アメリカのベストセラー・ランキング

5月24日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. 14TH DEADLY SIN    New!

James Patterson and Maxine Paetro ジェイムズ・パタースン、マクシーン・ペトロ

女性殺人捜査クラブ・シリーズ第14作。サンフランシスコ市警の制服を着た犯罪者集団が繰り返す凶悪事件に、殺人課刑事リンジーと新聞記者シンディ、検死官クレア、地方検事ユキの4人の女性が挑む。

2. THE GIRL ON THE TRAIN    Up

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。

3. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Up

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。

4. MEMORY MAN    Down

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

フットボールの試合中に頭部を強打して以来、どれほど些細な事柄もけっして忘れられない超記憶症候群になってしまったデッカー。刑事として人生を送っていたが、何者かに妻子を殺害される悲劇に遭い、みずからの能力を用いて真相を突き止めていく。

5. GATHERING PREY    Down

John Sandford ジョン・サンドフォード

ミネアポリス市警のルーカス・ダヴンポートが活躍する「獲物」シリーズ第25作。みずからを“旅人たち”と呼ぶ流れ者の一団を狙った連続殺人。大学生の娘レティを通じ、その一団のメンバーから助けを求められたルーカスは捜査に乗りだす。

6. A GOD IN RUINS    New!

Kate Atkinson ケイト・アトキンソン

NY Times紙“2013年の10冊”に選ばれた“Life After Life”の姉妹編ともいうべき作品。 “Life…”の主人公アーシュラの愛する弟テディは、第二次大戦でイギリス空軍の戦闘機パイロットとして戦った。生還したものの“自分に未来があるとは思っていなかった”という、テディの人生の物語。 

7. THE BONE TREE    Down

Greg Iles グレッグ・アイルズ

“Natchez Burning”につづく、アメリカ南部の人種差別を題材にした3部作の第2部。元検事のペン・ケイジは、アフリカ系アメリカ人の看護師を殺害した容疑をかけられて逃亡した父親を救うべく、クー・クラックス・クランと対決する。

8. THE NIGHTINGALE    Up

Kristin Hannah クリスティン・ハンナ

ドイツ軍に占領されたロワール地方の村で幼い娘をかかえて苦労するヴィアンヌと、パリでレジスタンスの活動に身を投じたイザベル。第二次大戦中のフランスを舞台に、苛酷な時代を強く生き抜いた姉妹の姿を描く。

9. GOD HELP THE CHILD    Down

Toni Morrison トニ・モリスン

1993年にアフリカ系アメリカ人初のノーベル文学賞を受賞した著者が、はじめて現代を舞台にして描いた小説。肌の色が薄い母と濃い娘。母は娘を拒み、娘は心に深い傷を負う。娘が美しく成長して経済的に成功してからも、その傷は癒えることなく残りつづける。

10. THE LIAR    Down

Nora Roberts ノーラ・ロバーツ

亡くなった夫は嘘つきだった。多額の借金とともに遺された妻シェルビーは、夫の金庫から複数の名義のIDを発見する。娘を連れてテネシーの田舎町に帰郷するシェルビーだが、なぜか次々に危険に見舞われ……。ロマンスの女王が放つ新作ロマンティック・サスペンス。

【まとめ】

先週、先々週につづいて首位が入れ替わりました。ジェイムズ・パタースンの女性殺人捜査クラブ・シリーズはTVドラマも製作された人気作ですが、邦訳が刊行されているのは『1番目に死がありき』、『チャンスは2度めぐる』の2作のみのようです。また、昨秋『探偵ブロディの事件ファイル』が当サイトでも話題になったケイト・アトキンソンの新作が6位に登場。トップテン外では、11位にトニイ・ヒラーマンの娘アン・ヒラーマンによるリープホーン&チー・シリーズの第2作がランクインしています。

佐藤桂(さとう けい)

この春、大阪から首都圏(の端っこ)へ出もどりました。あらためてよろしくお願いします。訳書は『エジプト十字架の秘密』(越前敏弥さんとの共訳)、ノンフィクションでは動物・自然科学、ビジネス書など。4月末にAmazon Kindle Singlesの1冊として電子書籍『スノーデンは正義の味方なのか? 情報戦争を読み解く』がリリースされました。