アメリカのベストセラー・ランキング

10月4日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. MAKE ME    Stay

Lee Child リー・チャイルド

元アメリカ陸軍憲兵隊捜査官のジャック・リーチャーが活躍するシリーズの第20作。流れ者の暮らしをつづけるリーチャーは、オクラホマの田舎町で元FBI捜査官のミシェルと知り合う。そしてその町で行方不明になったミシェルの友人の捜索を手伝うことになるが、住民は不自然なまでに非協力的だった。

2. THE GIRL IN THE SPIDER’S WEB    Stay

David Lagercrantz ダビド・ラーゲルクランツ

故スティーグ・ラーソンによるミレニアム3部作の続編を故人と同じスウェーデンの作家が書き継いだもの。スティーグ・ラーソンは4部目に着手していたが、その草稿は今作に反映されていない。とはいえ、リスベットとミカエルは引きつづき登場し、今回リスベットはNSAのシステム侵入に挑む。

3. DEVOTED IN DEATH    New!

J. D. Robb J・D・ロブ

マンハッタンの路地で見つかった惨殺死体には、ハートマークの中に“E & D”のイニシャルが刻まれていた。イヴは全米各地で残忍な殺人を繰り返してきたシリアルキラー・カップルを追う。イヴ&ローク・シリーズ第41作。

4. GO SET A WATCHMAN    Down

Harper Lee ハーパー・リー

ピュリッツアー賞受賞作で映画にもなった『アラバマ物語』(1960年刊行、原題は“TO KILL A MOCKINGBIRD”)の著者による半世紀ぶりの新作。『アラバマ物語』の語り手の女性、スカウトのその後を描いたもので、1950年代に執筆された草稿が最近見つかり、出版の運びとなった。

5. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Up

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。

6. THE GIRL ON THE TRAIN    Down

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。『ガール・オン・ザ・トレイン(仮題)』(池田真紀子訳)講談社文庫より2015年10月15日発売予定。

7. FATES AND FURIES    New!

Lauren Groff ローレン・グロフ

大学時代に出会い、卒業後すぐに結婚したロットとマティルドの夫婦。俳優を目指し挫折するも、劇作家として成功したロットは、陰ながら支えつづけてくれたマティルドに感謝しているが……夫と妻、それぞれの視点から語られる23年の結婚生活の真実とは。2015年全米図書賞候補作。

8. X    Stay

Sue Grafton スー・グラフトン

私立探偵キンジー・ミルホーン・シリーズ24作目。“A IS FOR ALIBAI”から“W IS FOR WASTED ”まで続いてきたタイトル(邦訳は『ロマンスのR』まで刊行)が、今回は“X”の1文字に。亡き仕事仲間の古いファイルに紛れた未解決事件の情報——出所後に失踪した息子を捜す依頼人の嘘——近所に越してきた老夫婦の隠し事。絡まる複数の謎をキンジーが追う。

9. THE END GAME    New!

Catherine Coulter and J. T. Ellison キャサリン・コールター、J・T・エリソン

貴族出身のロンドン警視庁警部ニコラスと女性FBI捜査官マイクのコンビが活躍するロマンチック・サスペンスの第3弾。過激な環境団体による発電所や製油所を狙った連続爆破事件。ニコラスとマイクがCIA、モサド、MI-5らと協力して捜査を進めるうち、大統領の暗殺計画が明らかになる。

10. THE SCAM    New!

Janet Evanovich and Lee Goldberg ジャネット・イヴァノヴィッチ、リー・ゴールドバーグ

FBI特別捜査官ケイトとハンサムな詐欺師ニックがコンビを組むシリーズの第4作。今回ふたりは、カジノ王によるマネーロンダリングの証拠をつかむべく、凄腕のギャンブラーに化けてラスベガスやマカオのカジノで潜入捜査に挑む。

【まとめ】

3位、7位、9位、10位に新作が初登場しました。3位に入ったJ・D・ロブ(ノーラ・ロバーツの別名義)のイヴ&ローク・シリーズは本作が第41作目となる超長寿シリーズ。邦訳も継続的に出されており、今月30日にシリーズ第36作『呪われた使徒のレシピ』がヴィレッジブックスより刊行予定です。またトップテン外の13位には、リチャード・キャッスルの“DRIVING HEAT”が入りました。人気ドラマ『キャッスル〜ミステリー作家のNY事件簿』の主人公が書いたという設定の女刑事ニッキー・ヒート・シリーズ第7作で、第2作『裸のヒート』まで邦訳が出ています。

満園真木(みつぞの まき)

東京在住の翻訳者。訳書はバリー・ライガ『さよなら、シリアルキラー』、エミリー・セントジョン・マンデル『ステーション・イレブン』、ベリンダ・バウアー『ラバーネッカー』など。