アメリカのベストセラー・ランキング
7月19日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
1. THE ENGLISH SPY New!
Daniel Silva ダニエル・シルヴァ
美術修復師にしてイスラエル諜報機関の伝説のスパイ、“ガブリエル・アロン”シリーズ最新作。その美貌と幅広い慈善活動でイギリス王室の顔となっている“世界一有名な女性”、イギリス王女がクルーズ中に爆殺された。アロンは犯人を突き止めるべく、イギリスの諜報員と協力して調査を始める。
2. THE GIRL ON THE TRAIN Down
Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ
ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。
3. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE Down
Anthony Doerr アンソニー・ドーア
フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。
4. TRUTH OR DIE Down
James Patterson and Howard Roughan ジェイムズ・パタースン、ハワード・ローワン
失業中の弁護士トレヴァーは恋人が書くスクープ記事の調査を手伝ううちに、ある秘密に行き当たる。テロ集団や各国政府がこぞって欲しがる強力な自白剤。アルツハイマー治療薬のつもりでそれを開発した17歳の天才少年とともに、トレヴァーは巨悪の目論見を阻むべく立ち向かう。
5. FINDERS KEEPERS Down
Stephen King スティーヴン・キング
昨年夏に刊行された“Mr. Mercedes”の続編。著名な作家が殺害され、未発表の小説の原稿が盗まれる。が、犯人が別の罪で刑務所に収監されているあいだに、隠してあった原稿を少年が見つける。やがて釈放された犯人は原稿が奪われたことを知り、少年を追う。
6. THE RUMOR Up
Elin Hilderbrand エリン・ヒルダーブランド
ナンタケット島に住む作家のマデレンと庭造りに夢中な親友グレイスは、夫や子供たちと理想的な生活を送っていた。しかし、この夏はふたりの身辺によからぬ噂がたち、幸せな生活に危機が訪れる。噂を打ち消そうにも、現実は噂以上に厳しい状況に。ナンタケット在住の“サマー・ノベルの女王”と呼ばれる人気作家の最新作。
7. IN THE UNLIKELY EVENT Down
Judy Blume ジュディ・ブルーム
1950年代はじめ、ニュージャージーの小さな町で、飛行機の墜落事故が立てつづけに三件も起こる。ありえない事件に住民は動揺するが、そこに自分なりの意味を見いだそうとする。ヤングアダルトに人気の作者が、故郷の町で実際に起こった事件を題材にした大人向けの小説。
8. THE NIGHTINGALE Up
Kristin Hannah クリスティン・ハンナ
ドイツ軍に占領されたロワール地方の村で幼い娘をかかえて苦労するヴィアンヌと、パリでレジスタンスの活動に身を投じたイザベル。第二次大戦中のフランスを舞台に、苛酷な時代を強く生き抜いた姉妹の姿を描く。
9. THE MELODY LINGERS ON Down
Mary Higgins Clark メアリ・ヒギンズ・クラーク
有名インテリアデザイナーの助手をつとめるレインが仕事で訪れたその家は、50億ドルとともに失踪した疑惑の投資銀行家の留守宅だった。夫の無実を固く信じる夫人とその息子に近づき過ぎてしまったことが、レインと5歳の愛娘ケイティを思わぬ窮地に陥れる。
10. TOM CLANCY UNDER FIRE Down
Grant Blackwood グラント・ブラックウッド
2013年に逝去したトム・クランシーのジャック・ライアン・シリーズを共著者が受け継いだ最新作。テヘランで再会した旧友が、ひとつの鍵と謎めいたメッセージを残して姿を消した。友にかけられた疑いを晴らすため、ジャック・ライアン・ジュニアは真実を追って、イラン、コーカサス地方、そしてロシアが狙う紛争地域へ向かう。
【まとめ】
1ヵ月近く続いたTHE GIRL ON THE TRAINの牙城を崩し、ダニエル・シルヴァのTHE ENGLISH SPYが初登場首位を獲得しました。これは美術修復師ガブリエル・アロンのシリーズ15作目にあたります。日本語版の刊行は4作目を最後に久しく途絶えていましたが、14作目のTHE HEISTが『亡者のゲーム』(山本やよい訳、ハーパーコリンズ・ジャパン)というタイトルで、来たる7月22日に発売予定となっています。日本では実に11年ぶりのシリーズ再開になりますので、実にタイムリーですね。こちらも要チェックです。
THE GIRL ON THE TRAINは根強く売れており、しばらく1位と2位を行ったり来たりしていますので、来週また首位奪還となるでしょうか。
武藤陽生(むとう ようせい) |
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駆け出し翻訳者。おもな訳書は『スーパー・コンプリケーション』(共訳)、『暴露——スノーデンが私に託したファイル』(共訳)、『クロニクル1 トルコの逃避行』、『クロニクル3 ある殺人の記録』など。『クロニクル』シリーズは全4巻構成で、先日最終巻が発売されました。現実とフィクションが絡み合う蠱惑的な作品で、竹本健治作品を彷彿とさせるところがあります。ぜひお手に取ってみてください。 出版翻訳のほかに、ゲームの翻訳もしています。最近はミステリー好きならハマることまちがいなしの洋ゲー(海外のゲーム)がたくさん出ています。機会があれば、日頃ゲームをやらない人々にもそういった作品を広めていきたいと思っています。 |