アメリカのベストセラー・ランキング

12月27日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. ROGUE LAWYER    Stay

John Grisham ジョン・グリシャム

ミニバーとWi-Fiを備えた革装特別仕様の防弾車に乗り、その運転手兼用心棒兼ゴルフのキャディーでもある腹心の友を相棒に、ひとの嫌がる依頼人ばかりを弁護する異端児セバスチャン・ラッド。孤高の男を主人公に据えた、リーガル・サスペンスの名手による最新作。

2. CROSS JUSTICE    Stay

James Patterson ジェイムズ・パタースン

男やもめの犯罪心理学者、アレックス・クロス・シリーズ第23作。いとこのステファンが身の毛もよだつような殺人事件の犯人として告訴されたことを受け、クロスは35年ぶりに、ノースカロライナ州スタークスヴィルに帰郷する。そこで彼を待っていたものは、すっかり様変わりしてしまった生まれ故郷と、自分の過去にまつわる真実だった。

3. SEE ME    Up

Nicholas Sparks ニコラス・スパークス

すさんだ過去と決別して人生をやり直すため、教師を目指しながらひっそり暮らすコリン。弁護士のマリアと出会い、愛しあうようになるが、マリアにもまた深い心の傷があった……『きみに読む物語』で知られるベストセラー作家によるロマンティック・スリラー。

4. THE BAZAAR OF BAD DREAMS    Stay

Stephen King スティーヴン・キング

2009年以降に雑誌等で発表された短編のほか、未発表の“Mister Yummy”、“Obits”の2編を含む全20編をおさめたキングの最新短編集。

5. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Up

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。

6. THE GUILTY    Down

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

ヒットマン、ウィル・ロビー・シリーズの4作目。任務をしくじった失意のロビーは、郷里で父が殺人罪に問われていることを知る。20年振りの故郷は冷淡で、父自身にも頑なに助けを拒まれながら、ロビーは定まらない標的を探し、やがてみずからの過去と対峙する。

7. TOM CLANCY: COMMANDER IN CHIEF    Down

Mark Greaney マーク・グリーニー

リトアニアの液化天然ガス基地爆破、ベネズエラ人検察官暗殺、ロシアの軍用列車襲撃。一連の事件の裏に潜むロシア大統領の陰謀を察知した合衆国大統領ライアンは、西欧諸国に協力を求めるが……。“FULL FORCE AND EFFECT”につづき、共著者のグリーニーが単独で執筆した故クランシーのジャック・ライアン・シリーズ最新作。

8. THE GIRL ON THE TRAIN    Up

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。邦訳『ガール・オン・ザ・トレイン』(池田真紀子訳)が講談社文庫より刊行されている。

9. THE MAGIC STRINGS OF FRANKIE PRESTO    Stay

Mitch Albom ミッチ・アルボム

戦争孤児としてスペインで育ち、古いギターと大切な6本の弦を手に9歳でアメリカへ渡ったフランキー・プレスト。20世紀の音楽界を舞台に、天才ギタリストの波乱に満ちた不思議な人生を描いた小説。

10. TRICKY TWENTY-TWO    Down

Janet Evanovich ジャネット・イヴァノヴィッチ

学生部長をボコボコにして姿を消したキャンパスの人気者は、誰もが庇っているのか足取りがまるで掴めない。一方、自宅の裏で殺された男は嫌われ者で、リストに挙がる容疑者の数は増えるばかり。バウンティハンター、ステファニー・プラム・シリーズの第22作。

【まとめ】

変動の少ない週でした。新作は12位に登場したディーン・クーンツ“ASHLEY BELL”のみ。脳腫瘍で余命1年と宣告されるも奇跡的な回復を遂げた22歳の女性が主人公。生かされたのはアシュリー・ベルという人物を救うためだと占い師から告げられ、主人公が奔走するという設定で、クーンツらしいスリラーと評されています。ペーパーバック部門などを見ると、アンディ・ウィアー“THE MARTIAN”(『火星の人』)が長らく上位につけていますが、パブリッシャーズ・ウィークリー誌によれば、先日ゴールデン・グローブ賞のノミネート作品が発表されたのを受け、その他の映画原作本も売れ行きを伸ばしているとのこと。パトリシア・ハイスミス『キャロル』、マイケル・ルイス『世紀の空売り』、エマ・ドナヒュー『部屋』などのタイトルがあがっています。

国弘喜美代(くにひろ きみよ)

東京在住。南東京読書会の世話人のひとりです。訳書はデボラ・マッキンリー『パリで待ち合わせ』など。12月25日にドン・ウィンズロウ『報復』(青木創さんとの共訳)が出ます。第3回南東京読書会が2月11日(木、祝日)に決まりました。課題本はピエール・ルメートル『悲しみのイレーヌ』、年内にシンジケートのサイトで告知していただく予定です。