アメリカのベストセラー・ランキング
1月18日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
1. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE Up
Anthony Doerr アンソニー・ドーア
フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。
2. GRAY MOUNTAIN Down
John Grisham ジョン・グリシャム
リーマン・ショックに揺れるアメリカ。新人弁護士のサマンサは、ウォール・ストリートの大手法律事務所からヴァージニア州の田舎町の法律相談所に移籍させられるが、そこで弁護士として成長しながら、悪辣な巨大石炭産業に立ち向かう。
3. HOPE TO DIE Stay
James Patterson ジェイムズ・パタースン
ワシントン市警の敏腕刑事、アレックス・クロスを主人公とするシリーズの第22作。最愛の家族を誘拐されたクロス。犯人には身代金よりもはるかに邪悪な目的があった。家族を救うためにクロスは犯人に屈してしまうのか。
4. THE ESCAPE Up
David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ
米陸軍犯罪捜査官ジョン・プラーのシリーズ第三作。反逆罪で終身刑に服していたジョンの兄が厳重警備の刑務所から脱獄した。調査に乗りだしたジョンは、どうやら事件には裏があるようだと気づく。真実が明るみに出ると困る人間が兄の命を狙っているらしい。
5. DIE AGAIN New!
Tess Gerritsen テス・ジェリッツェン
ボストン市警の刑事ジェーン・リゾーリと検死官モーラ・アイルズがコンビを組んで難事件に取り組むシリーズの第11作。著名なハンターが自宅で惨殺される。6年前にアフリカの原野で別のハンターが不審な死を遂げた事件と関係があるようだが……
6. REVIVAL Down
Stephen King スティーヴン・キング
1960年代、メイン州の田舎町の牧師ジェイコブズは、家族を亡くした絶望から信仰を捨て、姿を消す。町の少年ジェイミーは、30年後、あやしげな電気療法を用いるジェイコブズと再会し、薬物依存症の治療を受けるが……キングによる現代版『フランケンシュタイン』。
7. THE ASSASSINATION OPTION New!
W. E. B. Griffin and William E. Butterworth IV W・E・B・グリフィン、ウィリアム・E・バターワース IV
第二次世界大戦の直後を舞台に、CIA局員のジェームズ・クロンリーが活躍する新シリーズの第2作。ヨーロッパに赴任したクロンリーは、自分のいとこがナチス親衛隊の国外脱出に関与していたらしいことを知る。
8. TOM CLANCY: FULL FORCE AND EFFECT Down
Mark Greaney トム・クランシー、マーク・グリーニー
本作からグリーニーが単独で書き継いでいく形となる、故クランシーのジャック・ライアン・シリーズ第10作。希少鉱物の鉱床の発見により、潤沢な核開発資金を得た北朝鮮。国際舞台での躍進を狙うこの国の計画の一環として、合衆国現大統領のライアンにも暗殺の危険が迫る。
9. RAIN ON THE DEAD New!
Jack Higgins ジャック・ヒギンズ
ショーン・ディロン・シリーズの第21作。チェチェン人の傭兵がアメリカ合衆国元大統領の暗殺を試みる。たまたま居合わせたディロンはその阻止に成功するものの、調査を進めるうちに、黒幕が自分の知る人物である可能性に気づく。
10. LEAVING TIME Down
Jodi Picoult ジョディ・ピコー
ジェナが3歳のとき、象の研究者だった母は幼い娘を残して突然姿を消した。象にまつわる死亡事故が起こり、その混乱のなかでいなくなったのだ。10年後、ジェナは母の書いた研究日誌を読み、探偵と霊能力者の助けを借りて母の足跡をたどってゆく。
【まとめ】
ほとんど変動のない週がつづいていましたが、ここに来て少し動きが出てきました。年末に発売されたジェリッツェン、グリフィン、ヒギンズらベテラン作家の新作がトップテン入りしています。5位のリゾーリ&アイルズ・シリーズは2010年からテレビドラマ化され、今年は第6シーズンが放映されます。ヒギンズの看板シリーズも根強い人気を誇っています。1位はおなじみのアンソニー・ドーアで、35週ランクイン。ドナ・タートの“THE GOLDFINCH”は15位に順位を落としながらも、58週ランクインしています。
青木創(あおき はじめ) |
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フィクション翻訳とノンフィクション翻訳の両方を手がけています。P・メイの『さよなら、ブラックハウス』の続編が3月に刊行予定です。そのほかの訳書に、D・ワッツ『偶然の科学』、A・フランセス『〈正常〉を救え』など。本年もどうぞよろしくお願いいたします。 |