アメリカのベストセラー・ランキング

11月15日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. ROGUE LAWYER    Stay

John Grisham ジョン・グリシャム

ミニバーとWi-Fiを備えた革装特別仕様の防弾車に乗り、その運転手兼用心棒兼ゴルフのキャディーでもある腹心の友を相棒に、ひとの嫌がる依頼人ばかりを弁護する異端児セバスチャン・ラッド。孤高の男を主人公に据えた、リーガル・サスペンスの名手による最新作。

2. SEE ME    Stay

Nicholas Sparks ニコラス・スパークス

すさんだ過去と決別して人生をやり直すため、教師を目指しながらひっそり暮らすコリン。弁護士のマリアと出会い、愛しあうようになるが、マリアにもまた深い心の傷があった……『きみに読む物語』で知られるベストセラー作家によるロマンティック・スリラー。

3. DEPRAVED HEART    New!

Patricia Cornwell パトリシア・コーンウェル

検屍官ケイ・スカーペッタ・シリーズの第23作。映画プロデューサーの娘の不審な死を調べていたスカーペッタの携帯電話に、謎のビデオメッセージが届く。映っていたのは姪のルーシーだったが、明らかに20年近く前に宿敵のキャリー・グレセンが隠し撮りした映像だった。

4. A BANQUET OF CONSEQUENCES    New!

Elizabeth George エリザベス・ジョージ

スコットランドヤードのリンリー警部とヘイバース巡査部長のコンビが活躍するシリーズの第19作。崖から身を投げた青年。毒殺された女性作家。ふたりの死に関係はあるのか。青年の母親であり、作家の助手でもあった女が鍵を握る。

5. THE SURVIVOR    Stay

Vince Flynn and Kyle Mills ヴィンス・フリン、カイル・ミルズ

元CIAのジョー・リックマンは祖国を裏切り、大量の超機密文書を盗み出した。CIA長官はエリートスパイ、ミッチ・ラップに命令を下し、リックマンを追わせるが……故ヴィンス・フリンの跡を継いでカイル・ミルズが書きあげたシリーズ最新作。

6. CAREER OF EVIL    Down

Robert Galbraith ロバート・ガルブレイス

助手のロビンに届いた送り主不明の包みには、女の片脚が入っていた。探偵コーモランが過去に関わったなかで、そんなことをしそうなサイコパスは……。ハリポタ作者J・K・ローリングが変名で綴る私立探偵コーモラン・ストライク・シリーズ第三弾。

7. THE WOMAN WHO WALKED IN SUNSHINE    New!

Alexander McCall Smith アレグザンダー・マコール・スミス

No.1レディーズ探偵社シリーズの第16作。ボツワナで探偵事務所を営むラモツエは、助手のマクチのすすめで珍しく休暇をとることにする。が、仕事をしていないと落ち着かず、マクチに事務所を乗っとられるのではないかという不安もあって、こっそり依頼を引き受けてしまう。

8. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Stay

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。

9. A KNIGHT OF THE SEVEN KINGDOMS    Up

George R. R. Martin ジョージ・R・R・マーティン

「ゲーム・オブ・スローンズ」(『氷と炎の歌』シリーズ)の約100年前を舞台にした外伝的中編の初期3作を1冊にまとめたもの。160点を超えるイラスト入り。

10. THE MURDER HOUSE    Down

James Patterson and David Ellis ジェイムズ・パタースン、デイヴィッド・エリス

ハンプトンズの海辺に建つ屋敷で16年前、不可解な火災により老夫婦が死亡した。地元の人々からいまもマーダー・ハウスと呼ばれているその家で、こんどはハリウッドのプロデューサーと愛人の死体が発見される。

【まとめ】

3位、4位、7位に人気シリーズの最新作がランクインしました。コーンウェルの検屍官シリーズは、第22作の“FLESH AND BLOOD”の邦訳が来月に刊行される予定です。エリザベス・ジョージやアレグザンダー・マコール・スミスの邦訳はしばらく出版されていませんが、リンリー警部シリーズは6シーズンにわたってテレビドラマ化され、日本でもAXNミステリーで放映されて人気を博しました。トップテン外では、デイヴィッド・ミッチェルのホラー小説“SLADE HOUSE”が11位にはいりました。ミッチェルはトム・ハンクス主演で2012年に映画化された『クラウド・アトラス』の作者として知られていますが、日本で長く英語の教師をつとめた経歴を持ち、東田直樹の『自閉症の僕が跳びはねる理由』を日本人の妻とともに英訳したことでも話題になりました。

青木創(あおき はじめ)

フィクション翻訳とノンフィクション翻訳の両方を手がけています。訳書に、D・ワッツ『偶然の科学』、A・フランセス『〈正常〉を救え』など。10月31日の第2回南東京読書会でP・メイの『忘れゆく男』をとりあげていただきました。世話人の栗木さつき様、国弘喜美代様と参加してくださった皆様に心よりお礼を申しあげます。