アメリカのベストセラー・ランキング

7月26日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. THE GIRL ON THE TRAIN    Up

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。

2. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Up

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。

3. CODE OF CONDUCT    New!

Brad Thor ブラッド・ソー

アメリカ海軍特殊部隊SEALS出身のエージェントが活躍するスコット・ハーヴァス・シリーズの第14作。国際人道支援団体がコンゴに建設した医療機関がテロリストに襲撃され、多数の犠牲者が出る。生存者救出のため現地に赴いたハーヴァスを震撼させる恐るべき計画とは。

4. THE ENGLISH SPY    Down

Daniel Silva ダニエル・シルヴァ

美術修復師にしてイスラエル諜報機関の伝説のスパイ、ガブリエル・アロン・シリーズの第15作。その美貌と幅広い慈善活動でイギリス王室の顔となっている“世界一有名な女性”、イギリス王女がクルーズ中に爆殺された。アロンは犯人を突き止めるべく、イギリスの諜報員と協力して調査を始める。

5. NEMESIS    New!

Catherine Coulter キャサリン・コールター

ロマンチック・スリラー、FBIシリーズの第19作。JFK空港での爆弾テロを阻止したシャーロックだが、直後にニューヨークの中心街で次なるテロが発生する。一方夫のサビッチは、呪術用の短剣が用いられた奇妙な刺殺事件の捜査にあたる。犯人は殺害時の記憶をすべて失っていた。

6. TRUTH OR DIE    Down

James Patterson and Howard Roughan ジェイムズ・パタースン、ハワード・ローワン

失業中の弁護士トレヴァーは恋人が書くスクープ記事の調査を手伝ううちに、ある秘密に行き当たる。テロ集団や各国政府がこぞって欲しがる強力な自白剤。アルツハイマー治療薬のつもりでそれを開発した17歳の天才少年とともに、トレヴァーは巨悪の目論見を阻むべく立ち向かう。

7. FINDERS KEEPERS    Down

Stephen King スティーヴン・キング

昨年夏に刊行された“Mr. Mercedes”の続編。著名な作家が殺害され、未発表の小説の原稿が盗まれる。が、犯人が別の罪で刑務所に収監されているあいだに、隠してあった原稿を少年が見つける。やがて釈放された犯人は原稿が奪われたことを知り、少年を追う。

8. LUCKIEST GIRL ALIVE    Up

Jessica Knoll ジェシカ・ノール

アニーはニューヨークの雑誌編集者。華やかな仕事に、ハンサムでお金持ちのフィアンセ……すべてを手にしているかに見える彼女には、封印した過去があった。15年前、フィラデルフィアの名門私立校に転校したアニーが遭遇した忌まわしい事件とは。

9. THE RUMOR    Down

Elin Hilderbrand エリン・ヒルダーブランド

ナンタケット島に住む作家のマデレンと庭造りに夢中な親友グレイスは、夫や子供たちと理想的な生活を送っていた。しかし、この夏はふたりの身辺によからぬ噂がたち、幸せな生活に危機が訪れる。噂を打ち消そうにも、現実は噂以上に厳しい状況に。ナンタケット在住の“サマー・ノベルの女王”と呼ばれる人気作家の最新作。

10. THE NIGHTINGALE    Down

Kristin Hannah クリスティン・ハンナ

ドイツ軍に占領されたロワール地方の村で幼い娘をかかえて苦労するヴィアンヌと、パリでレジスタンスの活動に身を投じたイザベル。第二次大戦中のフランスを舞台に、苛酷な時代を強く生き抜いた姉妹の姿を描く。

【まとめ】

“THE GIRL ON THE TRAIN”がまたまた1位に返り咲き。映画版はテイト・テイラーが監督をつとめ、主演にはエミリー・ブラントの名前が挙がっているとのことです。3位のハーヴァス・シリーズの邦訳は早川書房より3作刊行されたのち、昨年ほぼ10年ぶりに第11作『ブラック・リスト —極秘抹殺指令—』がSBクリエイティブより出ています。5位のFBI シリーズも、第15作(邦訳は第12作)の『閃光』が明日21日に二見書房より発売です。トップテン外では、ドイツ人作家ニーナ・ゲオルグによる“THE LITTLE PARIS BOOKSHOP”が15位にランクイン。セーヌ川に浮かぶはしけで書店を営む男性が主人公の、世界的ベストセラーだそうです。

中谷友紀子(なかたに ゆきこ)

関西在住の翻訳者。訳書はギリアン・フリン『ゴーン・ガール』など。ミシェル・ペイヴァー『神々と戦士たち Ⅰ 青銅の短剣』が先月あすなろ書房より刊行されました。フリン第2作『冥闇』の映画が8月にアメリカで公開される予定です(日本公開は未定)。フリンもカメオ出演していて、アメリカ版予告編にちらっと(0.1秒くらい)映っているので、よろしければご覧になってみてください。