アメリカのベストセラー・ランキング
9月20日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
1. THE GIRL IN THE SPIDER’S WEB New!
David Lagercrantz ダビド・ラーゲルクランツ
故スティーグ・ラーソンによるミレニアム3部作の続編を故人と同じスウェーデンの作家が書き継いだもの。スティーグ・ラーソンは4部目に着手していたが、その草稿は今作に反映されていない。とはいえ、リスベットとミカエルは引きつづき登場し、今回リスベットはNSAのシステム侵入に挑む。
2. PURITY New!
Jonathan Franzen ジョナサン・フランゼン
ピュリティは父親がだれなのか知らない。母が昔のことを話そうとしないからだ。大学を出たばかりで、多額の学資ローンを抱え、夢もなく、仕事も恋もうまくいかないピュリティは、自分の過去がわかればすべてが好転するのではないかと考える。そんなときに怪しげな社会活動に携わるドイツ人の女が妙な申し出をしてきて——
3. GO SET A WATCHMAN Down
Harper Lee ハーパー・リー
ピュリッツアー賞受賞作で映画にもなった『アラバマ物語』(1960年刊行、原題は“TO KILL A MOCKINGBIRD”)の著者による半世紀ぶりの新作。『アラバマ物語』の語り手の女性、スカウトのその後を描いたもので、1950年代に執筆された草稿が最近見つかり、出版の運びとなった。
4. STAR WARS: AFTERMATH New!
Chuck Wendig チャック・ウェンディグ
スター・ウォーズ・シリーズの公式の続編。エピソード6「ジェダイの帰還」の直後からエピソード7「フォースの覚醒」までの時代を舞台に描く3部作の小説の第1作。今年の12月にエピソード7の映画公開が予定されている。
5. X Down
Sue Grafton スー・グラフトン
私立探偵キンジー・ミルホーン・シリーズ24作目。“A IS FOR ALIBAI”から“W IS FOR WASTED ”まで続いてきたタイトル(邦訳は『ロマンスのR』まで刊行)が、今回は“X”の1文字に。亡き仕事仲間の古いファイルに紛れた未解決事件の情報——出所後に失踪した息子を捜す依頼人の嘘——近所に越してきた老夫婦の隠し事。絡まる複数の謎をキンジーが追う。
6. THE GIRL ON THE TRAIN Down
Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ
ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。『ガール・オン・ザ・トレイン(仮題)』(池田真紀子訳)講談社文庫より2015年10月15日発売予定。
7. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE Down
Anthony Doerr アンソニー・ドーア
フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。
8. UNDERCOVER New!
Danielle Steel ダニエル・スティール
麻薬密売組織への潜入捜査で腕を負傷し、DEAの特別捜査官をつづけられなくなったマーシャルは、平穏を求めて向かったパリでアリアナという女性と出会う。実はアリアナにも米国大使の父に同行してアルゼンチンを訪れ、誘拐された経験があった。なおもつきまとう過去にふたりは立ち向かう。
9. THE SOLOMON CURSE New!
Clive Cussler クライヴ・カッスラー
トレジャーハンターのファーゴ夫妻シリーズ第7作。ソロモン諸島のガダルカナル島沖にソロモン王の失われた帝国があり、海底に財宝が沈んでいるという噂を聞き、ファーゴ夫妻は人食い巨人の伝説が残るその場所へ向かった。
10. THE NATURE OF THE BEAST Down
Louise Penny ルイーズ・ペニー
ガマシュ警部シリーズ11作目(第4作『スリー・パインズ村と警部の苦い夏』まで邦訳あり)。化け物や怪物を見たと騒いではオオカミ少年扱いされていた9歳のローランが失踪し、空想話のひとつが本当だった可能性に村は戦慄する。ケベック州警察を退職し、静かな引退生活をはじめていたガマシュ元警部が深い森で見たものは……。
【まとめ】
新作が5つはいりました。1位のミレニアム続編は、スウェーデンとほぼ同時に25以上の国で発売されたとのこと。著者のダビド・ラーゲルクランツは本国で人気のあるジャーナリスト兼作家で、ベストセラーとなった共著『I AM ZLATAN ズラタン・イブラヒモビッチ自伝』のみが邦訳されています。2位のジョナサン・フランゼンは寡作で知られ、今作も2010年“FREEDOM”から5年ぶりで、著者の小説のうち邦訳されているのは『コレクションズ』と『フリーダム』の2作です。ベストテン外では、パラノーマル・ロマンス作家クリスティン・フィーハンによる闇の一族カルパチアン・シリーズの第28作“DARK GHOST”が11位にランクインしています。
国弘喜美代(くにひろ きみよ) |
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南東京読書会の世話人のひとりで、東京在住の翻訳者。訳書はエラリー・クイーン『スペイン岬の秘密』(越前敏弥さんとの共訳)、デボラ・マッキンリー『パリで待ち合わせ』など。第2回の南東京読書会は10月31日(土)の予定です。詳細が決まりしだい改めて告知します。どうぞよろしくお願いします。 |