アメリカのベストセラー・ランキング

12月20日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. ROGUE LAWYER    Up

John Grisham ジョン・グリシャム

ミニバーとWi-Fiを備えた革装特別仕様の防弾車に乗り、その運転手兼用心棒兼ゴルフのキャディーでもある腹心の友を相棒に、ひとの嫌がる依頼人ばかりを弁護する異端児セバスチャン・ラッド。孤高の男を主人公に据えた、リーガル・サスペンスの名手による最新作。

2. CROSS JUSTICE    Down

James Patterson ジェイムズ・パタースン

男やもめの犯罪心理学者、アレックス・クロス・シリーズ第23作。いとこのステファンが身の毛もよだつような殺人事件の犯人として告訴されたことを受け、クロスは35年ぶりに、ノースカロライナ州スタークスヴィルに帰郷する。そこで彼を待っていたものは、すっかり様変わりしてしまった生まれ故郷と、自分の過去にまつわる真実だった。

3. TOM CLANCY: COMMANDER IN CHIEF    New!

トム・クランシー、マーク・グリーニー

リトアニアの液化天然ガス基地爆破、ベネズエラ人検察官暗殺、ロシアの軍用列車襲撃。一連の事件の裏に潜むロシア大統領の陰謀を察知した合衆国大統領ライアンは、西欧諸国に協力を求めるが……。“FULL FORCE AND EFFECT”につづき、共著者のグリーニーが単独で執筆した故クランシーのジャック・ライアン・シリーズ最新作。

4. THE BAZAAR OF BAD DREAMS    Up

Stephen King スティーヴン・キング

2009年以降に雑誌等で発表された短編のほか、未発表の“Mister Yummy”、“Obits”の2編を含む全20編をおさめたキングの最新短編集。

5. THE GUILTY    Down

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

ヒットマン、ウィル・ロビー・シリーズの4作目。任務をしくじった失意のロビーは、郷里で父が殺人罪に問われていることを知る。20年振りの故郷は冷淡で、父自身にも頑なに助けを拒まれながら、ロビーは定まらない標的を探し、やがてみずからの過去と対峙する。

6. SEE ME    Stay

Nicholas Sparks ニコラス・スパークス

すさんだ過去と決別して人生をやり直すため、教師を目指しながらひっそり暮らすコリン。弁護士のマリアと出会い、愛しあうようになるが、マリアにもまた深い心の傷があった……『きみに読む物語』で知られるベストセラー作家によるロマンティック・スリラー。

7. TRICKY TWENTY-TWO    Down

Janet Evanovich ジャネット・イヴァノヴィッチ

学生部長をボコボコにして姿を消したキャンパスの人気者は、誰もが庇っているのか足取りがまるで掴めない。一方、自宅の裏で殺された男は嫌われ者で、リストに挙がる容疑者の数は増えるばかり。バウンティハンター、ステファニー・プラム・シリーズの第22作。

8. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Stay

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。

9. THE MAGIC STRINGS OF FRANKIE PRESTO    Down

Mitch Albom ミッチ・アルボム

戦争孤児としてスペインで育ち、古いギターと大切な6本の弦を手に9歳でアメリカへ渡ったフランキー・プレスト。20世紀の音楽界を舞台に、天才ギタリストの波乱に満ちた不思議な人生を描いた小説。

10. THE GIRL ON THE TRAIN    Up

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。邦訳『ガール・オン・ザ・トレイン』(池田真紀子訳)が講談社文庫より刊行されている。

【まとめ】

先週につづき、今週も新作ひとつと変動の少ないランキングとなりました。3位に登場したジャック・ライアン・シリーズは4作前の『米露開戦』(新潮文庫・全4巻)まで邦訳が出ています。アメリカでは本シリーズのテレビドラマ化企画が進行中とのこと。また現在執筆を担当するグリーニーのグレイマン・シリーズは第5作“BACK BLAST”が来年2月に刊行となるほか、第1作『暗殺者グレイマン』(ハヤカワ文庫)が映画化の予定。主役が女性に変更となり、シャーリーズ・セロンがグレイマン役を務めると報じられています。トップテン外では、ロマンス作家ダニエル・スティールの新作ファミリー・サーガ“PRECIOUS GIFTS”が14位にランクインしています。

中谷友紀子(なかたに ゆきこ)

関西在住の翻訳者。訳書はギリアン・フリン『ゴーン・ガール』、ティム・ジョンストン『ディセント 生贄の山』など。少し先ですが、フリンの短編「カーターフック屋敷へようこそ」が小学館月刊誌《STORY BOX》にて2月号(1月20日発売)より連載されます。あいかわらずフリン節炸裂の、2015年MWA短編賞受賞作です。