アメリカのベストセラー・ランキング
6月28日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
1. THE GIRL ON THE TRAIN Up
Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ
ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。
2. FINDERS KEEPERS Down
Stephen King スティーヴン・キング
昨年夏に刊行された“Mr. Mercedes”の続編。著名な作家が殺害され、未発表の小説の原稿が盗まれる。が、犯人が別の罪で刑務所に収監されているあいだに、隠してあった原稿を少年が見つける。やがて釈放された犯人は原稿が奪われたことを知り、少年を追う。
3. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE Stay
Anthony Doerr アンソニー・ドーア
フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。
4. IN THE UNLIKELY EVENT Stay
Judy Blume ジュディ・ブルーム
1950年代はじめ、ニュージャージーの小さな町で、飛行機の墜落事故が立てつづけに三件も起こる。ありえない事件に住民は動揺するが、そこに自分なりの意味を見いだそうとする。ヤングアダルトに人気の作者が、故郷の町で実際に起こった事件を題材にした大人向けの小説。
5. RADIANT ANGEL Stay
Nelson DeMille ネルソン・デミル
ジョン・コーリー・シリーズの第7作。イエメン人テロリストとの決着後、連邦テロリスト対策特別機動隊(ATTF)を離れたコーリー。不穏な動きを見せる元諜報員のロシア人を監視していたところ、マンハッタンを破壊しようとする企みが浮かびあがる。
6. ALL THE SINGLE LADIES New!
Dorothea Benton Frank ドロシア・ベントン・フランク
リサとスザンヌとキャリー。いずれも現在独身で、共通の友人の死をきっかけに親交を深めることになった3人は、スザンヌの99歳の祖母の家で同居を始める。『愛しき海辺の家』で知られる著者が、サウスカロライナ州の海辺を舞台に50代女性3人の友情を描く。
7. DEAD ICE New!
Laurell K. Hamilton ローレル・K・ハミルトン
ヴァンパイア・ハンター、アニタ・ブレイク・シリーズの第24作。アニタはFBIによるゾンビ・ポルノの捜査に協力することになる。ポルノに出演させられている女ゾンビたちは、どうやらまだ意識があり、何者かに操られているらしいのだが……。
8. LUCKIEST GIRL ALIVE Up
Jessica Knoll ジェシカ・ノール
アニーはニューヨークの雑誌編集者。華やかな仕事に、ハンサムでお金持ちのフィアンセ……すべてを手にしているかに見える彼女には、封印した過去があった。15年前、フィラデルフィアの名門私立校に転校したアニーが遭遇した忌まわしい事件とは。
9. MEMORY MAN Down
David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ
フットボールの試合中に頭部を強打して以来、どれほど些細な事柄もけっして忘れられない超記憶症候群になってしまったデッカー。刑事として人生を送っていたが、何者かに妻子を殺害される悲劇に遭い、みずからの能力を用いて真相を突き止めていく。
10. THE NIGHTINGALE Stay
Kristin Hannah クリスティン・ハンナ
ドイツ軍に占領されたロワール地方の村で幼い娘をかかえて苦労するヴィアンヌと、パリでレジスタンスの活動に身を投じたイザベル。第二次大戦中のフランスを舞台に、苛酷な時代を強く生き抜いた姉妹の姿を描く。
【まとめ】
6位と7位に新作が登場しました。7位にランクインしたローレル・K・ハミルトンのアニタ・ブレイク・シリーズは、現代アメリカを舞台にヴァンパイアや人狼やゾンビが入り乱れるアーバン・ファンタジー。ヴィレッジブックスよりシリーズ第5作『漆黒の血のダンス』まで邦訳が出ています。また8位に入ったジェシカ・ノールの“LUCKIEST GIRL ALIVE”は著者のデビュー作。5月31日付のランキングに12位で初登場後、5週目にして初のベストテン入りを果たしました。本作は、映画プロデュースも手がける女優リース・ウィザースプーンが映画化権を取得したことでも話題を集めています。
満園真木(みつぞの まき) |
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東京在住の翻訳者。訳書はバリー・ライガ『さよなら、シリアルキラー』、エミリー・セントジョン・マンデル『ステーション・イレブン』、ベリンダ・バウアー『ラバーネッカー』など。先日、拙訳『ステーション・イレブン』を課題書に取りあげてくださった金沢読書会にお邪魔してきましたが、初訪問した金沢は風情のある素敵な街でした。一冊の本を介して新しい人と知り合えるのはもちろん、知らない土地を訪れることができるのも、読書会の魅力ですね。 |