱演(怪演?)のエイミー役ロザムンド・パイクに拍手! |