アメリカのベストセラー・ランキング
1月25日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
1. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE Stay
Anthony Doerr アンソニー・ドーア
フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。
2. GRAY MOUNTAIN Stay
John Grisham ジョン・グリシャム
リーマン・ショックに揺れるアメリカ。新人弁護士のサマンサは、ウォール・ストリートの大手法律事務所からヴァージニア州の田舎町の法律相談所に移籍させられるが、そこで弁護士として成長しながら、悪辣な巨大石炭産業に立ち向かう。
3. AS CHIMNEY SWEEPERS COME TO DUST New!
Alan Bradley アラン・ブラッドリー
『パイは小さな秘密を運ぶ』にはじまる少女探偵フレーヴィア・シリーズの第7作。1950年代初頭、化学大好き少女のフレーヴィアは、故郷のイングランドを離れてカナダの寄宿学校に入学することに。ところが到着早々、部屋の暖炉に死体が落っこちてきて……
4. INSATIABLE APPETITES New!
Stuart Woods スチュアート・ウッズ
ニューヨーク市警刑事から弁護士に転じたストーン・バリントンを主人公とするシリーズの第32作。師と仰ぐ老人が亡くなり、遺産整理を引き受けるバリントン。だが、師にはマフィアとの後ろ暗い繋がりがあったらしく、バリントンは新たな危険に巻きこまれる。
5. THE EMPTY THRONE New!
Bernard Cornwell バーナード・コーンウェル
炎の英雄シャープ・シリーズで知られる著者によるサクソン・ストーリーズ・シリーズの第8作。戦士ウートレッドの目を通して、アングロサクソン七王国とヴァイキングとの戦いが描かれる。10世紀初頭、国王を失ったマーシア王国は熾烈な後継者争いに揺れる。
6. GOLDEN SON New!
Pierce Brown ピアース・ブラウン
色別の階級制度が敷かれた火星のコロニー。最下層の〈レッド〉に属する若者ダロウは、戦士として支配階級〈ゴールド〉の一員となり、正義のための革命を目指す。『レッド・ライジング 赤き復讐の刻印』(早川書房より2月に刊行予定)につづくSF三部作の第2作。
7. HOPE TO DIE Down
James Patterson ジェイムズ・パタースン
ワシントン市警の敏腕刑事、アレックス・クロスを主人公とするシリーズの第22作。最愛の家族を誘拐されたクロス。犯人には身代金よりもはるかに邪悪な目的があった。家族を救うためにクロスは犯人に屈してしまうのか。
8. THE ESCAPE Down
David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ
米陸軍犯罪捜査官ジョン・プラーのシリーズ第三作。反逆罪で終身刑に服していたジョンの兄が厳重警備の刑務所から脱獄した。調査に乗りだしたジョンは、どうやら事件には裏があるようだと気づく。真実が明るみに出ると困る人間が兄の命を狙っているらしい。
9. THE BOSTON GIRL Up
Anita Diamant アニータ・ディアマント
1900年、ボストンのユダヤ系一家に生まれたアディは、80代半ばを迎えたある日、孫娘に自分の人生を語りはじめる。家族の絆や仕事、フェミニズム——自立を求め、激動の世紀を生きぬいた女性の姿が情感豊かに描かれる。『赤い天幕』で知られる著者の第5作。
10. REVIVAL Down
Stephen King スティーヴン・キング
1960年代、メイン州の田舎町の牧師ジェイコブズは、家族を亡くした絶望から信仰を捨て、姿を消す。町の少年ジェイミーは、30年後、あやしげな電気療法を用いるジェイコブズと再会し、薬物依存症の治療を受けるが……文藝春秋より邦訳が刊行予定。
【まとめ】
1、2位は変わらずですが、今週は4つの新作が登場しました。3位のブラッドリーによるフレーヴィア・シリーズは、東京創元社より第5作『春にはすべての謎が解ける』まで邦訳が出ています。5位のコーンウェルのサクソン・ストーリーズ・シリーズは、第1作“THE LAST KINGDOM”がBBCによってテレビドラマ化される見込みとか。また新人作家ブラウンによる6位のディストピアSF三部作も、第1作“RED RISING”(邦訳『レッド・ライジング 赤き復讐の刻印』近刊)がベストセラーとなり、マーク・フォースター監督による映画化が予定されているとのことです。
中谷友紀子(なかたに ゆきこ) |
---|
関西在住の翻訳者。訳書はフリン『ゴーン・ガール』、モレイス『マダム・マロリーと魔法のスパイス』など。映画『ゴーン・ガール』、アカデミー作品賞ノミネートならず……ううう……(すみません、魂がゴーンしております)。 |