アメリカのベストセラー・ランキング
8月16日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
1. GO SET A WATCHMAN Stay
Harper Lee ハーパー・リー
ピュリッツアー賞受賞作で映画にもなった『アラバマ物語』(1960年刊行、原題は“To Kill a Mockingbird”)の著者による半世紀ぶりの新作。『アラバマ物語』の語り手の女性、スカウトのその後を描いたもので、1950年代に執筆された草稿が最近見つかり、出版の運びとなった。
2. THE GIRL ON THE TRAIN Stay
Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ
ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。
3. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE Stay
Anthony Doerr アンソニー・ドーア
フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。
4. CIRCLING THE SUN New!
Paula Mclain ポーラ・マクレイン
女性飛行家ベリル・マーカムが大西洋横断飛行中のコックピットで回想する20世紀初頭のケニアでの日々、そして女農場主カレンとその愛人フィンチ・ハットンとの三角関係……『ヘミングウェイの妻』の著者がふたたび実在の人物を題材に綴るヒストリカル・フィクション。
5. BADLANDS New!
C. J. Box C・J・ボックス
油田発見によるオイルブームに沸くノースダコタ州グリムスタッド。急激な人口増加にともなう犯罪の増加に直面するこの町で、保安官事務所の新任捜査官キャシー・デウェルがドラッグにからむギャングの抗争殺人の捜査に挑む。
6. THE ENGLISH SPY Down
Daniel Silva ダニエル・シルヴァ
美術修復師にしてイスラエル諜報機関の伝説のスパイ、ガブリエル・アロン・シリーズの第15作。その美貌と幅広い慈善活動でイギリス王室の顔となっている“世界一有名な女性”、イギリス王女がクルーズ中に爆殺された。アロンは犯人を突き止めるべく、イギリスの諜報員と協力して調査を始める。
7. CODE OF CONDUCT Down
Brad Thor ブラッド・ソー
アメリカ海軍特殊部隊SEALS出身のエージェントが活躍するスコット・ハーヴァス・シリーズの第14作。国際人道支援団体がコンゴに建設した医療機関がテロリストに襲撃され、多数の犠牲者が出る。生存者救出のため現地に赴いたハーヴァスを震撼させる恐るべき計画とは。
8. THE NIGHTINGALE Stay
Kristin Hannah クリスティン・ハンナ
ドイツ軍に占領されたロワール地方の村で幼い娘をかかえて苦労するヴィアンヌと、パリでレジスタンスの活動に身を投じたイザベル。第二次大戦中のフランスを舞台に、苛酷な時代を強く生き抜いた姉妹の姿を描く。
9. ARMADA Down
Ernest Cline アーネスト・クライン
ゲーム好きの男子高校生が、ある日UFOを目撃する。そのUFOはまるで毎晩自分のプレイしているゲーム——異星の侵略者から地球を守るオンラインゲーム——から飛び出してきたかのようだった。ポップカルチャー満載SFスリラー。
10. LUCKIEST GIRL ALIVE Stay
Jessica Knoll ジェシカ・ノール
アニーはニューヨークの雑誌編集者。華やかな仕事に、ハンサムでお金持ちのフィアンセ……すべてを手にしているかに見える彼女には、封印した過去があった。15年前、フィラデルフィアの名門私立校に転校したアニーが遭遇した忌まわしい事件とは。
【まとめ】
1位から3位は今週も変わらず。4位と5位に初登場の新作がランクインしました。4位は、1936年に女性初の単独西向き大西洋無着陸横断飛行を成功させた飛行家ベリル・マーカムを主人公にした小説で、映画『愛と哀しみの果て』の原作として知られる『アフリカの日々』の著者カレン・ブリクセンとその愛人デニス・フィンチ・ハットンとの三角関係が虚実とりまぜて描かれています。5位は猟区管理官ジョー・ピケット・シリーズで知られるC・J・ボックスの新作スリラー。2013年刊行のスタンドアローン作品“The Highway”で主人公の相棒として登場した女性捜査官キャシー・デウェルを主人公に据えた新シリーズの第1弾です。またトップテン外の14位には、人気ロマンス作家J・R・ウォードによるこちらも新シリーズの第1弾“THE BOURBON KINGS”が入りました。
満園真木(みつぞの まき) |
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東京在住の翻訳者。訳書はバリー・ライガ『さよなら、シリアルキラー』、エミリー・セントジョン・マンデル『ステーション・イレブン』、ベリンダ・バウアー『ラバーネッカー』など。 |