アメリカのベストセラー・ランキング
2月1日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
1. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE Stay
Anthony Doerr アンソニー・ドーア
フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。
2. THE GIRL ON THE TRAIN New!
Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ
ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。
3. SAINT ODD New!
Dean Koontz ディーン・クーンツ
死者の霊が見える青年オッド・トーマスの冒険を描くサイキック・スリラー・シリーズ第7作。悪魔崇拝のカルト集団が大量殺人を計画していることを予知夢により察知したオッドは、数年ぶりに故郷の町ピコ・ムンドに戻る。人気シリーズの完結編。
4. GRAY MOUNTAIN Down
John Grisham ジョン・グリシャム
リーマン・ショックに揺れるアメリカ。新人弁護士のサマンサは、ウォール・ストリートの大手法律事務所からヴァージニア州の田舎町の法律相談所に移籍させられるが、そこで弁護士として成長しながら、悪辣な巨大石炭産業に立ち向かう。
5. COLD COLD HEART New!
Tami Hoag タミー・ホウグ
連続殺人犯に命を狙われた経験を持つ元テレビ・レポーターのデイナ。事件から1年後、いまだ癒えないPTSDを抱えて故郷インディアナ州の田舎町に戻った彼女は、7年前の夏、高校卒業直後に忽然と姿を消したかつての親友のゆくえを捜しはじめる。
6. THE FIRST BAD MAN New!
Miranda July ミランダ・ジュライ
40歳の独身女性シェリルは、上司の娘である21歳のクリーと同居することに。ふたりの奇妙な共同生活は、秩序に守られたシェリルの日常に思わぬ変化をもたらし……。短編集『いちばんここに似合う人』でデビューした著者初の長編小説。
7. THE ESCAPE Up
David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ
米陸軍犯罪捜査官ジョン・プラーのシリーズ第三作。反逆罪で終身刑に服していたジョンの兄が厳重警備の刑務所から脱獄した。調査に乗りだしたジョンは、どうやら事件には裏があるようだと気づく。真実が明るみに出ると困る人間が兄の命を狙っているらしい。
8. HOPE TO DIE Down
James Patterson ジェイムズ・パタースン
ワシントン市警の敏腕刑事、アレックス・クロスを主人公とするシリーズの第22作。最愛の家族を誘拐されたクロス。犯人には身代金よりもはるかに邪悪な目的があった。家族を救うためにクロスは犯人に屈してしまうのか。
9. THE BOSTON GIRL Stay
Anita Diamant アニータ・ディアマント
1900年、ボストンのユダヤ系一家に生まれたアディは、80代半ばを迎えたある日、孫娘に自分の人生を語りはじめる。家族の絆や仕事、フェミニズム——自立を求め、激動の世紀を生きぬいた女性の姿が情感豊かに描かれる。『赤い天幕』で知られる著者の第5作。
10. INSATIABLE APPETITES Down
Stuart Woods スチュアート・ウッズ
ニューヨーク市警刑事から弁護士に転じたストーン・バリントンを主人公とするシリーズの第32作。師と仰ぐ老人が亡くなり、遺産整理を引き受けるバリントン。だが、師にはマフィアとの後ろ暗い繋がりがあったらしく、バリントンは新たな危険に巻きこまれる。
【まとめ】
2位、3位、5位、6位に初登場の新作がランクイン。2位の“THE GIRL ON THE TRAIN”は〈次の『ゴーン・ガール』〉として大注目を集めており、新人作家のデビュー作ながら発売後10日余りですでに25万部発行のベストセラーとなっています。3位の“SAINT ODD”で完結を迎えたオッド・トーマス・シリーズは第4作まで邦訳が刊行ずみ。5位は人気ロマンス作家として知られる著者の34作目の長編、6位は映画監督やパフォーマンス・アーティストとしての顔も持つマルチタレント作家の処女長編です。
満園真木(みつぞの まき) |
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東京在住の翻訳者。訳書はダン・T・セールベリ『モナ 聖なる感染』、ベリンダ・バウアー『ラバーネッカー』、アイザック・マリオン『ウォーム・ボディーズ ゾンビRの物語』など。年始に放送された三谷幸喜版『オリエント急行殺人事件』、豪華キャストや細かな部分の翻案が楽しめました。それにしても、ドラマ内でさらっと言及されていた「いろは殺人事件」というのがかなり気になります……。 |