アメリカのベストセラー・ランキング

10月18日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. THE MURDER HOUSE    New!

James Patterson and David Ellis ジェイムズ・パタースン、デイヴィッド・エリス

ハンプトンズの海辺に建つ屋敷で16年前、不可解な火災により老夫婦が死亡した。地元の人々からいまもマーダー・ハウスと呼ばれているその家で、こんどはハリウッドのプロデューサーと愛人の死体が発見される。

2. THE GIRL IN THE SPIDER’S WEB    Up

David Lagercrantz ダビド・ラーゲルクランツ

故スティーグ・ラーソンによるミレニアム3部作の続編を故人と同じスウェーデンの作家が書き継いだもの。スティーグ・ラーソンは4部目に着手していたが、その草稿は今作に反映されていない。とはいえ、リスベットとミカエルは引きつづき登場し、今回リスベットはNSAのシステム侵入に挑む。

3. AFTER YOU    New!

Jojo Moyes ジョジョ・モイーズ

2012年発表(邦訳は2015年)のベストセラー『ミー・ビフォア・ユー きみと選んだ明日』の続編。前作は半年限定で介護職についたルイーザと、四肢麻痺の青年実業家ウィルとの物語で、今回はその後、主人公ルーがもがきながら自分の道を探そうとする姿を描く。

4. MAKE ME    Down

Lee Child リー・チャイルド

元アメリカ陸軍憲兵隊捜査官のジャック・リーチャーが活躍するシリーズの第20作。流れ者の暮らしをつづけるリーチャーは、オクラホマの田舎町で元FBI捜査官のミシェルと知り合う。そしてその町で行方不明になったミシェルの友人の捜索を手伝うことになるが、住民は不自然なまでに非協力的だった。

5. THE AERONAUT’S WINDLASS    New!

Jim Butcher ジム・ブッチャー

ドレスデン・ファイル・シリーズで知られるジム・ブッチャーによるスチームパンク・ファンタジーの新シリーズ第一作。地表は霧に覆われ、人々が塔に住む世界。勢力争いを繰り広げるそれぞれの塔を飛行船団が守っている。

6. COME RAIN OR COME SHINE    Down

Jan Karon ジャン・カロン

ノース・カロライナの架空の田舎町ミットフォードを舞台に、住民たちの悲喜こもごもを描いたヒューマンドラマ・シリーズ第11作。主人公の牧師夫妻の養子ドゥーリーが動物病院を開業し、ソウルメイトでもあるレイスと結婚することに。慎ましくもあたたかい、手作りの結婚式を計画する。

7. GO SET A WATCHMAN    Down

Harper Lee ハーパー・リー

ピュリッツアー賞受賞作で映画にもなった『アラバマ物語』(1960年刊行、原題は“TO KILL A MOCKINGBIRD”)の著者による半世紀ぶりの新作。『アラバマ物語』の語り手の女性、スカウトのその後を描いたもので、1950年代に執筆された草稿が最近見つかり、出版の運びとなった。

8. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Down

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。

9. THE GIRL ON THE TRAIN    Down

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。『ガール・オン・ザ・トレイン』(池田真紀子訳、講談社文庫)が10月15日に発売予定。

10. X    Down

Sue Grafton スー・グラフトン

私立探偵キンジー・ミルホーン・シリーズ24作目。“A IS FOR ALIBAI”から“W IS FOR WASTED ”まで続いてきたタイトル(邦訳は『ロマンスのR』まで刊行)が、今回は“X”の1文字に。亡き仕事仲間の古いファイルに紛れた未解決事件の情報——出所後に失踪した息子を捜す依頼人の嘘——近所に越してきた老夫婦の隠し事。絡まる複数の謎をキンジーが追う。

【まとめ】

新作が3つはいりました。1位はパタースンとエドガー賞作家エリスとの共著によるノンシリーズもの。3位のジョジョ・モイーズの作品は『ミー・ビフォア・ユー』の続編で、前作が2016年に映画公開される予定です(日本での公開は未定)。トップテン外では、12位にカリン・スローターのサイコスリラー“PRETTY GIRLS”、15位には『侍女の物語』でも知られるカナダの作家マーガレット・アトウッドによる“THE HEART GOES LAST”がランクインしています。

国弘喜美代(くにひろ きみよ)

東京在住の翻訳者。訳書はエラリー・クイーン『スペイン岬の秘密』(越前敏弥さんとの共訳)、デボラ・マッキンリー『パリで待ち合わせ』など。10月31日(土)に第2回南東京読書会を開催します。課題書はピーター・メイ『忘れゆく男』で、まだお席に空きがあります。これが2回目となるのんびりした読書会ですので、はじめてのかたもどうぞ気軽にお越しください。