アメリカのベストセラー・ランキング

11月22日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. THE BAZAAR OF BAD DREAMS    New!

Stephen King スティーヴン・キング

2009年以降に雑誌等で発表された短編のほか、未発表の“Mister Yummy”、“Obits”の2編を含む全20編をおさめたキングの最新短編集。

2. THE CROSSING    New!

Michael Connelly マイクル・コナリー

ロス市警を退職したボッシュは、異母兄弟である弁護士ミッキー・ハラーの頼みで、ハラーの依頼人に容疑がかけられている殺人事件を調査する。やがて前の職場である市警の闇に踏みこむことになり……ハリー・ボッシュ・シリーズ第20作。

3. ROGUE LAWYER    Down

John Grisham ジョン・グリシャム

ミニバーとWi-Fiを備えた革装特別仕様の防弾車に乗り、その運転手兼用心棒兼ゴルフのキャディーでもある腹心の友を相棒に、ひとの嫌がる依頼人ばかりを弁護する異端児セバスチャン・ラッド。孤高の男を主人公に据えた、リーガル・サスペンスの名手による最新作。

4. SEE ME    Down

Nicholas Sparks ニコラス・スパークス

すさんだ過去と決別して人生をやり直すため、教師を目指しながらひっそり暮らすコリン。弁護士のマリアと出会い、愛しあうようになるが、マリアにもまた深い心の傷があった……『きみに読む物語』で知られるベストセラー作家によるロマンティック・スリラー。

5. AVENUE OF MYSTERIES    New!

John Irving ジョン・アーヴィング

50代のメキシコ系アメリカ人作家がフィリピン旅行の道中で遭遇する奇妙な人々との交流、そして夢の中で回想する少年時代と不思議な能力を持つ妹のこと……『ガープの世界』、『サイダーハウル・ルール』等で知られる著者の3年ぶりの新作長編。

6. CAREER OF EVIL    Stay

Robert Galbraith ロバート・ガルブレイス

助手のロビンに届いた送り主不明の包みには、女の片脚が入っていた。探偵コーモランが過去に関わったなかで、そんなことをしそうなサイコパスは……。ハリポタ作者J・K・ローリングが変名で綴る私立探偵コーモラン・ストライク・シリーズ第三弾。

7. DEPRAVED HEART    Down

Patricia Cornwell パトリシア・コーンウェル

検屍官ケイ・スカーペッタ・シリーズの第23作。映画プロデューサーの娘の不審な死を調べていたスカーペッタの携帯電話に、謎のビデオメッセージが届く。映っていたのは姪のルーシーだったが、明らかに20年近く前に宿敵のキャリー・グレセンが隠し撮りした映像だった。

8. THE SURVIVOR    Down

Vince Flynn and Kyle Mills ヴィンス・フリン、カイル・ミルズ

元CIAのジョー・リックマンは祖国を裏切り、大量の超機密文書を盗み出した。CIA長官はエリートスパイ、ミッチ・ラップに命令を下し、リックマンを追わせるが……故ヴィンス・フリンの跡を継いでカイル・ミルズが書きあげたシリーズ最新作。

9. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Down

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。

10. A KNIGHT OF THE SEVEN KINGDOMS    Down

George R. R. Martin ジョージ・R・R・マーティン

「ゲーム・オブ・スローンズ」(『氷と炎の歌』シリーズ)の約100年前を舞台にした外伝的中編の初期3作を1冊にまとめたもの。160点を超えるイラスト入り。

【まとめ】

10月〜11月前半は、アメリカでは感謝祭からクリスマスにかけてのホリデーシーズンに向けて有力作・人気作が多く刊行される時期。よって今週も、日本でもおなじみのベストセラー作家がずらりと名を連ねる華やかなランキングとなりました。初登場1位となったのは巨匠キングの短編集。2位に入ったコナリーのハリー・ボッシュ・シリーズは第14作『ナイン・ドラゴンズ』まで邦訳が刊行ずみ、リンカーン弁護士ことミッキー・ハラー・シリーズも第3作『判決破棄』まで邦訳が出ています。5位に初登場したアーヴィングは、これまでに出された長編13作がすべて邦訳されており、日本でも評価の高い作家。デビュー作の『熊を放つ』は村上春樹が翻訳を手がけたことでも知られています。

満園真木(みつぞの まき)

東京在住の翻訳者。バリー・ライガ『さよなら、シリアルキラー』の続編『殺人者たちの王』(東京創元社)が11月13日に発売となりました。訳書はほかに、エミリー・セントジョン・マンデル『ステーション・イレブン』、ベリンダ・バウアー『ラバーネッカー』など。